沖縄から貧困がなくならない本当の理由 感想
普段は、自己啓発やビジネス本が中心なので、他のジャンルも読もうと思い、手に取ったのが本書「沖縄から貧困がなくらない本当の理由」です。私は愛知県生まれの愛知育ちで、沖縄では「ないちゃー(沖縄県民以外の人)」と呼ばれます。
本書を読んでいくと沖縄の貧困問題について、詳細に分析された内容が綴られています。基地問題、じゃぶじゃぶに投入される補助金、同調圧力が強い社会、沖縄企業の問題など、様々な要因から貧困の根本原因があることが分かります。
沖縄の問題については、政治色が強く敏感な問題が多いため、「ないちゃー」の私が触れていいか迷いました。しかし、沖縄の貧困問題は大きな視点でみると、海外から見た日本全体と同じであると本書で結論付けられています。私はその結論を読んで「確かにそうだな」と思い、当事者として感想を書くことにしました。
沖縄に非正規雇用者が多い理由は、国が沖縄に本拠を置く企業に対し様々な税制の優遇措置をとっていることが大きいと、著者は指摘しています。
その代表例が酒税軽減措置です。沖縄で生産・販売される酒類について、泡盛は35%、ビール等は20%の酒税減免措置が実施されています。そのため、本土の大手メーカーよりも安価で販売でき、多くの消費者を引き付けることができています。
最初から価格面で圧倒的な優位が取れるなら、商品の品質を上げライバルに打ち勝とうとする努力をしなくなります。今までと同じものを作るだけで売れてしまうわけだから、経営陣は税制の優遇措置が続くことに意識を集中してしまい、事業力を付けようと考えません。
その結果、仕事は単調な作業になり、低賃金で雇える非正規が大半を占めてしまいます。会社の長期的な成長のために必要な人材(正社員)は必要がないのです。
これは本土の企業に対しても同じことが言えると思います。高額報酬で優秀な人材を雇うよりも、コストカットを優先し外国から安く雇える人材をつれてくることです。短期的には人手不足の解消やコストカットで業績は良くなるかもしれませんが、長期的には会社の成長に繋がらないと考えています。
私の会社の事例ですが、技能実習生として外国人を2名雇用しています。彼らはやる気が非常にあり、とても優秀です。仕事を覚えるスピードも早いです。しかし、制度上3年で国に帰ってしまいます。(延長もできるが、帰ることを希望している)
その為、新たに技能実習生を前よりも多く雇う予定になっていますが、私的にはこれで良いのか疑問に思っています。数年ごとに入れ替わる人材は、教える側の立場からしたら、かなりしんどいです。だからこそ、コストを掛けてでも国内から優秀な人材を雇って欲しいと考えています。
会社の成長にコストを掛けないことは、企業や社会全体が衰退していきます。これは、沖縄も本土(日本全体)も同じことですよね。
この感想文では企業に関することを中心に、沖縄と日本全体の問題について書かせていただきました。本書では、他に沖縄県民の人間関係についても、深く考察し問題を提起しています。この部分については、私の同僚に沖縄出身の方がいるので、理解できることが多くありました。
しかし、人についての事は「ないちゃー」の私が触れるには敏感な問題すぎたので割愛させていただきました。気になる方は、本書を読んでみてください。沖縄だけの問題ではないことがよくわかると思います。
感想文を読んでいただいてありがとうございました。
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