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【プレミア先行上映会レポート】アニメ「ばいばい、アース」/ファイルーズあい、内山昂輝、原作者・冲方丁が登場!

 『天地明察』(角川文庫)など数々の名作小説を世に送り出し、「蒼穹のファフナー」シリーズや「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」など、アニメ脚本も多数手掛ける作家・冲方丁。その冲方作品の“源流”と呼ばれる、ファンタジー小説『ばいばい、アース』(角川文庫)がWOWOWでアニメになる。第1話〜3話を劇場で堪能した観客の前に、原作者の冲方丁、キャストのファイルーズあい、内山昂輝、監督の西片康人が登壇。それぞれが本作の魅力を語った、プレミア先行上映会の模様をレポートする。
 文/河内文博(アンチェイン)

原作者・冲方丁も映像美&音楽に太鼓判!

 数々の名作小説を執筆し、人気アニメの脚本も多数手掛ける鬼才・冲方丁。彼が、2000年に刊行し、当時デビュー後第一作として話題となった小説が『ばいばい、アース』(角川文庫)だ。
世界でただ一人の「人間」にして、大剣使いの少女・ラブラック=ベルが、「自分のルーツ」を探す旅の中で様々な獣人と出会い、闘いを経て、成長を遂げていく物語。その『ばいばい、アース』がWOWOWでアニメ化されることとなり、放送&配信前に、ユナイテッド・シネマ豊洲で初の一般観客へのお披露目上映会が行われた。
 第3話までを観賞した人々の前に現れたのは、主人公のベルを演じたファイルーズあい、クエスティオン=アドニス役の内山昂輝。さらに後方の席から上映を観賞していたという原作者の冲方丁、監督の西片康人が登場。トークセッションがスタートした。
まず上映会の感想を聞かれた4人。「この不思議な世界観に取り込まれたての皆さんの前で一緒にいることが嬉しいです」とファイルーズが開口一番に話すと、内山は「アクションや音楽表現が素晴らしい作品です。劇場で観ていただくのにぴったりな上映会だったんじゃないかと思います」と続ける。
西片監督も「作り手として何度も映像を観ているわけですが、大スクリーンだとすごく新鮮でした」と感無量。「まさに劇場版のようなすごいクォリティですよね」と冲方も太鼓判を押した。 

本作への思い入れを語る、ベル役のファイルーズあい。

「描きたかったのは“英雄”の定義」/原作者・冲方丁

 冲方はMCから本作のコンセプトを聞かれ、執筆時のことを振り返る。「作家デビューしたばかりの頃でしたが、当時いちばん描きたかったのは“英雄”の定義でした。世界から疎外された存在、いわばマイノリティが世界そのものに抗い、世界と和解する物語を書きたいと。ただ、その頃は、ゲーム的なファンタジーが流行っていて。それとは違うハイファンタジーと言われるような、その作品独自の設定しかない作品を目指しました。ただ、若気の至りもあり、思いついたものを入れ込んだ部分もある作品ですね」と苦笑い。冲方が語るとおり、精緻に世界観を描きこんだ本作の圧倒的情報量が長年、映像化不可能と言われていた理由。
 西片監督は「これほど重厚な世界観を、どう描くのかはかなり考えましたね。また、『多様性』はこの作品のテーマの一つだと思うのですが、それは近年の海外のアニメ作品などでも描かれてますし、時代がこの作品にようやく追いついてきたんだと思いました」と応じる。

ベルはこの世界で唯一の「人間」の少女で大剣使い。

「ベル役はほぼ地声で演じました」/ファイルーズあい

 一方、キャラクターの魅力や印象を語るのはキャストの二人。ファイルーズは自分自身もエジプトと日本にルーツを持ち、日本の社会でベル同様にマイノリティとして悩み苦しんだ過去から、役に深く共感して演じたという。「ベルは良くも悪くも素直なんですよね(笑)。その不器用なところは、私も似ていると思います。なので、声は作らず、ほぼ地声で演じさせていただきました。声優としての私に新しい引き出しを作ってくれた大切なキャラクターの一人です」と思い入れたっぷりに語った。
 また、旅で出会う〈剣の国(シュベルトラント)〉の「四大剣士」の一人・アドニス役の内山も役についてこう話す。「彼は剣士なのに自分の剣を持っていなくてですね…。他人の剣を盗んで使うんです。その理由を説明するとネタバレになります(笑)。今後彼にまつわる秘密や事情がいろいろ描かれていくと思いますが、期待していただければ」と、ミステリアスなキャラ、アドニスのこれからの活躍をアピールした。

作家・冲方丁にとって、本作は作家デビュー後第一作だった。

「教育者の理想の形がシアンにはある」/冲方丁

 次は、第1〜3話までの名シーンを振り返って、登壇者に制作秘話を聞くコーナーへ。スクリーンに映し出されたのは、ベルと師匠のラブラック=シアンの別れの場面。ファイルーズは、「収録は、シアン役の諏訪部(順一)さんとご一緒できまして。シアンは、この世界の残酷さを知っているので、一人立ちをするベルに、心を鬼にして生きる厳しさを教えているんです」と説明。「諏訪部さんの厳しいけど、優しさも感じるお声のおかげで、より深く師と剣を交えるベルの葛藤を演じられました」とアフレコ現場を回顧した。
 劇中では剣を交えたのち、ベルが師匠のシアンにまつわる記憶の全てを強制的に失う展開。ファイルーズは、「ベルが師匠から巣立つときに、師を忘れてしまうという設定はどうやって思いついたのですか?」と、冲方に質問する一幕も。
 これに冲方は「当時思っていた教育者の理想像です。教えを託したあと、その教育者がいなくならないと、次の世代が新しい道を踏み出したときに、教育者が弟子に『俺の教えとは違う』と横から言う可能性があります。その意味で、次の世代の足を引っ張らないようにこうした設定にしました」と答え、冲方の真っ直ぐな言葉に一同は深く頷いた。 

