『潮風舞う』
ベランダの窓を開けると海が目の前に飛び込む。
そして世界遺産・厳島神社のある宮島が。
潮風が部屋の中を満たす。
洗濯物は……潮の香りがつく。
海が私の世界の中心でした。
ですが、当時は社宅住まい。
いつかはさようならをしなければなりません。
なんとか18歳。
高校卒業まで潮風が纏う社宅に住むことができました。
私は卒業し、新たな地・博多へ。
同時に、父の仕事の関係で家族も社宅を出ました。
生まれてから18歳まで過ごした実家を失いました。
寂しい。
悲しい。
愛おしい。
もう二度と戻れない【実家】。
潮で充満された部屋の香り。
キラキラと太陽の光が反射する波。
月夜が照らす静かな海。
今でも忘れません。
広島の小さな海辺の街
私を見守ってくれた街。
私を育んでくれた街。
ここが私の好きな潮風舞う街です。