【ブログ】偶帳・冬雪抄 第三段『星の大海/仙台コミケ274』

偶帳・冬雪抄
第三段『星の大海/仙台コミケ274』

 どうも、カガリです。
 仙台コミケ、お疲れ様でした。今年も残すところわずか一ヶ月となりつつありますね。
 まずはspectrumのブースに来てくださった方、立ち止まって見てくださった方、僕の本を取ってくださり、ありがとうございました。ぜひ、感想等をコメント欄やXなどのSNSで拡散していただけると幸いです。大体裏話等はあとがきに書いたと思うんで、本書を読んで頂ければなと思います。……が、書き足りないので書きます。

星の大海/篝 永昌(題字:KaMyu)

 spectrumとして出す最初の小説は『星の大海』という現代モノです。本文及びイラストを描きました。題字だけは自分の友人にお願い致しました。
 初回なので、思いっきり情報量を詰め込んだので、相関図を裏表紙裏に載せておきました。もうキャラは増やしたくない……。
 関係が分かった上でもう一度読んでみると面白いかもしれないですね。そう思いたい。あとがきに触れてますけど、星の大海は僕が中学生の頃に描いた小説をリメイクしたものです。本文を読みながら、一から書き直しました。描写の方法に違いはあれど、大体内容は同じです。
 このページに辿り着いた皆様に限定して、一部だけ原作のプロローグをお見せしようかなと思います。

 四月六日。
 冴えわたる青い空に白い綿菓子のような雲が浮かんでいる。
 朝日ヶ丘という街の海鳴りと、潮の香りが相変わらず漂う。
 ようやく高校三年になった藤堂 雅和は気怠そうに家を出る。

 ——つまんねぇ一日が始まりやがったな……。

 本日、高校三年になっての初登校でもあったため正直緊張していた。
 とはいいつつも、再びあの親友(バカども)と一緒になれればいいかもな、と思っていたり思っていなかったり。
 藤堂 雅和は現在、姉と名門大学の教授をしている母 美和の三人暮らしだった。父の友和は九年前に他界。つい最近、独り立ちを決めた雅和は数日前から朝日ヶ丘のとあるアパートに住んでいる。特に変わったことはないが、現在、高校生活最後の一年がは始まろうとしているのだ。
「よう、藤堂」
 梶原 影光。バカ①。中学校からの仲の大親友。軽いノリが特徴的でいつも突っ込まれている。
「最近調子はどうよ~。彼女できたか? ま、できるわけないか」
「ちょっと待て、おい!まだ何も言ってませんけど!『はい いいえ』すら言ってないぞ!?」
 そう。こんな感じのボケとツッコミを年がら年中繰り返している。
「それよりさ、藤堂、海行かね?」
「なんでだよ!!なんでそういう発想になるんだよ!!頭おかしいんじゃねぇの!?今登校中だぞ! 黙って学校行こうや!! ……。」
 今は四月だ。真夏ではない。海水だって寒剤と同じ原理で水よりも冷たいに決まっている。そう思っていたとき、あらゆる方向から視線を感じた。周りの人が全員藤堂の方を見てくる。梶原はまるでそれを狙っていたかのように藤堂に背を向けて
「一緒にいるのが恥ずかしい……もう……こないで……あなたとは絶交する!」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 藤堂はなんだかんだ言っていたが結局海に行った。場所は北海道でなおかつ、水温は十度にも満たしていない。なのになぜ海で遊ばなきゃいけないのか……。藤堂には理解できなかった。
「久々の海は気持ちいいな。お前も入れよ。藤堂」
「いや、入んねえよ、寒いし、とっとと学校行きたいわ!しかも今日は始業式だぞ!!遅刻できねーじゃねーか!」
「そう言わずに、ほら」
 梶原は手で冷たすぎる海水を藤堂にカタパルトのごとく放り投げてきた。その飛び散った雫はやがて藤堂の制服へと落ちてしみていく。
「……、」
 藤堂は梶原を睨みつける。まるで”何してくれてんだこの野郎と言わんばかりの顔で鋭い眼光で梶原を見つめている。
「わ、悪かったよ。俺が悪かったって」
 藤堂が梶原を睨みつけているその時だった。
「アンタらそこで何やってんのよ」
 武井 綾美。バカ②。高校に入ってから知り合い、比較的態度はきちっとしている。藤堂と梶原にとってはバカ②として認識されているが、そうそうバカではなく藤堂と梶原というバカをツッコムために存在しているようなものなのだろうか。新学期、新学年にもなって委員長になるということはもう確定要素のため、数多くの人からいじられている。
「見りゃわからないか?水遊びだよ。」
 海に浸かっていた身体を起こし、砂浜に上がる。
「バカじゃないの!? 本当にバカじゃないの!? 今春になったばっかりだよ? アンタら登校中に何やってんのよ!」
 確かに、太陽は照っているがそこまであったかいわけでもないし残雪が目立つ。
「なんでもいいけど、そんな寒くないし、むしろ、しゃっこいくらいだよ。委員長もどう?」
「入りません!!」
 そもそも、登校中に海で遊んでもよいものなのだろうか。と心の中で呟いた武井だった。

