産屋
日本神話で、イザナギが黄泉の国のイザナミに、産屋を建てて1日1500人の子供を産ませましょう、と答えたとあります。
産屋、或いは産小屋と呼ばれ、昔はお産のために村外れや山中、海辺や神社の近くに小屋を設けそこでお産を行ったのだとか。近代になると屋内の納戸に変わっていきます。今では病院でお産をしますが、昭和になってもその風習を守っている所があったとか。
そこで古代の産屋について想像してみました。
1、産前産後の女性が過ごす女性だけの場所(男子禁制)
〇薄暗い場所で黄泉の国から赤子を隠す。
赤子の死亡率が高いのは魂が安定してないからと考えられた。
その魂を奪いに来る存在から妊婦や赤子を隠したという説。
お産の際、外の明るさで赤子を刺激しないようにという説も。
(お腹の中から外の世界に慣れる移行期)
2,女性の憩いの場
〇身の回りの手伝いをする女性がいた(ミクロネシアの事例より)
妊娠中や産後の日常の雑務から解放。
産後しばらく、母親が赤子の養育に専念できるように。
産屋に居る期間は、お産の前後合わせて数か月間とも(諸説あり)。
東南アジアに広く分布していた風習のようですね。
古代海洋民族の女性コミュニティが発端なのでしょうか❓
ちなみに男子禁制ですから、お産の神様は男性を嫌う神様だったのかな。
もちろん、女性だけで安心できる環境を作るというのもあるけど。
神話でイザナギは、子を産み亡くなった妻を訪ね黄泉の国へ。そこで、見てはいけないと言われた妻の姿を見て怒りを買い追いかけられます。
旦那さんが余計なことをして、奥さんの怒りを買うのは人間も神様も変わらない。妊娠中やお産の時にそんなことしたら大変。
「今後は母子ともに安定するまで男どもを一切近づけるな!」
なんて神様に怒られたのが理由だったりして😅
そんな風に昔のことを想像してみるのも楽しいですね。
なお、世界には変り種お産があります。
フィンランドは昔、サウナで出産。
ブラジル/アマゾンのインディオはハンモックで出産。
ミクロネシアのある島では産小屋という同じ風習が今でもあるそうです。
そして中国の上海では現代版の産屋風習体験。けんいちさんが記事にしてくれました。こちらもどうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございます💖
参考『世界のお産』きくちさかえ著
『日本人の子産み・子育て-いま・むかし』鎌田ひさ子ほか著
『ニタイとキナナ』高室弓生著
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