新パパ論争②~「世界中の男性がパパだ」という発想

前回、新しいパパをほしがる息子について書きました。

離婚してもうすぐ3年ですが、
私の息子はずっと新パパ(アタパパ)をほしがっています。

とはいえ、息子のパパは近所に住んでおり、毎週のように泊りに行っています。
息子にはすでにパパがいるにも関わらず、「一緒に住む新パパがほしい」と無邪気におねだりしてきます。
息子は一人っ子なので私との二人暮らしに相当退屈しているらしく、
「きょうだいか、パパがほしい」とも言っていました。

私自身も、「息子の遊び相手がほしいな」って、よく思います。
私の元夫は子供を遊びに連れだすタイプではありませんでした。
興味がないのだと思います。

実は私もまったく子供の遊びに興味がないので、
離婚前も離婚後も、二人とも子供を遊ばせることができない!という状況なのです。

それでも、私は親権を持っておりますし、「夏休みくらい、息子をどこかへ遊びに連れて行かなくは」と思い、先月初めて海水浴へ行きました。
友達親子と行ったので、友達との交流は楽しかったのですが、海はやっぱりイヤでした。

・基本的に焼けたくない!
  →遊ぶことより美容に興味があります。
・波が怖い!
  →波に乗って遊ぶ楽しさがわからなくて、「ホンットに私をさらわないで!」って思ちゃいました。
・足がつる!
  →波に対して殺意を感じました。
・髪とお肌がベタベタでテンション下がる!
  →潮のべたつきはイチャイチャの範疇を超えてウザかったです。

基本的に私は遊ぶことに興味がないのですよね……。
私の友達が息子をいっぱい見てくれたので、本当に助かりましたが、
私自身は「友達がいないとぜったいムリ!」って思っちゃいました。

ただ、夫も嫌いなのですよね、たぶん。
夫はあまり自らの話をしない人なので、「連れて行きたくない」とは言いませんが、まったくノリノリではありません。

離婚後に、三人で遊園地へ行ったこともあるのですが、マジでつまらなそうでした。
迷路やクイズが好きな息子の提案により、三人で立体迷路に行ったときのこと。
迷路の途中にクイズがあって、それに答えて進みますが、
息子が「わからないよ~」と頼ってきても、私は「わからない」と即答して、夫は大人の視点から「これだろ」と、あっさりと回答する始末です。

迷路とは思えないほど、サクサク進み、さっさとゴール。
たぶん三人とも「大して面白くねーな」って思っていたのじゃないかしらーー。

そんな中、つい先日、息子を連れてとあるイベントへ行ったときのこと。
それは、地図を見ながら、指定の場所へ行って、そこにあるクイズに答えていくという冒険型のイベントだったのですが、
もちろん私はクイズにも冒険にも興味がありません。

ノリノリの息子とは裏腹に私のテンションはドンドン下がります。
それでも母親としての責任感を絞り出して、目の前にあるクイズに考えているフリをしていました。

「ねぇ、ママわかる~?」
と、私に問う息子。

「わからない、ママにはまったくわかならない!」
と、大して考えもしない私。

その時、近くに一組のファミリーが現れたのです。

「おっパパは、わかったぞ!」
男性の声がしました。

「パパすご~い! ヒントちょうだい!」
高めの声は女の子でした。

そこにはいたのは、お父さんと女の子二人というファミリーの姿。
女の子がクイズを考えていると、お父さんはいち早くその答えに気が付き、
娘たちにヒントを出しているようなのです。

「カタカナにしてみるといいよ」
パパのヒントが私と息子にも届きました。

「ねぇ、こうちゃんカタカナだって!」
私は息子に伝えます。

「うんうん!」
息子もそれをヒントに答えを探ります。

「パパ~、もう少しヒントちょうだい!」
娘がおねだりします。

「ぜんぶ、カタカナして、同じコトバが入るのだよ!」
パパは工夫をこらしてヒントを出します。

その瞬間、

「あっ!イヤホンだ!」

と大きな声が上がりました。

パパはこちらを見て、口の前に人差し指を立てると、
「し~」っと言いました。

「みんなに聞こえないように、大きな声を出しちゃいけないよ」ということを伝えるように、優しく注意を促したのです。

「あっ!すみません」
私は思わず謝りました。
そうです、答えを出したのは私でした。

それから、私と息子はなんとなくそのファミリーについていき、
パパの出すヒントを頼りに、答えを探しました。

地図を見ながら進まなくてはいけませんが、私はそもそも地図が読めないので、ただただパパについていきました。

道中、娘たちと「その洋服カワイイね!」なんて話しながら……。
そんなこんなで冒険は進みました。

「パピ~、ヒントちょうだい!」

いつしか息子はパパのことを「パピー」と呼び始めていました。

「う~ん、そうだな~」
パピー自身もパピーであることを認めてくれました。

「パピ~、私も知りた~い!」
私もノリノリでおねだりします。

「ねぇねぇ、その洋服どこで買ったの?」
「イオンだよ」
「イオンってそんなかわいいんだ!私も行きたいな!」
なんて娘たちとの会話を弾ませながら……。

こうして約1時間後、冒険は終わりました。

「パピ~、ありがとう、またね!」

と手を振ってお別れした私たちの顔はとてもスッキリとしていました。

さて。
パパって、これでいいんじゃないかなって、少し思います。

私の夫はこういうことが好きじゃない人で、
今回のパピーはこういうことが好きな人なのだろうって思いました。
クイズのヒントを出すパピーはすごく楽しそうだったし、
私の夫はぜんぜん楽しそうじゃないから。

みんなそれぞれに好きなことがあって、
それをやればいいのではってちょっと思いました。

息子に「パパの何が好き?」と聞くと
「カレーがおいしい!」と答えます。
元夫はカレーを手作りするのですよね。
毎週末パパの家に泊りに行くのは「カレーが食べたいから!」って息子は言います。
しかも、元夫は余ったカレーをタッパーに入れてテイクアウトさせてくれたりします。

「田舎のオカンか!」
と、私はいつも爆笑しています。

元夫のお母さんも、すごく手作り料理が上手で、いろんなものをテイクアウトさせてくれました。

ちなみに、私は絶対にしません。
カレーを手作りなんて絶対にしません。
クイズ大好きパピーもカレーは手作りしないかも知れません。

元夫はそれが楽しいのだと思います。
みんなそれぞれに好きなことをして、子供に愛情を注いでくれればそれでいいかなと思うのです。

知らない男性を「パピー」と呼んじゃう息子を見ていて、
「そっか、世界中の男性がパパなんだ」と感じました。

離婚してもパパはパパだし、
血縁関係がなくても、パピーはパピー。

私も世界中の男性が夫だと思って生きていけばいいかなって思います。

そうしたら世の中のシングルマザーたちも、
夫に不満を持つマザーたちも、
そのプレッシャーに苦しむファザーたちも
みんな少しは楽になるかなって、
そんなことを思ったります。

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花森かえ
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