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書店員のイチ押し小説 第5回 啓文社 岡山本店・三島政幸さん

書店員さんが「イチ押し」だと思う本は、どんな本なのだろう?
毎日たくさんの作品に触れている「本」のプロたちに、カドブン編集部がイチ押し小説を聞いてみました!
連載第5回は、岡山県の啓文社 岡山本店の三島政幸さん!
岡山本店は同チェーン内で書籍売り場が最も広く、幅広いラインナップが魅力。日々最新の作品に触れている三島さんに、イチ押しの本についてメールにてインタビューを行いました。 

今回のゲスト
啓文社岡山本店 三島政幸さん

三島さんが書店員という仕事に出合ったのは20代の初めごろ。
たまたま同社の広島県福山市の新店オープニングスタッフの求人を見つけ、「本が好きなのでここなら働けるかな」と思い応募したのがきっかけとのこと。最初はアルバイトとして勤務を始め、そのころから売り場の担当を持ってさまざまな本を紹介してきたそうです。
現在は店長として店舗全体の様子を見ながら、日々新しい本を探し、売り場で展開しています。

――働いているお店の魅力を教えてください!
当店は岡山の中心部から少し南へ行ったところにある「岡山モール」という建物に入っています。啓文社は広島県を中心に展開しているチェーンですが、岡山県の店舗は当店のみ。啓文社で書籍売り場が最も広いお店です。
岡山市内でも大きな規模の店なので、話題書から専門書まで幅広い品揃えができるよう意識しています。休日はご家族連れが多いので、キッズコーナー(児童書売場)も充実しています。2023年には店内に「ガシャポンのデパート」がオープン、また、2024年9月に文具コーナーもできました。

店内は児童書売り場も充実。家族連れも楽しめる

――現在の三島さんの担当ジャンルはありますか? また、お好きな小説のジャンルを教えてください。
現在は「店長」なので担当はなく、全体を見ている感じです。

好きな小説のジャンルですが、圧倒的にミステリが大好きです。中学時代に読み始め、気が付けば「マニア」になっていました。綾辻行人さんの『十角館の殺人』に始まる新本格ミステリの隆盛も、リアルタイムで読んできました。
ほかにSFも大好きですね。また、本屋大賞への参加をきっかけに、ミステリやSF以外の小説もたくさん読むようになりました。

啓文社チェーン内で最も広い書籍売り場を持つ岡山本店。さまざまなジャンルの本が充実している

――三島さんのイチ押し小説を教えてください!

真門浩平『ぼくらは回収しない』(東京創元社)

書店員はどうしても、話題作やヒット作を中心に読書しがちな傾向があると思っています。出版社からいただくプルーフを読むことが多いので。そんな中、決して話題作ではない作品(と言うと失礼かもですが)から「自分だけのお気に入り」「ミステリ界隈の話題作」を見つけるのが好きで、そういう作品や作家に注目してプッシュしています。真門浩平さんはまだ短編集を2作出されているだけですが、『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』(光文社)とともに、非常にハイレベルかつサプライズ度の高いミステリを書かれており、これからが楽しみなミステリ作家です。1999年生まれと大変お若い作家で、若者たちの心理描写のリアリティも素晴らしいです。
真門浩平さんの凄さはまだ知られてないだろう、と、ほくそ笑んでいたのですが、YouTubeチャンネル「ほんタメ」で、たくみさんが「ほんタメ文学賞」として紹介されていたので、やられた、と思いました。

――この作品はどんな人にオススメでしょうか。
短編集なので、気軽にミステリを読み、驚きたい人にオススメですが、ミステリをたくさん読んできた読者でも楽しめるはずです。また、非常に現代的なテーマが多いので、今の若者にも共感できる部分が多いと思います。

――そんな『ぼくらは回収しない』の隣に置いてオススメしたい作品はありますか?

櫻田智也『六色の蛹』(東京創元社)

同じ出版社のミステリ作品になりましたが、櫻田智也さんも優れた短編ミステリの名手として注目しています。昆虫好きの青年で名探偵でもある「魞沢泉」(えりさわせん)は、表向きのストーリーとは全く違った「物語の真実」を見抜く天才です。このシリーズも本当にオススメで、もっと広めたいと思っています。

――素敵なミステリ作品をご紹介いただきありがとうございます! 日々たくさんの小説を読んでいる三島さんだからこそイチ押しできる、「これから来る」2作ですね。ミステリ好きな方、新しい著者に出会いたい方はぜひ手に取って読んでみてください!


啓文社岡山本店
住所:岡山県岡山市北区下中野377-1
営業時間・定休日は公式ホームページをご確認ください。
公式ホームページ:https://keibunsha.net/

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