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【イベントレポート】山田孝之&仲野太賀主演「十一人の賊軍」ワールドプレミアをレポート! 東京国際映画祭で初お披露目!

映画「孤狼の血」シリーズや「死刑にいたる病」の白石和彌監督が手掛けるエンターテインメント時代劇がいよいよ全国公開。この日は11月1日の初日に先駆けて、第37回東京国際映画祭で一般への初お披露目が行なわれた。上映前には、白石監督と山田孝之ほかキャスト陣がレッドカーペットで各国の取材に応えたのち、有楽町・丸の内ピカデリーで上映前の舞台挨拶を行なった。その模様を登壇者たちのコメントとともにレポート!

文/河内文博(アンチェイン)

◆イベント概要
〈「十一人の賊軍」第37回東京国際映画祭一般上映舞台挨拶〉
【日時】2024年10月28日(月)
【場所】丸の内ピカデリー2
【登壇者】山田孝之 鞘師里保 佐久本 宝 千原せいじ 一ノ瀬 颯 野村周平 小柳亮太 本山 力 白石和彌監督

左から白石和彌監督、本山力、一ノ瀬颯、佐久本宝、仲野太賀、山田孝之、鞘師里保、千原せいじ、小柳亮太、野村周平、紀伊宗之プロデューサー。記念写真を撮影したレッドカーペットの様子

◆映画「十一人の賊軍」について
「十一人の賊軍」は日本近代史における最大の内乱・戊辰戦争を描いた物語だ。新政府軍「官軍」の侵攻により、除々に旧幕府が追い詰められていた。旧幕府側の新潟、新発田藩の家老・溝口内匠(阿部サダヲ)は、官軍の進撃を止めるために、「砦の護衛作戦」を立案する。集められたのは、殺人、賭博、火付けなどの罪で投獄されていた、政(山田孝之)たち死罪人。彼らは、圧倒的不利な命懸けの戦いの中で無罪放免を勝ち取るために、新発田藩決死隊の兵士郎(仲野太賀)たちと共闘して、護衛作戦に臨むのだが――。

開催中の東京国際映画祭で、丸の内ピカデリー2に登壇したのは「十一人の賊軍」に出演した山田孝之、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、野村周平、そして白石和彌監督。登壇者の山田以下6人は罪人の賊軍を演じ、野村は新発田藩決死隊の隊長・入江数馬役を演じている。劇中では血と汗と泥、煙にまみれて、エネルギッシュに生を渇望する姿を演じていたが、この日はそれぞれが黒を基調としたシックな衣裳に身を包み、映画ファン、海外のプレスが見守る中、質疑応答で映画の魅力をアピールした。

故郷に残した妻に会うため「生」への執念を燃やす罪人・政役の山田。

山田孝之「現代に置き換えて楽しめる時代劇」

観客の拍手とともに登場したのは、監督&キャスト陣。開口一番「私が山田孝之です」と独特の挨拶で会場を見渡し、観客を笑わせたのはさすがの座長。山田は、「この映画は時代劇ですが、現代に置き換えても楽しめる作品です」と語り、上映を心待ちにする観客の期待を高めるコメント。
「私が鞘師です」と、山田の挨拶をキュートにマネてみせたのは鞘師里保。彼女は「今回、映画に初めて出演しました。作品の中では皆さんを支えていけるようにと頑張りました」とやや緊張の面持ち。

レッドカーペットで笑顔を見せるのは、女郎の「なつ」役を演じた鞘師。

続く一ノ瀬颯は、「僕は『二枚目』という役名なのですが、役名を名乗るのが恥ずかしかったです。最初、新発田藩家老役の阿部サダヲさんにご挨拶したときに『二枚目⋯二枚目ね!』と苦笑いされました(笑)」と撮影の裏側を回顧した。
また、「豊山(ゆたかやま)という名前で、お相撲さんをやっていました」と自己紹介したのは、大相撲の元力士である小柳亮太。「物語の舞台になった新潟県の出身で、オファーを頂いたときうれしくて、一生分の運を使った感じです」と俳優デビューとなった本作への想いを明かす。

本山(写真左)は侍の罪人「爺っつぁん」役を鋭い殺陣で演じ、小柳(写真右)は大悪党「辻斬」を豪快な存在感を残した。

白石監督は「ワールドプレミアという映画にとって、大切な日を皆さんとともに迎えられたことに心から感謝します。この作品は『仁義なき戦い』などで知られる映画脚本家・笠原和夫さんのプロットが元になっています。そのプロットを、約60年経て、映画化できたことを嬉しく思っています」と、過去の映画人へのリスペクト、そしてその想いを継いで撮影に挑んだ旨を述べた。