本作のアクション、劇伴の素晴らしさに触れたアドニス役の内山昂輝。

「『ばいばい、アース』は視聴者を信頼している作品」/内山昂輝

 イベント終盤では、アニメの放送&配信情報などが公開。さらに本作を彩る、シンガーソングライター・LMYKによる主題歌(エンディングテーマ)の情報も解禁された。フォトセッションののちは、それぞれが思いの丈を伝えていく。
 冲方は、「24年前に本を出したとき、世界観が独特でよくわからないと編集に言われました(笑)。その難解と言われた作品をこれほど、間口を広く、わかりやすく、かつおもしろくできるんだと感嘆致しました。皆さんと一緒に今後の展開を楽しみにしたいと思います」と朗らかにコメントした。

アドニスは、〈剣の国(シュベルトラント)〉の「四大剣士」の一人。

 続いて、「『ばいばい、アース』は視聴者を信頼している作品です」と力強く語るのは内山。「説明過多になり過ぎず、映像で語っていくんだというこの作品の姿勢が第3話までで伝わったんじゃないかと思います。第4話以降、アドニスの秘密も明かされていきますので、ぜひ続きを楽しみになさってください」と話し、来場者の期待感を募らせた。ファイルーズは「いまの時代に『ばいばい、アース』がアニメになるからこそ、私がベル役としてこの場に立つことができ、声で彼女に寄り添うことができると思っています。かつての私と同じ悩みを抱える、マイノリティの子どもたちに勇気を与えられるベル役を担えることが嬉しいです」と込み上げてくるものがある様子。 「疎外感を感じたときは、“いつもベルがそばにいるよ”と作品を通して伝えたいです」との熱い言葉に、会場から拍手も。最後は「アニメーション、そして原作小説も素晴らしいので、ぜひ合わせて楽しんでいただきたいと思います!」と笑顔でイベントを締めくくった。 

アニメ作品情報

WOWOWオリジナルアニメ「ばいばい、アース」
〈スタッフ〉
原作:冲方 丁『ばいばい、アース』(角川文庫 刊)
監督:西片康人
助監督:横手颯太
シリーズ構成:吉野弘幸
キャラクターデザイン:日野優希
モンスターデザイン:ツブキケン・原 由知
デザイン協力 : 麻日隆(ヤングキングコミックス「ばいばい、アース」少年画報社刊)
美術監督:岡本穂高
色彩設計:篠原愛子
撮影監督:室塚勇伎
編集:山田聖実
音楽:Kevin Penkin
音響監督:久保宗一郎
アニメーション制作:ライデンフィルム

〈キャスト〉
ラブラック=ベル:ファイルーズあい
クエスティオン=アドニス:内山昂輝
ラブラック=シアン:諏訪部順一
キティ=ザ・オール:花江夏樹
シャンディ=ガフ:日野 聡
シェリー:早見沙織
ギネス:榎木淳弥
ベネディクティン:小清水亜美
 
〈公式サイト〉
https://bye2earth.com
〈公式X〉
@BBE_animePR 
 
[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]にて
2024年7月12日(金)23時30分より放送・配信開始(第1話無料放送)
[BS日テレ]にて7月13日(土)24時30分より放送開始
各配信プラットフォームにて配信予定!
 
©冲方丁・KADOKAWA/WOWOW,ソニー・ピクチャーズ,クランチロール

書籍情報

いまだかつてない世界を描くため、地球(アース)に降りてきた男、冲方丁のデビュー後第一作にして最高到達点!! 世界で唯一の少女ベルは、<唸る剣>を抱き、闘いと探索の旅に出る——。
 
書名:ばいばい、アースI 理由の少女
著者: 冲方丁
発売日:2007年09月22日
ISBNコード:978-4044729035
定価:649円(本体590円+税)
判型 :文庫判
 
【シリーズ紹介】
ばいばい、アース Ⅱ 懐疑者と鍵
ばいばい、アース Ⅲ 爪先立ちて望みしは
ばいばい、アース Ⅳ 今ここに在る者
 
★全国の書店で好評発売中!
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電子書籍ストアBOOK☆WALKER 

シリーズ累計20万部―冲方丁の幻の初期傑作が4冊合本で!

様々な動物の姿をした獣人が住まう世界で、ラブラック=ベルは唯一の人間として生まれた。牙も毛皮も鱗もない「のっぺらぼう」の彼女は自分と同じ存在を探す旅に出る――。鬼才・冲方丁の最初期の傑作が全4冊の合本で刊行中。
 
書名:ばいばい、アース 全4冊合本版 (電子書籍)
著者:冲方 丁
定価:2200円 (本体2000円+税)
©Tow UBUKATA 2000, 2007, 2008
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https://bookwalker.jp/de63fbae9d-703e-4102-bd4b-2d434a0e8f51/
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。 

【コミック紹介】

『ばいばい、アース』シリーズ4冊 (ヤングキングコミックス 少年画報社刊)
ばいばい、アース 1
ばいばい、アース 2
ばいばい、アース 3
ばいばい、アース 4

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