忘れたくないもの

気がついたら赤ちゃんが
すっかり子どもになっていた
私は忘れてしまったけれど
頭のどこかには
きっとまだ
あの時のあなたがいる

ずっと赤ちゃんだと思っていた
たくさんのおむつに
溢れかえるおもちゃ
ピィっとなるそれは
あなたを虜にし
気がついたら
隅に静かに置かれてた

気がついたら
色んななものを
忘れている気がするの
今日の予定も
明日の予定も
とるにたらない
全てのものたち

忘れてしまいたい
悲しいことばかり
覚えているのはなぜ？

今日やるべき宿題も
やるべきだった家事のひとつも
白髪が１本増えたことも
全部全部忘れたとしても

遠くに行ってしまったキミのことも
近くにいる大事な人も
赤ちゃんだったあなたも
優しかったあの人も
ずっとずっと
覚えていられるの？

ドライブに行こう
少し遠くへ
国道沿いのあの道を
ちょっと飛ばして
窓を開けて
きっとあなたは言うだろう
どうしたのって
どうもしてないんだけど
忘れる前に
こうしていたいだけ。
できればもうしばらく
こうしたいだけ。

※桃子の顔は宇多田ヒカルだと思わせてください。