「世界の絶景」 11.南アイスランドの旅 その1 セルフォス観光とオーロラ撮影
南部アイスランドには美しい自然や史跡が多く、大小無数の滝、間欠泉と地熱地帯、氷河、広大な溶岩原、緑が美しい酪農地帯とバラエティに富んだ地形が特徴。中でも南海岸地域とゴールデンサークルはアイスランド旅行では外せない観光スポットだ。
今回のツアーでは、オーロラ撮影も目的としているため、セルフォスで2泊、レイキャビクで2泊し、計4回のオーロラ撮影に挑戦した。
次回の投稿は、「その2 レイキャビク観光とオーロラ撮影」を予定しています。
1. ケプラヴィーク国際空港からセルフォスへ
首都レイキャヴィークから南西に延びるレイキャネス半島にあるケプラヴィーク国際空港から今夜のオーロラ撮影地・セルフォスへむかった。
バスの車中からは薄赤く染まった空の下に見事な雪景色がみえた。
2.アイスランド南海岸
(1)ブラック・ビーチ
火山国のアイスランド。火山性の岩が砕けて、波に揉まれて出来上がった海浜がある。ブラック・ビーチ。その名の通り、黒砂の海岸だ。
そのブラック・ビーチにある「ディルホゥラエイ」は、長さ120メートルの岬で、黒砂海岸や山並みの美しい眺望が広がっている。
とくに海に突き出した岩には、何百年もかけて浸食された結果、船が通れるほどの大きな穴があいて、絶景を造っている。イギリスのトロール漁船員がブローホール(額の穴)と名付けた断崖は、アイスランド語で「扉の丘の島」という意味だそうだ。
ディルホゥラエイからは黒い砂浜が続く海岸線を一望でき、海に突き出た奇岩がみえた。
この巨大な岩の柱は「レイニスドランガル」といい、玄武岩でできた柱状節理だ。元々、山の一部だったが、長年の風化と浸食により山と切り離され、高いものだと60m以上もある。現在でもレイニスドランガルは風化と浸食によって姿を変え続けているそうだ。
(2)エイヤフィヤトラヨークトル氷河
エイヤフィヤトラヨークトル氷河火山は2010年大噴火を起こし、ヨーロッパの航空網に多大な影響を及ぼした山で、世界中のニュースキャスターを困らせた、異常に長い名前も話題になった。
標高は1651mで、アイスランド南海岸で最も高い山の一つだ。
私達のツアーでは、氷河までいかずに、その入り口付近の風景を見るだけにとどめ、次の目的地・セリャランズフォスへ歩をすすめた。
(3)セリャランズフォス
セリャランズフォスは最大落差約65m。滝の裏側にはくり抜かれたような窪みがあり、滝壺を囲うように造られた小道を歩いて滝の裏側に入ることができる。
滝の裏側からは、世界的にも珍しい空をバックに水流を眺めることのできると聞いていたので期待していたのだが、私の訪れた冬季は、滝裏の小道は凍結のため通行止めだった。
ガイドの説明によれば、このあたりの山の南端は、かつては大西洋に面した海岸線だったが、徐々に海岸線が後退し、海岸線は高く切り立った崖となって崖の上まで流れてきたセリャラントスアゥ川が滝となって流れ落ちているのだという。
(4)スコーガフォス
水量も多く天気の良い日には光り輝く落差60mの滝。
エイヤフィヤトラヨークトル氷河から流れるスコーガ川の最下流にある滝で、太い水柱が轟音とともに、地底めがけて突き刺さるように落下している。スコーガ川には20もの滝があって、「滝の王国」とも呼ばれている。
3.ゴールデンサークル
(1)ゴールデンサークルとは
ゴールデンサークルは、西はシングヴェトリル国立公園からゲイシール間欠泉を経て、東はグトルフォスの滝まで一帯のエリアで、アイスランドで最も人気のある全長300㎞の観光ルートだ。
レイキャヴィクから東に約30〜70kmと都市圏からの距離が近く、アイスランドの雄大な自然と歴史を感じることができる黄金のルートである。
見どころは、ゲイシール間欠泉、グトルフォスの滝、大陸プレートの割れ目シングヴェトリル国立公園(世界遺産)など多彩だ。
