「垣間見えた調理スキル、イベントが展示空間に反転する。」ARTIST’S STORAGE BAR第1回レポート
第1回ARTIST’S STORAGE BARが開催されました!
12月23日、クリスマスの前日に「ARTIST’S STORAGE BAR」の第1回が行われました。(めでたい)
この日を迎えるまでに、1年近く議論が交わされ、微調整と大調整を繰り返してきたので、いよいよ1年を通した企画が始まるんだなとひしひしと感じています。
「ARTIST’S STORAGE BAR」は、2023年12月から1年間を通して4回キュレーターやコレクターなど、アートに関わる様々な業種の方からの推薦という協力のもと若手アーティストの発表・販売の機会の創出とデジタルアーカイブを勧めていくプロジェクトです。
主に京都を拠点に活動を行っている若手アーティストが推薦対象で、推薦を受けたアーティストのデジタルデータの閲覧と物販、バースペースでの飲食をイベント開催時に行います。
初回となる今回は、当ホテルスタッフ2名と代表である扇沢の推薦によって、梶原瑞生さん、中村夏野さん、三保谷将史さん、米村優人さん、六根由里香さんの5名の作品をアーカイブさせていただきました。
それぞれの作家さんのHPはこちらから!
梶原瑞生さん
中村夏野さん
三保谷将史さん
米村優人さん
六根由里香さん
当日のイベントでは、彼・彼女ら5名の作家の作品がモニターに映し出され、バーカウンターでは扇沢さんによる手料理が振る舞われていました。
また、一見すると物販を行っている作家はおらず、モニターと会話がメインのイベントに感じられたのですが、実は密かに米村優人さんによるパフォーマンス《tip(service)》(2023)が行われていました。
このパフォーマンス作品は、来られた方が集まって談話していたバーカウンターから柱を挟んだ反対側の机の上に置かれた指示書とベルが起点となっており、指示書には、wikipediaによるtip(チップ)の引用とベルを押されることで何らかの行為が行われることが記載されています。
イベントも終盤に差し掛かった辺りでベルを押されると、スタッフルームから作家である米村優人さん(元ホテルマンのアルバイト経験あり)が少し不満げな表情で、おもむろに近づき会話をはじめました。
会話の内容を聞き取ることはできなかったのですが、おそらくはこのイベントや彼自身、あるいは日常的な会話が繰り広げられていたのではないかと推察できます。
このパフォーマンスを(勝手に)(学術的に)読み解こうと思うと、ボリス・グロイスが提示するインスタレーションという手法には、作家の主権的な操作が加わっている。というような記述のように、作家(作品)によってその場の状況を主権的に組み替えるような動作が行われたのはないだろうか。と振り返ります。
今回のイベントは、どうしても河岸ホテルや作家推薦を行なった人がホストとなることでその場の主権を握ります。それを作家が自身の空間に引き寄せることで、イベント自体が単なるコミュニケーションを超えた身体・経験的なものになったのではないかと思います。
あまりにも、イベントではなく作品に触れすぎかもしれませんが、イベントの中でこういった実験的なことが行われることは、作家が発表を超えて実験的に関わることにつながりますし、来られた方にとってもその場限りの出来事に対面することができるため非常に実りのある実践だったのではないかと思われます。
また、扇沢さんの料理は短時間で調理されたと思えないほど本格的で美味しかったです。
そういった、普段の使っているスキルとは別のスキルが思いもしないようなところで発揮される機会があることが、ホテルの違った面が見えてくるようで、この企画の側面なのかもしれません。
第2回のイベントは3月1日です!
インディペンデントキュレーターの上田聖子さん推薦の元、イベントが行われます!
1回目からさらにブラッシュアップさせ、お楽しみいただけるよう邁進いたしますゆえ、ぜひ、お越しください!
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