見出し画像

適切な目標設定でチャンスを引き寄せる方法

以前のnoteで、やる気やモチベーションを引き出すための「動機付けの方程式」についてご紹介しました。

今回は、その続編として、モチベーションを維持しつつ、チャンスを引き寄せやすくする「適切な目標設定のコツ」について書いてみたいと思います。


キャリアや人生は、計画通りに進むことの方が少ないですよね。むしろ、突然のハプニングや予期せぬ出来事が私たちの進路を大きく変えることが多いものです。しかし、そうした偶然の出来事は、ただ待っていても訪れるわけではありません。ここで大事なのが「偶発性を引き寄せやすい状態を自分で作ること」や「チャンスを引き寄せやすい目標を設定すること」です。

ジョン・D・クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」でも述べられているように、予期せぬ出来事がチャンスをもたらすためには、私たちが積極的に動いている必要があります。偶発性は、行動することでその確率が上がるのです。

では、どうやってチャンスを引き寄せやすい目標を設定するのでしょうか?

偶発性が生まれる4つの条件

偶然を味方にするためには、次の4つの条件が揃った時にチャンスを呼び込みやすくなります。

1.遺伝特性

生まれ持った身体条件や性格、才能など、私たちの遺伝的な特性です。「好きこそ物の上手なれ」と言われるように、自分が打ち込めるもの、好きになれるものを見つけることが鍵で、またその「好き」を見つけることができること「好きになること」そのものも「性格」とみなすことができるそうです。自分の中で自然に楽しめる分野で目標を立てる方が、長期的に見て偶発性が生まれやすい、ということなんでしょうね。

2.環境条件

外部の環境も大きな影響を与えます。市場の状況や時代背景、家族的な制約など、私たちがコントロールできない要素も多いですが、まずは冷静にこの条件を見定めることが大切です。

3.困った時の行動パターン

人は困難に直面すると、お決まりのパターン=自分が慣れ親しんでいる方法で対処しようとする傾向があります。ここで重要なのは、目標に合った行動パターンを持っているかどうかです。例えば、困難に陥った時に「ひたすらがむしゃらに頑張る!」こと一筋では、なかなか偶発性は引き起こしにくいとのことで。それだけでは限界があると気づいて、別の方法や新しい解決方法を探ったり、取り入れることが必要になってきます。

4.学習体験条件付け

私たちが過去にどのような行動体験、学習経験を積んできたかが、未来の偶然に影響します。例えば、身近にいる人からの影響や、自分で見出した成功パターンの反復、また誰かの成功体験(ロールモデルなど)を真似て見ることなど。

好きこそ物の上手なれ、でも越えられない壁

この中で、特に「遺伝特性」に関して興味深いのは、「好きこそ物の上手なれ」という考え方です。確かに、好きなことに打ち込むことでスキルが磨かれ、上達することは間違いありません。でも、どれだけ好きであっても、越えられない壁が存在する場合があります。それが以下の4つの分野です。

·     音楽:人を感動させる曲を作れるくらいのレベル
·     執筆:文章で人の心を動かせるくらいのレベル
·     数学:宇宙物理学者レベル(天文学的な数字を扱えるレベル)
·     スポーツ:アスリート遺伝子のある人

これらの分野では、いくら努力しても生まれ持った才能や遺伝的な影響を無視することは難しく、到達できるレベルには限界があるかもしれません。しかし、それ以外の分野では、「1万時間の法則(エキスパート理論)」と呼ばれる理論が通用します。この理論によれば、何かに1万時間の練習や経験を積むことで、誰でもその分野でエキスパートになれる可能性がある、と言われるものです。もちろん、個人差はあるものの、努力と時間の投資が鍵となります。

続いて、偶発性を引き寄せやすい目標設定はどうすれば良いのか?
架空の人物の事例を用いて、具体的にお伝えします。

【アスリートキャリアを継続するべきかどうか? / 目標に悩む26歳の男性 Aさん】
Aさんは、高校・大学時代を通じてスポーツ競技に熱中し、日本代表強化キャンプの選手にも選ばれるほどの実力を持っていました。しかし、プロとしての道を歩むには、現実的な課題も多く、十分な活動資金を得られる有力なスポンサーもついていない状況です(環境条件)。Aさんはこのままアスリートキャリアを続けるべきか、それとも他の道を探るべきか、迷っている状態でした。
しかし、彼の強みとして際立つのは、「トライアル&エラーを自ら試し、繰り返すことができる」姿勢です。Aさんは、これまでコーチの助言に頼るだけではなく、独自の方法で自分に合ったトレーニングを見つける力を持っていました(課題解決力=困った時の行動パターン)。また、彼は過去に「黙々と粘り強く努力することが評価される環境で、頑張れる性格が武器となってきた」経験を持っています。また「才能に甘えず、頑張って結果を出している人を尊敬する」タイプです(遺伝特性、学習経験)

果たして、このAさんに偶発性(偶然のチャンス)は起こるでしょうか?
起こるとしたら、どんな偶発性が起きそうでしょうか?


Aさんに最適な目標とは?

Aさんは、プロ選手の道を追求するだけではなく、もっと広い視野で自分の可能性を見つけることが必要です。彼は、これまでのトレーニング経験を通じて、自分自身で問題を解決し、効率的なトレーニング方法を見つけ出すスキルを培ってきました。このスキルは、選手としてだけでなく、コーチやトレーナーとして他の選手を指導する道でも活かせるはずです。彼が自分の経験を体系化し、他のアスリートに教えることで、新たなキャリアを築くチャンスが生まれるかもしれません。

さらに、Aさんはこれまでスポンサーを探して活動資金を得ようとした経験もあります。これを通じて、実は彼には営業力があることに気づきました。そこで、彼はスポーツ関連の企業に自ら提案を行い、その企業で営業職に挑戦するという新しい目標を立てることも考えられます。スポーツの分野で培った知識や経験を活かし、製品やサービスの販売を通じてスポーツ業界をサポートする役割を果たすことができるでしょう。

このように、Aさんはプロ選手という一つの道に固執するのではなく、彼自身が持っているスキルや経験を再評価することが大切です。トレーニングを続けるだけではなく、新たな学びや価値観の広がりを取り入れることで、偶発的なチャンスが舞い込む可能性が高まります。例えば、スポーツ業界の営業職やトレーナーとしての新しいキャリアパスを見つけることで、偶然の出会いや新たな機会が広がるかもしれません。

このような発想の転換は決して簡単ではありません。でも、このような目標を設定して、挑戦していく価値は十分にあります。プロ選手として成功することだけが唯一の目標ではなく、これまでの努力や経験を活かして、他の形でスポーツに関わり続ける道を目指すことで、新しい扉が開く可能性、そこにチャンスを呼び込める機会はあると言えそうですよね。

このように、偶発性を引き寄せるためには、柔軟な思考や価値観を広げること、新しい目標に向けた行動、などが鍵となります。


今回、このセミナーを受けて、目標設定は単なる計画ではなく、チャンスを引き寄せるための準備とも言えるんだな、と感じました。自分の遺伝特性や環境条件を理解しつつも、それに基づいた現実的かつ興味を持てる目標を設定することで、偶然の力を味方にすることができる。そこに努力と時間を投資し続けることで、思いがけないチャンスが舞い込んでくると思うと、よりモチベーションも湧いてきます!

そろそろ年末も近くなってきましたね。
年末年始で、新しい目標を立てる、という人も多いのではないでしょうか。
ぜひその際に、今回の「偶発性を呼び込みやすい目標設定のコツ」をヒントにしてもらえたら嬉しいです^^

いいなと思ったら応援しよう!