実用的なアメリカの教育
日本の教育内容や先生方の感覚と比較すると、アメリカの高校教育は実用的(practical)であるように配慮されていました。日本のように「実用性はないけれどセンター試験で聞かれるから」と行った理由付けをする必要がないのも高校教師としては羨ましいところ。
語学学習においても、日常生活で使えるか、旅行に行ったときに使えるか、など実戦的な場面の設定とその練習に重きをおいていました。また、社会や理科のような科目でも実社会とのつながりの中で考えようとする態度がよく見られました。
生徒の方も、実生活に役に立たないと分かった瞬間に手のひらを返したように興味をなくす者や、あからさまに「やる必要なし」と態度で示す者もいました。アメリカでは、使える内容を教わっているか否かによって、学ぶ価値があるかが決まる。そしてそれを判断するのは生徒である、というような印象です。
教科書に従って、先生の話を聞くだけの授業を受けてきた世代で、教員になった今も一斉授業をしていないとなんだか不安になってしまうような呪縛の中で生きている私からみれば、今のアメリカの授業に対する態度は随分と実用的な授業が多い感じるのですが、調べてみると、世の中のアメリカ人はもっと実用的な事柄を学校が教えるべきだと考えているようです。
この調査によるとアメリカ人の84%が学校で学んだことが実生活で役にたたない知識があったと回答しています。特に代数学と微分積分…(数学の先生方すみません)そして特に、習っておいていたらよかった科目トップ5は以下の通りです。
1. Money Management and Budgeting (予算管理)
2. How to properly do taxes (確定申告)
3. How to manage mental wellbeing (精神衛生管理)
4. Understanding loans (ローンの組み方)
5. How to negotiate (交渉の仕方)
どれもこれも、確かに実生活で必要なものばかり。
そういえば、私のアメリカの勤務校でも「Individual Living」という選択科目がありました。どのような授業か詳しいことは分かりませんでしたがアメリカ人の先生は「一人暮らしをする時に必要な知識じゃない?そういうの大切だと思うよ」と話していました。そういうことは学校じゃなくて家庭で教わるものじゃないの?という感覚になりますが、家庭教育に頼れないアメリカでは日本とその辺の感覚が全く違います。
日本にもアメリカ同様の未来が待っているかもしれませんが、実用的なものだけが必要な知識でもないはず。完璧なまでに効率化を目指すアメリカの特徴であるかもしれません。
しかし、実際アメリカ人から見たら、今の日本の授業ってどう映るのでしょう。
考えたら汗が…。
日本の教育が非実用できとはいいませんが、今、実施している教育の目的を蔑ろにしている節がないとは言えないと思っています。自分への反省も含めて日本の教育の良さも伝えられるように準備しておかないとな、と思っています。
頑張るぞ!