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石内都展 肌理と写真@横浜美術館

横浜美術館で石内都さんという女性写真家の展示を観てきました。

写真展ってあんまり行ったこともなければ、正直、今まであまりアートとしての写真というものに興味が無くて、どうかな〜と思いながら参加してみたのだけれど、結構興味深いものがありました。

展示はモノクローム写真も多め。観ていて楽しいかと言われればそう楽しいものではないのだけれど、このモノクロームを構成してる黒い点々、いわゆる粒子のザラザラ感が風景に新しい生命を与えているように感じて、面白かった。

モノクローム写真は、鑑賞者が如何様にも想像できる、如何様にも色付けできるから、見る側に唯一の風景を提供できるってことも魅力なのかも、なんて思ったりもしました。この家屋だって、頭の中では何色でも塗れるもんね!

途中、モノクロで、ご老体の染みだらけの裸体を撮影した写真や、傷跡のある女性の裸体を撮影した写真なんかも展示してあります。決して生で見たら一般的には綺麗とは言い難い、目を背けたいようなものなのに、皺の折り重なりや、ひとつひとつの毛穴だったりが、すごくリアルに、それでいて彫刻のように美しく迫ってきたのが心に残りました。今回の展覧会のタイトルにもある「肌理(きめ)」ってこういうことか〜!と納得。きっと、これはカラー写真では、こうは心に迫ってこないし、こうは鑑賞できないだろうなと思わされる、肌という物質を映すためにこの撮影の仕方に辿り着いたんだなという、説得力のあるものでした。

カラー写真はこんなかんじ!特に絹というコーナーではこんな風に絹の着物の写真がカラフルに展示されていて、心ワクワク。やっぱり前述の肌のように、これらの着物の写真からも布の質感がすっごくしっかり伝わってくるの。

写真、っていうよりもそのまま絹を額縁に収めたように見えるでしょう。絹に染まっている色ひとつとっても、布のシワにしても、写真としてこんなにリアルに出せる、生々しさを表せるのってすごいと思うなぁ。

着物、パッチワークされている。この形になるまでにも、それぞれの布にそれぞれの物語があったんだろうなぁなんて思いを馳せてみる。しかもこの着物「奉納」って書いてある。どこにどんな経緯で奉納されたんだろうか。写真1枚にドラマがありすぎるぞ。

万人に両手放しで勧めるような所謂楽しい展覧会ではないけれど、写真やテクスチャに興味がある方は、この展覧会で肌理を感じるのはきっと素敵な経験になるはず。
#写真 #石内都 #美術 #アート #肌理 #肌理と写真 #横浜美術館

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