見出し画像

【こ10】「財布」について

今日のコラムは、財布についてです。

現代社会は全ての決済が「電子マネー」で完結し、財布は無用の長物になりつつあります。
しかし、私がまだ髪をなびかせてブイブイ言わせていた頃には、そのような近未来的決済システムなぞ存在していませんでした。

金銭のやり取りは紙幣ないし貨幣であり、それを収納するアイテムこそ「財布」でした。ウォレットでした。
ケツを洗う装置ではありません。あれはウォシュレットです。

男達にとって財布という小物は、時計や香水と並んで「狙っているおネーチャンを引き寄せる為の重要な道具」でした。
ハイブランドであればあるほど、男のステータスでした。
たとえ中身が「高円寺ー飯田橋」と書かれた定期券とレシートだらけであっても、セゾンアメックスカードさえ挟んでおけば完璧でした。

財布はコーチ、ポール・スミス、ディーゼル、バーバリー、クロムハーツ。
時計はロレックス、オメガ、グランドセイコー、フランクミュラー。
香水はD&G、ブルガリ、ダンヒル、カルバンクライン、ジヴァンシー。
この辺をコンプリートしておけば「お札風呂に入っておネーチャンをはべらかすゲスな男」には勝るとも劣りませんでした。

ちなみに、私の大学時代の友人ですが。
ロレックスは「カメラのさくらやウォッチ館」で買い。
D&Gはドン・キホーテで、食器用洗剤「ジョイ」と一緒に買い。
シューズはエアマックスでなく「Recbok(リックボック)」。
彼は相当な買い物上手でした。

時と話を戻します。
バブルと呼ばれ、平野ノラがラモスと呑んでいた頃でしょうか。
その時代のステータスは「車」「スーツ」「学歴」でした。
品川ナンバーのBMW。最低でも日産シーマ。
スーツはアルマーニ。もしくはタケオ・キクチ。
学歴は慶応か一橋。そして彼女はフェリス!もしくは上智!
この辺を揃えておけば、クリスマスの赤プリを前後左右に揺らすことぐらい朝飯前だったでしょう。

それより前になると「刀」「馬」「家柄」でしょうか。
名刀正宗を腰に差し、白馬に乗る松平家の跡取り息子。
そんな男がサンバでも踊った日には、吉原もさぞかし炎上した事でしょう。

今は、どのようなアイテムがイカしてるのでしょうか。
ガラスがバリンバリンに割れても「iPhone」なのでしょう。
Windowsが得意なのに「MacBook」を片手に持ち、あまおうのフラペチーノが飲みたいのに無理してシンプルなブラックを頼み、スタバのソファ席に座ってフリーWi-Fiの電波を拾い、さも仕事をしているかのように始末書を書いているのでしょう。
それにも関わらず、勤務先だけは「サイバーエージェント」だったりするのでしょう。
意識が高いのか低いのか分かりません。意識不明です。重体です。

ちなみに私ですが、お財布を今でもしっかりと持っています。
中には健康保険証とTカード。マクドナルドのクーポン券は必須です。
レシートに割引クーポンが付いていれば、印刷面を谷折りにしています。
あと交通系ICカード。Suicaの残高で新宿から阿佐ヶ谷まで余裕です。
それに楽天カード。最後までYahooカードと悩みました。
肝心のお金ですが、一万円札を入れておくと何故か減りが早いです。
「崩すと早い一万円」と言いますが、きっと誰かが抜いているのでしょう。
終電の終点で寝ていても、万札だけ失敬して財布と命は取られない。
日本は本当に治安のいい国です。

最後に。
私の財布は正月にイオンの春財布フェアで購入した、名もなき財布です。
タグに「関西ファッション連合」と書いてあったので、国産であることに間違いはないでしょう。

以上、コラムでした。

【参考文献】
 ・ベストプレゼント
 ・セゾンカード公式サイト
 ・関西ファッション連合公式サイト
 ・松平健公式サイト
 ・Wikipedia「赤坂プリンスホテル
 ・Wikipedia「吉原炎上
 ・Wikipedia「札束風呂