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【こ8】「Wi-Fi」について

今日のコラムは、Wi-Fiについてです。

皆さんは、口を揃えてWi-FiだWi-Fiだと言っていますが。
果たしてそれが、どういう経緯で付けられた名称なのかご存知でしょうか。
もし、言葉の意味も分からずに使っていたとすれば、それは別にWi-Fiという時代の先端を行き、それでいてナウでヤングでポップな言葉を用いる必要はなくてもいいわけです。別に「お[ピー]こ」でも構わないわけです。
それが無線LANであるという事さえ理解していれば、さすがに女性器名称はやり過ぎなまでも、「出前」や「謎」といった単語でも問題ないわけです。

「この時間の『出前』は、スッゲー遅い」
「『謎』の電波が届かないんじゃ、使えない」

Wi-Fiではなく、仮にそういう単語であったとすれば、孫正義は事ある度に「出前ですか?たった今出ました」と言っていたでしょうし、WiMAXなんてモノは「月刊ムー」に取って代わる新たなミステリーの扉を開く存在となっていたでしょう。
ちなみにWi-Fiとは、アメリカの業界団体「Wi-Fi Alliance」の登録商標だそうです。そこの偉い人のネジが緩んでいて「DEMAE」という名前にしなくて本当に良かったと思います。

話は変わりますが、私は「昭和」の人間です。
10年そこらで頭角を表した新語は、今ひとつピンときません。
私にはWi-Fiというシャレオツな単語より『Hi-Fi』の方が馴染みがあります。

今を生きる新人類には理解できない言葉でしょうが、昔は記憶媒体といえば「ビデオテープ」でした。ブルーレイでもハードディスクでもSSDでもなく、3倍モードで6時間録画できるテープでした。画像も音声も今より相当劣っていますが、それでも高画質で音のキレイなビデオレコーダーには「High Fidelity」の略称であるHi-Fiが、少し大きめのフォントで書かれていました。中村雅俊の家には『マックロード』というビデオデッキがあり、CMでさんざん自慢をしていました。菊池桃子に至っては「桃子、ウサギの耳になりたい」という理由で、マスタックスという名前のビデオデッキを自分のファンに挙って買わせました。菊池桃子はアイドルであったのと同時に「敏腕営業ウーマン」でもありました。ビデオデッキを買わせたとて、菊池桃子の耳はウサギになる訳がありません。日立と菊池は上手くやりやがったものです。

それよりもっと前でしょうか。
Hi-Fiは機械的な物体に付けられた名称ではなく、『ハイ・ファイ・セット』という3人組の混声ユニットのグループ名でした。「元祖・いきものがかり」のような存在です。名付け親はY.M.Oの細野晴臣。さすが日本を代表するテクノポップユニットだけあって、センスのあるネーミングです。これが電気グルーヴだったら「ギ・おなら吸い込み隊」という頓珍漢なネーミングだったでしょう。山本潤子もガッカリです。

そんなハイ・ファイ・セットの代表曲に「スカイレストラン」があります。その曲の中には

懐かしい電話の声に
出掛けには髪を洗った

という歌詞があります。ハイ・ファイ・セットは40年以上前に「シャンプーをした上にメイクもばっちり整える」という肉食系女子のような事を歌っていたのです。まさに時代の最先端を行っていたのがハイ・ファイ・セットです。

しかも、大ヒット曲である「フィーリング」には

今 あなたと私が
美しければ それでいい

「てめぇとアタシさえ良ければ、周りはどうだっていい」。
そんな自己中でもあり、現代社会の無関心さを訴えていたわけです。
更には、

そうよ
愛は男と女が傷付け合う ふれあいなの

これはいただけません。
「愛」という理由でドメスティック・バイオレンスを肯定する事は許されません。しかしながら、将来的にはそういう世の中が来るんだぞという事を見事に的中させています。
ハイ・ファイ・セットは、ゲッターズ飯田や島田秀平より頼りになる存在だと言えるでしょう。

Wi-Fiだろうと。
Hi-Fiビデオデッキだろうと。
ハイ・ファイ・セットだろうと。
時代の先を行く事物には、似たような言葉が付けられています。
濡れ手に粟の一儲けを企んでいる方は、いますぐ「ああファイ」から「んんファイ」までの言葉の羅列を、特許として取ることを推薦します。
これは余談ですが、盛んに言われている5Gは「5th Generation」の略です。『れめファイ』という言葉で特許を取っても、あまり意味はありません。

最後になりましたが。
ハイ・ファイ・セットのデビュー曲は「卒業写真」です。
世の中が大変な時期ではありますが、ご卒業おめでとうございます。
以上、コラムでした。

【参考文献】
 ・Wikipedia「Wi-Fi
 ・Wikipedia「Hi-Fi
 ・Wikipedia「ハイ・ファイ・セット