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【連載10 なぜ離島の限界集落にある老人ホームで人財を確保できているのか?】インターバル②(Growup!)

こんにちはカドジュンです。前回からインターバルとして、いったん2018年度までの振り返りをしています。苦境に立たされたなかどうしたのか?そして、どうなったのか?をかんたんに振り返り、2019年度の取り組みを説明します。

前回、採用が上手くいきすぎて人件費の高騰を招き、悪夢の27年度(2015年度)介護報酬改定、人口減少の影響も受けたと書きました。そのため、2018年度は経営的に底を打った年でした。このままでは資金ショートを起こしかねないので、上手くいかなかった要因分析や対策を考え職員にも現状を説明し、同じ方向を向いていけるようにしました。そこで打ち出した2019年度の単年度事業目標が『Grow up!(上をめざそう)』でした。向上するという意味です。下がるところはないので、上がるだけという想いがありました。

このときの経営方針は、シンプルに『増収と効率化』でした。

重点施策は、①開設20周年事業(あまり派手なものはできませんでした) ②属人化からの脱却(この人でないとできない仕事があるというのは事業所からするとマイナスにしかなりません) ③健康経営(働く職員の健康は財産です)

各サービスにおいては、入居・滞在型のサービスは堅調でしたが在宅型のサービスは軒並み苦戦、もしくは赤字でした。巻き返しを図りつつ、小さなムダは年度内に整理して大きなものは次年度に方針を変える準備を始めました。具体的には町のなかだけでは需要が少ないので、事業展開していくことでした。事業所の移転、営業エリアの拡大を同時進行させていくことを決めました。とくに目玉としては閉校した小学校の再利用でした。この事業は早ければ来月からスタートします。このままでは黒字事業の収益を赤字事業が食いつぶす状況になっているのです。

保育事業に関して、黒字になるだけの子どもを確保することは現時点では不可能でした。移住者の獲得で多少ふやすことはできても、子どもはあっという間に大きくなります。なので、市の保育事業を指定管理で受託し、赤字を解消する方針に転換しました。また、既存の保育事業を別の形態に変更することでこれまでと同程度の受け皿は残すことにも成功しました。

社会福祉事業は、やればやるほど儲かる事業とは言えません。とくにハード事業についてはハードの大きさ(キャパシティ、定員)で、収入もほぼ決まります。つまり、収入には天井(上限)があるのに、給料が上がり続けることは不可能なのです。そう考えれば、適正な給与配分も必要になり、そのためにキャリアパスと連動した仕組みづくりを構築することにしました。弊社では、人件費に関してたとえば収益が悪くても一律に下げるのではなく職責や能力を評価して配分することにしました。おそらく反発はあるでしょうが、『万人が納得できる人事制度』はありません。人事制度はその法人や事業所の方針(事業計画)です。つまり、その方針に合わなければ辞めれば良いだけのことなのです。

さいごに弊社における『向上する』仕組みをまとめます。

・適切な収入と経営(過度なホスピタリティは地域をかえってこわす)

・新しい事業戦略(ホールディングス、事業提携など)

・適正な人件費(公正な評価の必要性)

・人財の活用(ユーティリティプレーヤーによる効率化と新規事業)

・在宅サービス事業の見直し(経営と地域介護環境のバランス)

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