人を使う事に慣れ切ったってこういうこと?
先日、私の親戚のお金持ちの話はしましたが
そもそも、これを書くきっかけとなったのが、ハザカイユウさんのこちらの文章。
あー、分かる分かる。こういう人いるいる!と思いながら気がついてしまったんですよ。
私も身近に金持ちがいたではないかと!
しかも、このプレゼントを「取りに来て」
に通ずるものがあるエピソードも満載。
これは書かねば!と思った次第なんですね。
でも、一応実在する人物だし親戚だし、ということで真面目な文体にしてみましたが、今回は完全におふざけ。
あそこに書いた文は私の本心であるし、利き手側の半身が麻痺した状態から、達筆な草書の書かれるまでに回復させるのは、そうとう至難の業。
というわけで彼女の事は十分にたてた思うので、今回は彼女が、我々下位の親戚にした事を一挙ご紹介。なかなかに豪快で、これがセレブか、と感じることうけあい。
前置きとして、私の親戚であるお金持ちのおばさまは、生まれた時からずっとお金持ち。
お世継ぎの関係か夫は婿養子であり、彼女は家から出た事がない。そんな訳でお手伝いさん付き、お抱え運転手付きという生活をずーっと送られているわけで、人を使う事に長けている。
いえね、けっして嫌味じゃないんですよ。
人を使うってことはかなり難しいことで、身勝手にあれやっておいてこれやっておいて!みたいな軽いノリでは済まないのが普通。
家事サポートだろうが雑用だろうが仕事なので、管理者側がキッチリ目を光らせねばならない訳で、それなりに気を使う。
なので本来家庭内のお手伝いさんというのは、何もできない人間が、あーだこーだとわがままを言えるような存在ではないのだ。多分。
さて、前置きはここまでにして、話したいことは表題の通り、人を使うことに慣れ切った人の言動についてである。
正直あのおばさまからは、我が家は下に見られていると思う。むしろ露骨に
バカにしている
と感じる程だが、本人にその自覚はない。
いやね、本当に自覚はないんだと思いますよ。
だって彼女にとってそれは
当たり前のことだから。
だって彼女からみたら我が家は本当に
下位の親戚だから。
もうねそれ以外考えられないんですよ。
考えても見てください。
彼女自身は(私が知る限り)教養のある方に違いないんですよ。だけどもここまでナチュラルに人を下に見るのはすごい。
きっと本当に無意識で自然にされているんだろうな〜と思う。ある意味気を許した証拠なんだろうけど、なかなか珍エピソードが溜まってきたのでご紹介。
まず
アポ無しで我が家に来ることが普通。
アポ無しであれば事前に準備をする必要がないこと(できないからね)我々が留守だったら帰ればいいという合理的な考え方で
我々に気を使ってアポ無しというスタンス。
かっこいいでしょ。やっぱセレブはこう出なくっちゃ。
まあ言わずもがなってやつだけど、その本心はまったく違って
私は忙しいから、あなた達にわざわざ連絡なんてしてる暇ない!
という潔さで、豪快にマイペースを貫いてくる。
実際にそう言ってたし。
さっすがセレブ。チョークールだよね!
だから彼女が、脳梗塞を患い右半身麻痺してしまってからは、
アポ無しで来る彼女を家族総出で
介助。
しかも我々家族はみな160センチ以下だが彼女は170近い身長がある。だからもう必死ですよ。
身長150センチ以下で当時80代の祖母も手伝ってたよ。もうどうかしてるよ。
せめてアポイントメントくれ。
そんな訳で、ときに失礼なことを言われたり自慢話をされたり、トイレ介助(おしもの世話はなかったけど、便座付近まで連れて行く、ズボンの上げ下げ及び身だしなみチェック、手洗いの手伝いなど)をしたり、贈り物を受け取ったりと忙しなかったけど、そのセレブっぷりを間近で見られるエンターテイメントとしては楽しかった。
そんな調子で彼女は我が家に来るもんだから、時には施しをするような振る舞いをする。
だからある日突然
大量のブランドバックとブランドスーツを持ってウチに現れたりする。
無論中古だよ。ご自身の使ったやつね。
よかったら是非、ってくれたの。
結構たくさんあったかなぁ。
わあ!ありがとうございます!と答える他ないからそうしたよ。
当時は私も未熟だったから、割と本気で喜び、気に入らなければ売り飛ばそうと思って、ありがたく頂いた。また機会があったなら本物のブランドバックだったら喜んで頂戴したい。本物ならね。
そう、言い回しで察しがついたとおもいますが、あの時の贈り物には
ニセモノが混ざっていた。
しかも質屋で発覚したんだからどうしようもない。まあ質屋が引き取ってくれたし、他のものも含めて、たらふく焼肉食べられるお値段にはなったのでヨシとした。
ちなみにブランドスーツは、着れもしないのになぜか祖母が手放さず、よって祖母が死んだらこれもどこかにドナドナする予定。期待はしてないよ。
でもこの時の贈り物はもう一つある。
これがスゴかった。
それは、
大量の桃
である。
本当は桃でもなんでもないが、便宜上桃に。
で、桃なんですが、あなたは桃の産地の桃農家のお宅に桃を送りますかね?
