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【連載1 なぜ離島の限界集落にある老人ホームで人財を確保できているのか?】走りを振り返る(たまんなゆうゆうの現状)

こんにちは、カドジュンです。noteデビューするきっかけのテーマについて連載していきます。私は長崎県五島市で社会福祉法人の理事長(老人ホームや保育園、職員50名ほど)として経営しています。離島のなかでも町ごと限界集落というイナカに立地しているのに、人財を確保できているのはなぜか?というのがこの連載のテーマです。

みなさんご存知かもしれませんが、医療福祉業界の人材不足は非常に危機的です。弊社も経営環境だけみれば、まっさきに人手不足倒産を起こしかねない状況です。実際に高齢者がふえ続ける社会情勢のなか、五島市においても職員不足や人件費の高騰で縮小や廃業する介護事業所もふえてきました。しかし、そんななか私どもはなんとか人財を確保できています。まずは弊社の大きな成果をピックアップします。

①この3年で移住の従事者8名(内専門職5名、経験者1名)を採用。

②初挑戦で2018年度採用の高校新卒が2名(当時の社名ゆうゆうの里)

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移住者においてはこの1年だけで6人という好成績です。新卒採用については、地元高校卒業で地元の介護施設に就職したのはたった4人。そのうち2人を獲得できたのです(1名退職)。どうして、こんなことができているのか?いままでの流れから説明していきます。

まずは弊社、たまんなゆうゆう(特別養護老人ホーム)の現状です。メインの営業エリアとなる五島市玉之浦町の人口が1254人、高齢化率は58%ほどあります。高齢化率が50%越えたら限界集落という位置づけなので、町ごと限界集落といえます。まあ、それだけ見れば高齢者が多いから安泰じゃないのか?とカンチガイされるかもしれませんが、そんな単純なハナシじゃありません。20年前の人口は2197人、なんと1000人近くも減ったのです(減少率43%!)。つまり重要なポイントは、高齢化率が上がっても絶対数が減っているため、デイサービスなどの在宅サービスは地元の人口と顧客数が比例して、経営が年々苦しくなっているのです。収入の柱は町の外からもお客様が獲得できる老人ホームなので、なんとか成り立っています。

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もう少し五島市の説明をします。五島市は長崎県の西側にある五島列島の一部で、2004年に一市五町が合併した自治体です。人口は37000人いますが、その大部分は五島市役所もある福江島の旧福江市中心部に偏っています。地図でいうと東側のエリアです。2年前に潜伏キリシタン関連資産が世界文化遺産に認定されて観光客がふえました。さらに国境離島新法の制定で仕事がふえて、1年で200名以上の移住者を呼びこむことに成功し、合併以来初めてとなる人口の社会増(流入が流出を上回る)に転じました。離島としてはかなりレアな成果として全国から注目されています。そんななか玉之浦町は福江島の西の端に位置し、中心部まで車で45分ほどかかります。都会ではまったく通勤圏内ですが、五島市内の求職者にとっては「玉之浦は遠いから働きたくない」と、選択肢にも入らないのです。しかも、せっかくの移住ブームの波にも乗り遅れている状況でした。

仕事の将来性は心もとない。働き手もいない。そんな逆境だらけなのに人財をなんとか確保している理由は、かんたんにいえば戦略とマーケティングです。ざっくり流れを書くと  ①現状を分析 ②将来目標の設定(中長期事業目標) ③戦略の立案(中長期事業計画) ④マーケティング的な発想による実践(短期事業計画のトライ&エラー) これだけなのです。

さて「本当に少人数の事業所だとできないよ」という感想もあるでしょう。たしかに、いまの介護保険政策の流れは「小さい事業所、競争力のない事業所はなくなってしまえ!」という報酬体系になっていると思います。しかし、やりようによっては経営できると考えています。それでは次回また説明します。

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