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ウォン・カーワイとタイと青春

タイに初めて行ったのは1991年の2月だったか。大学の語学研究所でタイ語の初歩の読み書きを習い、タイ料理を食べ、サークルの先輩たちの卒業旅行に付き合ってバンコク、アユタヤ、プーケットなどに行った。バンコクで運転手を雇い、プーケットまでジャングルの中を爆走しているバンの中で延々友達と話し続けていた。青春のタイ。だからタイの映画というだけで1.5倍くらいのノスタルジーが発生してしまう体質になった。

そういうことで、『プアン/友だちと呼ばせて』というユーミンの歌詞のようなタイトルの映画だけど、ウォン・カーワイの製作総指揮ということもあり出かけてみた。

簡単にあらすじを説明すると、タイ人の若者が友達とふたりで、ニューヨークでBARを開こうとするが、友達は喧嘩してタイに帰国してしまう。喧嘩別れした友達が数年ぶりに電話をかけてきて、白血病なので、元カノに会って返すものがあるので付き合って欲しいという。元カノが3人もいるところがミソ。

『ジョイ・ラック・クラブ』はオムニバスで3人の中国人移民の姉妹のストーリーを描いていたけど、それをいい意味でライトにしたような視聴後感もあった。オムニバスで何人かの人生を描き、それが最後に一本のストーリーラインにつながってくるような作品が好きなので、とても楽しめた。タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』とかガイ・リッチーの『スナッチ』とかね。

あのとき、あの彼 or 彼女とうまくいってたら、どんな人生が待っていたんだろうという「人生の if 」って、誰でも考えたことがあると思うんだけど、そういうノスタルジアに触れて、いろいろな感情が蘇ってくるような映画だった。視聴後感は最高。


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角野 信彦
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