 ていうか、しゃっこいと寒いって何が違うのか、と武井はツッコみたかったようだ。

出典:夜空ニ光ル星 第一話/篝 永昌

 キャッハズカシッ(*´艸`*)
 と、まぁ本書と見比べたらどのように違うのかがよくわかるかと思います。まあ、大体の流れは同じですけど、大きく違う部分は明白ですね。今の方が文章が静かな上にシリアスです。
 タイトルは『夜空ニ光ル星』でしたが、簡潔に星の大海に変更しました。多分本書では触れていないと思いますが、名前の由来はDREAMS COME TRUEの『星空が映る海』ですね。中学時代、母とよく聞いてました。そこから星の大海という名前になりました。由来はドリカムですが、込められた意味は別にあります。それは別の機会に。
 今回の仙台コミケでGET出来なかったけど読みたい! という方がいらっしゃったらどこかの機会でまた再頒布します。コメント欄やお問い合わせ等に連絡していただけたら幸いです。
 また、巻末にメンバー数人の広告を載せました。各々が素晴らしい活動をしていますので、ぜひX(旧Twitter)のフォローをしてあげてください。


spectrumのサークルカット

 さて、spectrumのサークルカットの謎の少女ですが、彼女実は干支団の『未』、ムックル=ドッコラーです。結構ガッツリストーリーに関係してた上にキャラ造形は出来上がってたので、隠し要素として載っけてました。なんと自分の小説とこれを読まないと意味がわからないという鬼畜仕様。実はこの事実、spectrumのメンバーすら知らないはずです。
 ──で、問題なのが、ムックルの名前がどちらも某ポケ○ンと同一であることを指摘されたのは、脱稿してから二週間後でした。僕、知りませんでした。本当です。ゲ○ムフリ○クさん、どうか怒らないでください。ちゃんとダイパまではやりました、はい。それ以降は存じ上げなかったっす。すみません。
 干支団の存在は、このnoteで再三触れてますので、よかったら遡って読んでみていただけると幸いです。

月光/抹茶 の表紙

 抹茶君の『月光』の表紙イラストと校正も担当しました。月を描くなんて初めてでしたけど、本当にうさぎみたいな形してるんだなー、と思いましたね。彼の文章も校正しながら、すごい幻想的かつメッセージ性の強い文章でした。短編一作一作に込められた想いは文章量に引けを取りません。
 抹茶君のあとがきにも書かれていたとは思いますが、別のサークルで、実は三題噺という小説の表現方法の練習で描いた小説をまとめたものです。三題噺とは、適当な三つのお題を全て絡めて小噺を作るというものです。これがまた難しいんですよ。作家は誰でも通っているであろう、小説の練習方法ですが、意味の分からないような組み合わせで、無限に頭を抱えて執筆していた抹茶君の顔は今でも忘れません。次の作品はどんなものになるのでしょうか?

裏山ラプソディ/ノス・タルジア の表紙

 裏山ラプソディの校正も担当しました。流石に表紙はノス・タルジアご本人が描いたものですが。独特の世界観を構築して、最終的にタイトル回収をするという大掛かりな仕掛けが特徴的でした。能力というファンタジーな世界には似つかわしくない現代世界にタイトルの『裏山』が、どう絡んでくるんだろう、と校正している時に読んでいましたが、思いもよらない部分で回収されましたね。戦闘シーンの描写が鮮明で全体的に力強い文章だった印象でした。僕は戦闘シーンが絶望的に苦手なので、見習いたいものです。まるで少年時代を想起させるかのような優しい物語でした。
 作者のノスによると、本当は終わると思っていたこの物語は終わらず、次のビジョンが見えてしまったようです。続きはどうなるんでしょうね? 続報を一緒に待ちましょう。まぁ、もちろん僕も知りません。

 最後になりますが、今、七作品くらい同時進行してるんですけど、次の新刊は何出そうかなーってすごく悩んでます。現時点で、『死の世界をゆく 冥界チノクトラン紀行譚』と『彩の旅』と『星の大海』の三つは開示していますが、残り四つは未発表です。全て同じくらい熱量を入れて、執筆しています。 カガリさん第一期作はこの7つの作品になるんじゃないかなー、と思ってます。

 次回は、新刊のほかに、既刊として『死の世界をゆく 冥界チノクトラン紀行譚』の前編を表紙を描き下ろしてお届けしようかなーと思っています。前回、とあるサークルで頒布した時、思いっきり改行ミスがあったことも判明しており、それも治せればいいなーと思っていたり、さらに推敲を重ねて文章を豊かにできたらいいなと思ってます。中編の執筆も進行中ですので、気長にお待ちいただけたらと思います。
 ……もしかしたら、小説以外の媒体ができるかも――?

カガリ

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