「仁義なき戦い」などの偉大な脚本家・笠原和夫へのリスペクトを熱く語る白石監督。

白石監督「名も無き人々の魂の叫びと生きざまを見てほしい」

本作では、登壇者のほとんどが個性豊かな罪人を演じたということもあり、MCからは役柄についての質問も投げかけられた。
山田は「妻のもとに帰る⋯その想いだけの役でした。彼(政)にとってはそれだけが正義なので、その行動が時に裏切り者に見えるかもしれません。現場では戦場から逃げ出す隙を伺うように、隅のほうにいました」とユーモアを交えながら、役に真摯に向き合った日々を思い出していた。
佐久本宝は「僕が演じたのは、花火師の息子で純粋な青年のノロ役です」と話し、撮影の裏側にも触れる。「撮影がどんどん過酷になるにつれて、現場では監督が逆に笑顔になっていったんですよね(笑)。その純粋な笑顔を見て、監督はノロの分身かもしれない!と思いました」と言い、監督も苦笑いするばかり。

劇中で、新発田藩の花火師の息子で、政を慕う「ノロ」役に扮したのは佐久本。

一方の千原せいじは「引導」という役。「お坊さんの役だったのですが、僕はこの映画の撮影の後、本当にお坊さんになりました。今はお経が上手いんです。なので、お経が下手な俺が見れるのは、この映画だけです!」とアピールして、会場の笑いを誘う。
次いで、紋付袴姿で登壇した本山力がコメント。本山は歴史ある東映剣会(つるぎかい)に所属する、殺陣のプロフェッショナル。本作では「爺っつぁん」という、剣術家の罪人を演じている。「時代劇の流れに逆らわざるを得ない侍」と自身の役を振り返り、「『もののふ(武士)』として、いかに生きるのか、その姿を演じました」と、壇上でも武士のような佇まいで作品へ臨んだ強い覚悟がにじみ出ていた。 

「撮影時は出家前でした」と語るのは、破戒僧「引導」役を担った千原。

野村周平は「彼らを引き連れるリーダー役で、悪くないけど悪いヤツという感じです!」と曖昧模糊とした表現。山田から「今日、何か言っているようで、何も言ってないよね!」と鋭いツッコミが入る。キャスト陣が吹き出し、一同の仲の良さが窺える一幕もあった。

野村(写真左)は新発田藩決死隊隊長・入江数馬役で、一ノ瀬(写真右)は新発田随一の色男「二枚目」役だ。

最後は白石監督が本作に込めた想いを吐露。「映画を作るうえでテーマを考えたり、いち作家として裏テーマを考えたりすることがあるんです。ただ、この作品は純粋に活劇エンターテインメントとして作りましたので、心から楽しんでほしいです。侍最後の時代を生きた、名も無き人々の魂の叫びと生きざまを見てもらえると嬉しいです」とメッセージ。監督、キャストが情熱を持ち寄って、エネルギッシュな時代劇として完成した本作は、現代を生きる我々の心を、感動と興奮で熱くさせてくれる一作に違いない。

◆映画公開情報

映画「十一人の賊軍」
監督:白石和彌
原案:笠原和夫 脚本:池上純哉
出演:山田孝之 仲野太賀
尾上右近 鞘師里保 佐久本宝 千原せいじ 岡山天音 松浦祐也 一ノ瀬颯 小柳亮太 本山力
野村周平 田中俊介 松尾諭 音尾琢真 / 柴崎楓雅 佐藤五郎 吉沢悠 / 駿河太郎 松角洋平
浅香航大 佐野和真 安藤ヒロキオ 佐野岳 ナダル / 木竜麻生 長井恵里 西田尚美
玉木宏 / 阿部サダヲ
配給:東映
 
11月1日より全国公開
【公式 HP】 https://11zokugun.com/
【公式SNS】 X:@11zokugun_movie / Instagram:@11zokugun_movie
 
©2024「十一人の賊軍」製作委員会
 
INTRODUCTION
舞台は 1868 年、「鳥羽・伏見の戦い」を皮切りに、15 代将軍・徳川慶喜を擁する「旧幕府軍」と、薩摩藩・長州藩を中心とする「新政府軍=官軍」で争われた“戊辰戦争”。
明治維新の中で起きた内戦であり、江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わる激動の時代である。その戦いの最中、新発田(しばた)藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、原案・笠原和夫は罪⼈たちが「決死隊」として新発田藩の砦を守る任に就くストーリーを創作した。
笠原は「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉の通り、勝った方が全て正しく、勝敗によって善悪が決まるのが当たり前の時代に“果たして勝つことだけが正義なのか?”と一石を投じるべく、憎き藩のために命をかけて砦を守らなければならない罪人たちの葛藤を構想した。しかし当時の東映京都撮影所所長・岡田茂は物語の結末が気に入らずボツに。怒りに狂った笠原は350 枚ものシナリオを破り捨ててしまい、日の目を見ることのないままとなってしまったが、笠原和夫が描こうとしたドラマは、今まさに日本が抱えている社会問題とシンクロすると確信した現代の東映が企画・映画化。

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