
[線形代数] はじめてのベクトル空間
まず、高校での「大きさと方向を持つものがベクトル」というのは
一旦、忘れて下さい。これは「空間ベクトル」というもので、
ベクトル空間にいくつかの概念を追加して、より限定した集合です。
1.ベクトル空間
「その中の元の、和(差)をとったり、スカラー倍(スカラーで割る)
したものが、また元にならないといけない」
という集合です。この性質からわかるように
始めから空集合ならダメですが、
始め元が1個であっても、即 無限集合になります。
この点が、中高で習う集合とは違います。中高で習う集合は、
何かのもっと大きな集団から、条件をつけることにより
範囲を定めます(定義する)
それで、ベクトル集合と呼ばず、ベクトル空間と呼ぶ
のだと思います。
1個の元や部分集合を示して、それからベクトル空間を創る時
「ベクトル空間を張る」といいます。
2.ベクトル空間の定義
体kに対し、集合Vが、k上のベクトル空間であるとは、
(1) 任意のu,v ∈V に対し u+v ∈V
(2) 任意のu ∈V、任意のa∈k に対し a・u ∈V
(3) 空集合でないこと
ただし、上記の 和とスカラー倍は、以下を満たしていること
u,v,w ∈V, a,b ∈k に対し、
u+v = v+u 。。。和の交換則
(u+v)+w = u+(v+w) 。。。和の結合則
u+0=0+u=u 。。。和での0∈V の存在
(a・b)・w = a・(b・w) 。。。スカラー倍の結合則
(a+b)u = a・u+b・u 。。。スカラー倍の分配則
a(u+v) = a・u+a・v 。。。スカラー倍の分配則
1a=a1∈V 。。。単位元1の存在
0a=a0=0 。。。0∈V の存在
注:ベクトルどうしの積や除算(逆元の存在)は要求されない
(ベクトルの内積が定義されたものが内積空間)
空集合でなければ、0∈V が証明できる
3.ベクトル空間の例
① 実数を成分とするN次の列か行のベクトル全体
これを R^N と書く(複素数ならC^N と書く)
② 普通のN次の多項式全体
③ 区間(a, b)で連続な関数全体