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【原神考察】ティナリの「衣装デザイン」に関する理論

*この記事の内容はBayonetta's adorer氏(@space_shyp)が投稿された英語記事をベースとして投稿者から許可を受けたうえで篝火文書が翻案したものになります。

以前に、原神の衣装デザイン論として「神里綾人」の記事を書いたことがありました。

言うまでもなく原神の七国は現実に存在する文化をベースにしてファンタジーに落とし込んだものですが、作成の際には緻密にその文化圏を研究していることが分かっています。

今回はスメールの登場キャラクター「ティナリ」の衣装デザインがどのような文化的背景に基いて行われたかと言うことについての考察を記事にしました。


当初は、ただ単に翻訳する予定だったのですが、日本語としての読みやすさを考慮すると同時に、私ハルトが独自で調べた意見・解釈等を追加したことにより、結果として大幅に加除訂正を行っています。
よって内容に異論がある場合は、私の方にお願いします。
許可をいただいたBayonetta's adorerにお礼を申し上げます。


重要な注意点

ティナリの衣装がどのようなプロセスとインスピレーションによって作られたのか、本当の答えはmiHoYoの手に委ねられています

私の書いたことに間違いがあった場合は快く修正をお願いします。
また議論をサポートするために、できるだけ多くの参考文献を追加し、できるだけ正確であるよう努めます。
この記事は、私が知っている全ての情報を詳細に書くのに十分な長さではないことをお詫びします。


ティナリのデザインモチーフは「アルジェリア」がベースになっている

アルジェリアとは、北アフリカのマグリブに位置する国家です。

私たちは原神の世界は国ごとに一定の文化圏を採用していることが分かっており、第四の国スメールはインドやネパールといったヒンドゥー教の文化を色濃く受け継いでいますが、実際にはアラブ圏やエジプト方面を含んだ広範囲の文化圏にインスピレーションを受けている可能性が高いです。

私の文化(訳注:ベース記事制作者はカビール人。アルジェリア北部のベルベル人民族グループ)は私にとって本当に大切なものであり、世界の人々がアラブ文化を「オリエンタリズム」と呼んでいるのを見るのは辛いです。

オリエンタリズム(東洋主義~極東やアフリカ北部を含むは非常に幅が広く、かつ異なっている点が多数あります。
北アフリカが非常に広いことを思い出してください。

北アフリカ地域


ティナリの衣装論

まず、ティナリ服装で目を引くのが腰に巻いている組紐です。

これは主にカビールの女性が腰を締めたり、ドレスを短くしたり、またドレスの上に物を収納するために着用した「Agus」と呼ばれるもので、ウールなどを素材としたカラフルなベルトになります。

その下に取り付けてあるベルトも同じ目的で使用されており、様々な形と色があります。
Agusベルトの特徴として、自由に回転させることができます。
他のベルト(訳注:我々が普段使用している一般的な革ベルトを指していると思われる)ではそのようなことはできません。


次に彼がまとっている上衣を見てください。

これは同じく北アフリカのモロッコで着用されている「ジェラバ」と呼ばれるもので、頭を覆うフードが付いていますが、ティナリはパーカースタイルで着用しています。

一見すると暖かそうに見えますが、実際にはゆったりとしたローブで通気性が良いものです。
暑い砂漠の気候の中で、日差しから身を守るためにはフードが必要だったのです。


次に、その上にまとっているものを注目してみましょう。

これは「Burnous(バーヌス)」と呼ばれるカビール人の男性が着る白いケープで、主に結婚式などの儀式性の高いイベントで着用します。
ティナリのように横向きスタイルで着用する人もいます。


ティナリの肩に付けられている花のブローチはなんなのでしょうか?

これはサボテンの花です。
サボテンは世界中に分布していますが、この色合いからはアルジェリアで栽培されている「ウチワサボテン」という種類であると思われます。


次の彼のズボンに注目してみましょう。

このワイドパンツはサルエルというもので、膝が幅広になっており通気性が良いものです。
当初はペルシャのものでしたが、今では北アフリカの伝統の一部となっています。


彼が背中に身に着けている虫メガネに関しては文化的な背景は不明です。


彼のキャラクターストーリーによれば、これは元々は彼自身のものではなく、母親からプレゼントされたものを装飾品として仕立て直したものです。
このデザインについて詳しい意見をお持ちの方は教えてください。


最後に、彼にとって最も重要なアイデンティティについて触れましょう。
そう、それは彼の「耳」についてです。

そう、フェネックの耳!!!
これは本当にお気に入りの部分です。

ティナリの命の星座は、なんとそのまま「フェネック座」であることから、彼の耳のモチーフがフェネックであることに疑いはないでしょう。
(余談:英語の星座名「Vulpes Zerda」はフェネックの学名である)

フェネックは日本ではあまり馴染みがありませんが、実はアルジェリアの国獣に指定されています。
どうして彼がアルジェリアを中心とした文化圏からデザインされたかよく分かりますね。
私も、彼の耳に触れたい。


最後にティナリ(Tighnari)の名前について検証してみましょう。

彼の名前は二つの文化からインスパイアされたようです。

まず北アフリカ先住民ベルベル人(カビール人もベルベル民族の一種です)が使用する「ベルベル諸語」において、彼の名前は「キツネ」を意味します(フェネックはイヌ科キツネ属です)。

もう一つは、アラブ系イスラム教徒である「al-Tighnari(アッ=ティグナリー)」という歴史上の人物で、彼は植物学者であり農学者であり、また医者でもあるというティナリの特徴と完全に一致しています。


最後に

私はミホヨが文化を完全かつ完璧に再現するとは思っていません。
またどの文化も尊重されるべきですが、批判できないという意味ではありません。

ティナリのデザイン論については以上になります。
私はゲーム内で使用された文化を理解しようとする全ての方に感謝しています。
ご精読ありがとうございました。



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