【イベントレポ】保護者も生き方をアップデート!わが子の進路選択サポートを考える
「日本一のセクハラは、家庭に存在すると思うんです。それは、親御さんたちの、娘さんに対する“女の子扱い”です」と話し始めたのは千葉商科大学 准教授の常見陽平先生。
「あるいは、今までの常識で、進学先や進路について口を出すことが、日本の将来を暗くしているんじゃないかと思うんです。今日はそんな話をしていきます」と、私達の<生き方アップデート>と銘打ったキーノートスピーチを行いました。
去る9月7日(土)、中学生・高校生のお子さんをもつ保護者の方が東邦大学に集まり、ワークショップを実施しました。目的は、お子さんの幸せな進路選択サポートについて考えること。
イベントでは、生き方・働き方がどのように変わってきたのか、実例を挙げての説明がありました。新しい情報・知識が世に広がることで、世の中が変わっていくはず。ここをお読みの皆さんにもイベントの一部をご紹介します。一緒にアップデートしていきましょう!
時代は「金太郎」から「桃太郎」へ
時代は「金太郎」から「桃太郎」へ変わっていると常見先生は言います。どういうことでしょう。
金太郎の時代とは、いわゆる男社会を指します。それが現在は、桃太郎型の、仲間と共に歩んでいく時代へと変化しています。昔話ではあるけれど、現代社会にメッセージを投げかけているのかもしれません。
桃太郎といえば、桃から生まれた男の子が、犬・猿・きじを仲間に鬼を討伐する物語です。ではなぜ、桃太郎は鬼退治に成功したのでしょうか。ポイントは3つです。
1 ビジョンがあった
桃太郎は、悪さをしている鬼を退治して平和を取り戻すというビジョンを明確にもっていました。何を目指しているかはっきり提示されると、人は奮い立ちます。最近ではビジョンやパーパスを重視して職場選びする人も増えています。逆に、ビジョンがない場合は人も企業も迷走してしまいがちです。
2 多様性のあるチームをつくった
JTの広告にもなっていますが、能力の違う3種類の動物を仲間にしたことは桃太郎のチームづくりの巧みさです。最近では多様性のあるチームづくりがどの集団でも重視されるようになりました。以前のように人を役割にあてるのではなく、役割に対して最適な人は誰なのかを考える人事、または人の能力を最大限活かせる役割を創る企業も出てきました。
3 待遇が十分であった
桃太郎は、犬・猿・きじを仲間にする際きびだんごを渡しています。動物たちにとって、命を懸けて鬼と戦えるほどに立派なごちそうだったのでしょう。働き方改革という言葉が広まり、労働環境の改善がかなり進んできました。柔軟な働き方ができる、福利厚生が充実しているなど求職者にとって魅力的な企業が増え、もはやブラック企業は存続できない状況ですね。
・ビジョンがあるか
・多様性のあるチームであるか
・待遇が十分であるか
桃太郎は実現していたこれらの条件は、これから社会に出ていく学生たちが進路や職場を選ぶ際により重要視されていくことでしょう。
「売り手市場」で変わっていく採用活動
出生数が減っているので、この先生産年齢人口も減り続けます。若者不足が進む中で、これから社会に出ていく学生たちは就職先には困らないだろうと常見先生は話します。
「実際、大学に届く求人数は、2020年のコロナウイルス流行前を突破しています。1学年の学生数約1600人の千葉商科大学には、約3万件の求人が届くんです。素晴らしい売り手市場です」
これは売り手である学生にとってはいいことのように思えますが、企業にとっては大問題です。飢餓感が強いため、今後の採用活動はさらに早期化する可能性があります。大学1年生のうちからインターンシップに参加したり、企業情報を調べたりする必要が出てくるかもしれません。青田買いどころか、種苗買いです。
さらに、採用側にも人材不足の影響が。未経験者が採用担当を務める企業も出てくるため、採用活動でのコミュニケーション設計が雑になる恐れがあります。学生たちは、企業や仕事の内容が十分にわからないまま内定をもらい、その企業で働くことになるかもしれません。(この会社じゃなかったかもしれない……)と気づいたとしても、内定承諾書をよくよく見ると「すべての就職活動をストップし、御社に身を捧げます」のような表記があって別の企業を受けなせない状況に陥ることも。就活終われハラスメント、いわゆるオワハラです。
このような問題がある今の時代を捉えた上で、お子さん自身も、保護者の方も進学・就職について考える必要があるでしょう。
子の幸せな進路選択サポート、保護者の5つの鉄則とは
これからの社会と、Z世代の価値観・仕事観の紹介が続き、スピーチの最後に保護者の5つの鉄則が提示されました。
保護者も「エア10代」をしてみる
柔軟な視点で、いろいろなものに接してみましょう。例えばSNSは、自分が発信をしなくてもいいからアカウントを作って興味のあるアカウントをフォローしてみるなど。
昔話は禁止。知識、考え、行動をアップデート
キャリア関係では、「いい大学」「いい会社」という言葉はもう使われなくなっています。これらは昔のブランドです。
同情するならカネを出す
「同情するなら金をくれ」というセリフが昔流行りました。お子さんにやりたいことができた、でも金銭的に厳しい……となったとき、入り込んでくるのが闇バイトの情報ということもあります。夢のために悪に手を染めることがあっては悔やみきれません。お金のサポートも、必要なことです。
人の夢を笑わない
保護者目線では突飛に思える夢をもつお子さんもいるかもしれません。しかしそれは、今の時代からするとまっとうな夢の可能性もあります。有名大学の学生たちが、マンションの一室で起業したばかりのスタートアップに飛び込んでいくようなことも、彼らにとっては意義があり魅力的に見えるものなのです。
応援団であり続ける
対象の人が勝っては涙し、負けても涙する。一生懸命声をからして応援する。しかし、グラウンドには一切入らない。保護者は、そんな風に子の応援団であり続けましょう。子育ては究極の推し活です。長い人生、挫けることもあるかもしれないけれど、見守り続ける、支え続けることが大切です。
本スピーチは、「かがやくサイエンス」の保護者向けイベントの内容を一部抜粋したものです。
JST(科学技術振興機構)「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」に採択されている「かがやくサイエンス」では、中高生に向けてイベントや発信活動を主に行っています。お子さんたちの幸せな進路選択支援には、保護者の関わり方も大きく影響すると考え、今回のようなイベントも実施しています。
変化がますます早く、大きくなると言われる中でこれからを生きるお子さんたちのより良い進路選択支援について、皆さんと一緒に考えたいと実施しているのがこのワークショップです。次回は12月に実施予定ですので、下記バナーより各SNSをフォローして詳細をお待ちください。
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