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Fate/Dead Line

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#中編小説

【二次創作小説】Fate/Dead Line 第二話 銀河鉄道の中で

 セイバーとライダーは言った。それは、紛れもなく藤堂 雅和が召喚したサーヴァントなのだという。
 つまるところ、藤堂 雅和は聖杯戦争という殺し合いに巻き込まれてしまったのだ。
「こっちに来てくれないか? セイバー」
 ライダーの声かけにより、後ろの車両に乗っていた誰かがひょっこり顔を出した。
 藤堂は目を見張った。
 可憐な少女だった。アンテナを模したような大きな髪飾りをつけた彼女は、不機嫌そうな

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【二次創作小説】Fate/Dead Line 第一話 夏森の聖杯戦争[1]



 藤堂 雅和が目を覚ますと、そこは見慣れない列車の中だった。まるで大正時代にタイムスリップしたかのようなレトロな木造列車。
 外は夜で暗いはずなのに、なぜか地面が輝いている。
「ケンジ! この人、目を覚ましたよ!」
 金髪の子どもが大きい声を出してケンジを呼ぶ。
「そんなに大きい声を出さなくても、ケンジは来るよ。ジョバンニ」
 藤堂を目を覚まして非常に喜んでいる金髪の子ども──ジョバンニを諌

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【二次創作小説】Fate/Dead Line Prologue

 瞬きをも許されぬような速さで、藤堂 雅和の背中に何かが刺さった。女武者の槍だ。
「かたじけない。聖杯戦争のことは一般人には知られてはならぬ。某とて、そなたを殺めたいわけではなかった」
 ひゅー、ひゅー、と音がする。
「六文銭の誓いにかけて、せめてそなたは極楽浄土へ逝けるように、ここに祈りを捧げておこう」
 うまく空気が吸えない。

 ──ふと、月を見る。
 身体が、心が、魂が、紅に染まっていく。

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