送らないですよね。でも彼女はするんですよ。
桃農家の家に桃を送るんですよ。
びっくりしますよね。そりゃあいい桃でしたよ。
そんなこと分かりますよコッチはプロなんだから。というかウチ、桃は売るほどあるのよ。
聞けば貰いすぎて捌けなくなったという。
あー、ありがとうございます。立派な桃ねぇと言いながら、家族全員顔を引きつらせながら受け取りました。いやもうスゴイわ。
もしかしてタネから育てて交配するとでも思ったんかな?
基本的に彼女のおもてなしはうちの祖母が仕切っていたんですが、さすがの祖母もアレ?と思ったらしい。あの人ってこんな方だったっけ?と聞くと、そうさな…と言ったきり黙ってしまった。
まったく。
うちはなんでも喜ぶゴミ箱じゃないんだよ。
我が家に一悶着起こした後、数年後にもっと凄まじい事件を起こす。
これこそが
産後アポなし襲来事件である。
産院から退院して3日ほど経ったあとだろうか、今から1時間後に、私の産んだ赤ちゃんに祝いの品を送りたいから、
家に行く!
と言うのだ。なぜ1時間前に連絡が来たかと言うと、
道を間違えて着くのに1時間はかかりそうだったから。
これはアポイントメントとは呼ばないよね。
だって道を間違えなかったら、アポ無しで来てたんだよ。すごいでしょ。
産後寝たきりの人がいる家にアポ無しで来るか?正気じゃないよ。しかも彼女は介助してもらう気満々。なに考えてんだ。
それが彼女の当たり前なんだろうなぁと感心するのだが、この頃には流石に必死のリハビリの成果が出ていて、杖と手すりのダブル使いで割とたやすくリビングまで行く事ができた。
ありがとうおじいちゃん。
おじいちゃんの介護のために付けた手すり、すごく役にたったよ。
産後の肥立ちが悪く、しかばねのようになりかけていた私を叩き起こし、家族全員に気を遣わせた彼女が渡したかった品は、
お食い初めの食器。
彼女と我が家は一応親戚だから、その家紋が入った漆塗りの代々伝わる古き良き品を、どうしても渡したかったらしい。
いやー、有難いなぁ。けど今じゃなくていいよね。まだ新生児だよ。
そんなことを思いながらその品を受け取った。
母は、これ壊したらどうしようと恐れをなし、祖母は急すぎる来訪に、焦り慌てふためいた。
自宅にはそこら中に赤ちゃんの気配があり、粉ミルクに紙おむつ、そして私と赤ちゃんの布団が、リビングの隣に敷かれたままだった。
そんな訳で大変疲れた我々は、第二子の長男誕生時にはお食い初め食器をやんわりと拒否。
そして今では我が家に長男がいることすら、忘れ去られている。(別にいいんだけどね)
今のところ、このお食い初めの食器お届け事件が、私が知りうる彼女の最終訪問となっている。
はっきりいって、この最後の来襲は
迷惑以外の何者でもなかった
本当に困ったから、今後はせめて連絡下さいと言ったらしいんですよ。そうしたら
私は忙しいから、あなた達にわざわざ連絡なんてしてる暇ない!
と言ったわけ。スゴイよね。
彼女にとって我々下々の者は使用人くらいにしか(いや、それ以下?)としか思ってないんだろうな。
さすがに私も過去最大のドン引き。
なんで彼女と1番近しい祖母にきいたんですよ。
アレどうなのよ、普通なの?って。
祖母、うんともすんとも言わずに固まっちゃったよ。
そゆこと、そゆこと。
彼女は根っからのお嬢様育ち。
そして彼女は、あの広いお屋敷に1人きり。
そりゃお手伝いさんや、お抱え運転手も居るけど同居家族はいない。
だから誰もその行いに対して、意見する者はいないのだ。きっとね。
とはいえね。
彼女がどーしてここまで一般常識から外れた行動するかというと、彼女にとってお客様のもてなしも高価な贈り物も手慣れたものだから。
そりゃそうだよね。いつ誰が来てもお手伝いさんに支度を頼み、自身は指示をしてお客のお相手をしていれば良いだけ。
実は私の祖母も元お嬢様育ちで、我々孫や同居娘をアゴで使うものだから、その感覚はなんとなく分かる。きっと急に誰かが来ようと困ったことはないのだろうな。
もうしばらくお会いしていない彼女だけど、最近はアポイントメントをくれるらしい。
一度、急に来たものの誰もおらず連絡もつかず、やむなく1番近い喫茶店で時間を潰したもののどうにもならず、仕方なく帰ったそうな。
たった一度のそれに懲りて、以降彼女は連絡をするようになっている、らしい。
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