(2)シンクヴェトリル国立公園
ゴールデンサークルの中で一番広い観光地・シンクヴェトリル国立公園には「ギャオ」とよばれる、地表に現れた大陸プレートの割れ目があり、その割れ目の両側に崖が聳えている。
これは北米大陸プレートとユーラシア大陸プレートの縁で、シンクヴェトリルではプレート同士が引っ張り合い、一年に数センチずつ遠ざかっているという。
このため大地の割れ目や谷もたくさん見られ、大西洋中央海嶺を歩いて渡れる、地球上でも大変珍しい場所だ。
公園内の美しい池は、氷河の雪解け水が湧きだした泉で、水中の視界は100mもあり、吸い込まれてしまいそうな美しい青色の世界を体験できる。水温は年間を通して2~3℃くらいで、水が常に流れているので真冬でも凍ることはない。
(3)ゲイシール地熱地帯
ゲイシール地熱地帯は、地熱活動が非常に活発なエリアだ。
・ストロックル間欠泉
5~10分置きに大噴出し、40mにもなる熱水の柱を空中に描く様は圧巻だ。
・ヘトリスヘイジ発電所
火山大国として知られ、地熱開発が進むアイスランドにある地熱発電所のなかで代表的なものが、こちら。世界第2位、国内では最も大きな規模を誇るヘトリスヘイジ発電所だ。
この施設が位置するのは、標高約800メートルのヘインギットル山のふもと。この山は活火山で、地熱は温泉にも活用されている。
この発電所でできた熱水は、約20キロ離れた首都のレイキャヴィクまでパイプで送られる。パイプラインは断熱性に優れ、一帯は冷涼な地域にありながら、到達するまで水温は2度しか下がらないそうだ。
石油や石炭が産出されないアイスランドの電力は、約3割が地熱発電、残りの7割が水力発電によるもの。つまり、国内の電力はほぼ100%、自然の再生可能エネルギーで賄われている。
かつてはエネルギーの大半を、輸入した石油や石炭に頼っていたアイスランド。荒涼とした大地から湯気がもくもくと立ち上る景観は、地熱大国に変貌した証でもある。
(4)グトルフォス
「黄金の滝」を意味するグトルフォスはアイスランドの滝の中でも力強く、美しい滝の一つとして有名だ。ラフティングで人気のクヴィータアゥ川の一部で、落差は32m、二段になった崖を流れている。
氷河を水源とする滝で、非常に水量が多く、轟音を立てて流れ落ちていく様子は圧巻で、晴れた日には滝が黄金に光り輝くことから“黄金の滝”と名付けられたそうだが、私が訪れた冬季は凍っていたので、光り輝く姿も、轟音もなく静かに佇んでいた。
4.オーロラ撮影
セルフォス一日目のオーロラ撮影は、ホテルで夕食をすました後に近くの川辺で撮ることになった。
雪の積もった道を約15分歩くと教会があり、その側に流れる川の岸辺がオーロラの撮影ポイントだと聞いて、視界の広がる場所に三脚を立ててオーロラが出るのを待つ。ほどなく、遠くの山の上空に緑色の帯状の光が見えた。
オーロラ撮影の二日目は、昨日と同じ場所へ行ったが、残念ながらオーロラは出なかった。
「皆さん一度ホテルへ戻って休んで下さい。オーロラが出たら電話でお知らせします」。というガイドさんの言葉に甘えてホテルへ戻った。
11時を過ぎた頃に「もうすぐオーロラが出そうです」という電話がかかってきたが、「どうせ待たされるだろうな」とタカをくくって10分位してから出かけたが、ウッカリして反対方向へ行ってしまった。遠回りして昨日と同じ場所へ行ったら、戻ってくる人たち出会った。
「オーロラ、見えました?」と 聞いても、曖昧な返事だったので、「ともかく行ってみよう」と歩いていくと、別のツアーの添乗員が「あちらに見えますよ」と。昨日とは違う方向を教えてくれた。肉眼ではハッキリとは見えなかったがカメラに収めてみると下の写真を撮ることができた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?