読んだ:つれづれ語学日記
最近英語学習のモチベ下がってるのでふと見かけて買いました。コミックエッセイ。
「楽しく学び続けられるヒントがいっぱい」の帯の文字に惹かれて、あんまり深くは考えてなかったけども具体的なハウツーがいっぱい載ってんのかなくらいに思ってた気がします、買った時。単語を書き出してトイレに貼ろう! とか、そういう。
で、思ってたのとは違ったけど、思ってたよりよかった。
メインは著者が日々をどういうスタンスで過ごして、どういうふうに語学学習と向き合っているか、です。その描写の中でハウツー的なアレも出てくるけど、それはメインではなく、「日々食事や呼吸のように語学学習をしている人がどういう思考なのか」というロールモデルというかスタイルが描写されてる本です。なので「参考書を3回読め!」とか「2ヶ月以内にこれをやりきれ!」みたいなのを期待してる人からするとおそらく肩透かしなんですが、私はこういうのが読みたかったのかもしれない、と読んだあとに思いました。
読んでて非常に似ている、と思ったのが「特定のジャンルにハマっている際の創作系オタクに似ている……」ということ。
一次創作でも二次創作でも工作でも手芸でも、なにかにハマっている間のオタクは目に入る森羅万象をその活動に結びつけて考えます。ショーウィンドーで見たあの服は「うちの子」に似合いそうとかこのアフタヌーンティーは推しカプに行ってほしいとかこのモチーフは次の作品に活かせそうとか、隙あらば考える。その「ぜんぶ結びつける」を、この人は語学でやってんだ……活動ジャンル:語学学習、なんだ。
創作系オタクでなくても、人によってはそれが恋愛だったり育児だったりする人生の季節があったりすると思うんですけども、「学習」ではなく「語学というものにハマってる人の生活パターンと行動」を見せてくれる、という、別の行動様式のそれが見れるって意味でバンギャの生態や医者の生活のコミックエッセイと同じ読み味でした。語学学習の参考の本ではなかった。私にとって、いい意味で。
いろんな人がいる、ということと、やっぱ「好きになる」「ハマる」的な考え方で向き合うのがいいんだろうな、というのに気づけた本でした。
あと本書で初めて知った、トキポナ!
これ人工言語だそうです。人工言語というと宮沢賢治も話者であったエスペラント語が思い出されますが、あれとは違って、トキポナは「最小の努力で最大の意味を表現する」ことを目的としているそうです。
なんと単語は全部で120。数字も3を超えたら「いっぱい」という表現になる。人間の思考過程をそのまま表現することを目指している、そうです。
なるほど人間は数字という概念がないと「4」以上を認識できない、と聞いたことがあります。あと、言語の概念として「知ってしまう」から「考えてしまう」のだと。
で、ちょうど同時期にこんなツイートも見まして。
少し前に「求めすぎるから不幸だと感じてしまうのでは」みたいな記事を書いたんですけど(バニラアイスにカラーシュガーをかけて考えたこと)、考えすぎてしまう人がトキポナを習得してトキポナでものごとの指針を立てたり考えたりするっていうの、実は有効なのかもしれない。シンプルに考えろと言われたって母語ではどうしたっていろんなことばが立ち現れてくる。
というようなことを考えつつ、まあ、良い参考書に出会って「英語楽しいのでは!?」と思ったときの気持ちを思い出したので、楽しいことをまた再開しようと思います。