読んだ/ 目標管理実践マニュアル
こちらの記事で書いたやつ、読み終わりました。
1969年発行。
本書は大きく分けて3部構成です。
東京芝浦電気(東芝!)で実際使われていた管理職向けの目標管理マニュアル
これが取り入れられた背景の読者向け解説、発行の経緯
実際に使われた目標管理カードの実例
これ系の本はよく買うんですが血が通っているっぷりがすごくて、その理由がたぶんこんなかんじ。
本を売るための文章ではなく、自社社員の管理職に向けた文章がそのまま掲載されている。読んで気持ちよくなるため、理想を持たせるためのものでなくどこまでも実践用。
2020年代の「目標管理」は、まさに本書が危惧する「人事評価のための形骸化」がされてしまっているけれど、本書は新しく取り入れたばかりの時代のものなので本国アメリカのエッセンス(社員に自主性を持たせるためのものである、という目的意識)が強い。
ポンチ絵がほとんど存在しない。図表と文章で伝えようとするから、逆にわかりやすい。
変な横文字がない
上記のようなノイズの少なさですごく読みやすかったです、50年前の本だっていうのに。
「目標」という言葉を「成果目標(例:三ヶ月後に新刊出すぞ)」「手段目標(毎日最低30分は原稿に触れる)」に分解したり、組織の上層部から末端まで統一した目標を持たせる必要だったり、目標設定は部下にしゃべらせろとか、でも明らかに間違ってること言ってたらそれは早めに遮れとか、とにかく具体的。
目標設定の面談をする際の注意事項とかもおもしろい。
目標管理を取り入れる背景についての話もおもしろかったです。「とにかくがんばれ」というぼやっとしたそれではなく、「不況だから3人でやってたことを2人でやる必要がある、だから個人の能力値を上げる必要がある」というとても合理的な理屈。
あと肝心の目標達成についての計算方法も「これTRPGの経験値計算みたいだな……」って思って面白かったです。まあリソース管理とその評価ってことをやってくと似通っていくってことでしょう。
ざっくり書くと、達成度×困難度×努力度で計算する、てことです。
簡単な目標をやった人が得にならないように、とか。
目標っていっても部署によっては自分たちではどうしようもない要因があるからそのときはこうしようねとか。
古い本には情報の発酵がある、と読んだことがあります。成長期の企業の空気を感じられる良書でした。