原則を知り情報と上手に付き合う|『やり方』ジプシーに陥りがちなあなたへ
情報化社会の中で、健康やライフスタイルに関するアドバイスは無限にあります。新しい方法を試しては次に移る「やり方ジプシー」に陥りがちな人も少なくありません。しかし、すべての「やり方」に飛びつくのではなく、自分にとって本当に必要な情報を選び取るには、いくつかの原則を知っておくことが大切です。今回はその原則を、古今東西の知見を交えながらお伝えします。
まずは自分を知ることが最優先
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の兵法の言葉は、健康や生活習慣にも当てはまります。自分の体調や性格、価値観を知ることが、無駄な情報に惑わされないための第一歩です。
例えば、流行の健康法を試す前に、自分の体にどのような問題や傾向があるのかを把握しましょう。睡眠が浅いのか、食生活に偏りがあるのか、運動不足なのか。それを知ることで、情報を取捨選択しやすくなり、必要以上に新しい方法を探し回ることもなくなります。
『最高の睡眠』と『養生訓』に学ぶ予防の重要性
健康の基盤を整える最も重要なポイントは、予防です。『スタンフォード式 最高の睡眠』で提唱されるように、十分な睡眠は心身を健やかに保つ要です。また、江戸時代の健康書『養生訓』には「未病を防ぐ」という予防医学の考えが詳述されています。
現代では、忙しい生活の中で自分を酷使し、不調が現れてから対処する人が多いですが、これは後手の対応です。
十分な睡眠を確保する。特に寝る90分前のリラックスが、眠りの質を高めます。
定期的な運動や栄養バランスの良い食事を心がける。
メンタルケアやストレス管理を日々の習慣に取り入れる。
これらは一見地味ですが、積み重ねることで大きな違いを生み出します。
やりたいことを後回しにしない
『死ぬ前に後悔する25のこと』や『Die With Zero』といった著作は、人生の優先順位を考え直すきっかけを与えてくれます。私たちは健康や仕事、家庭といった多くのテーマに追われる中で、「自分が本当にやりたいこと」を後回しにしがちです。しかし、それが心身の不調を引き起こす原因になることもあります。
「自分が一番大事にしたいことは何か」を定期的に見直す
小さなことでも「やりたい」と思ったことはすぐに取り掛かる
こうした姿勢が、内面的なストレスを減らし、健康にも良い影響を与えるのです。
健康の基盤:睡眠・栄養・運動・価値観
健康の土台は次の4つに集約されます。どれか一つが崩れると、他の要素にも影響を及ぼします。
1. 睡眠(呼吸:息)
質の良い睡眠は健康の基盤。深い呼吸でリラックスすることが、質の高い睡眠につながります。腹式呼吸を取り入れるだけでも、睡眠の質は向上します。
2. 栄養(食事:食)
体を動かすエネルギーや修復する材料は食事から得られます。まごわやさしい(豆類、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いも類)や「5色の食材」を意識すると、バランスの良い栄養摂取が可能です。
3. 運動(動)
運動は血流を促進し、ホルモン分泌を整える効果があります。激しい運動をする必要はありません。日常生活の中で、こまめに体を動かすだけでも十分です。
4. 価値観(考え方:想)
ストレスは心の持ちようで変わります。重要なことにフォーカスし、余計な不安や心配を手放す練習をしましょう。
偏らず、逆らわず、バランスを
「健康」に関して、偏った方法や考え方に執着するのは逆効果です。大切なのは、バランスを保ちながら、無理なく続けられる習慣を持つこと。東洋医学でも、西洋医学でも、最終的に求められるのは調和です。
偏らない心と体の状態を作るために、「自分が無理なく続けられること」を基準にしてください。
重要なことにフォーカスする『80:20の法則』
全てを完璧にしようとするのではなく、少ない努力で大きな成果を生むことを目指すのも一つの手です。『80:20の法則』によれば、結果の80%は20%の努力から生まれるとされています。
例えば:
食事の基本を「まごわやさしい」にしておけば、細かい栄養素を気にしすぎなくても良い。
週2~3回、軽めの運動をするだけでも十分な健康効果が期待できる。
完璧を目指す必要はありません。効率よく、実践できる範囲で続けていくことが大切です。
情報に振り回されないために
健康に関する情報は溢れていますが、大切なのは自分にとって「何が合うか」を見極める力です。そのためには、自分の状態を把握し、原則に基づいて判断することが必要です。
情報に流されるのではなく、自分の軸を持って健康を育む方法を選び取ってください。そして、健康を維持する習慣が人生をより豊かにし、幸福感を高めるものだと気づいていただければ幸いです。