【詩】呪縛
愛とかどうでもよくなってしまいました。
空腹とか無視できるようになってしまいました。
春風のようにやさしい声で教科書が読み上げられる火曜の三限では、あんなにも耐え難いものだったのに。大地を揺らすほどの助けを求める叫びでも、電車の走行音のように気にも止めなくなりました。
色彩とかどうでもよくなってしまいました。
赤色と橙色の中間とか考えなくなってしまいました。
だいすきな詩集を読んでいても、言葉が文字から紙から溢れ流れることはなくなって、灰色のまま動かなくなりました。
愛や色彩がどうでもいいなんて人間として間違ってるからこれはもうやめた方がいい、というとても美しい言い訳をつくりました。美しいものにはみんなを納得させる力がある。一人を納得させてもやめられなかったから十人納得させるものをつくった。十人納得させてもやめられなかったから百人納得させるものをつくった。百人納得させるものをつくって、自分が納得していないことに気づいた。その事実が苦しくて泣いて、泣いて泣いて、結局机に向かいました。
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詩です。
読んでいただきありがとうございます。