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【連載12 なぜ離島の限界集落にある老人ホームで人財を確保できているのか?】フォームを変える②(移住マッチングサイト)

こんにちはカドジュンです。前回から弊社の採用戦略の大きな柱となっている移住者についてお話ししています。4年前から、移住ターゲットのSSエリアである首都圏でのチャネルを模索していました。しかし具体的な話は省略しますが、なかなかパシッとくるものはなかったです。

そんななか、2017年総務省から出向していた五島市の振興部長塩川さんから、SMOUT(スマウト)という移住をマッチングするサイトを紹介されました。そのころの五島市は、2017年に国境離島新法が施行され雇用が拡大し、2018年には潜伏キリシタン関連で世界遺産に登録され観光客が激増しました。メディア露出も異常にふえて、東京のキー局すべてがロケにやってくるバブル状態でした。そこに合わせて五島市は移住者への補助を手厚くしたので、全国的にも高い移住率を見せ始めました。本当にうまいです。ちなみに個人的には塩川時代とよんでます(笑)。

紹介されたころはサイトの立ち上げも初期で、運営会社も地域のキーマンや行政も試行錯誤だったかと思います。ピックアップされているおもな企画は地域おこし協力隊、古民家の利活用が多かった記憶があります。しかし企画ページのデザインが良かったり、関わっている若者のキラッキラとした写真などを見ていると、普通にやっても勝てねえなあと考えました。そこでマーケティング的に考えて、弊社の大きな強みである『育児支援』を前面に出した企画をアップしました。

どうでしょう?イナカで子育てというのはめずらしくありませんが、私はさらに最大の強みである『赤ちゃん』という非常に小さなセグメントをターゲットにしたのです。当然、赤ちゃんもひとりで来るわきゃないから(笑)ファミリー層がねらいで、もちろんファミリーに対してのサポート体制もマストです。

企画を立ち上げて2ヶ月はたいしたリアクションもありませんでしたが、2019年の正月、海外から家族で移住したいという問い合わせがありました。いろいろ調整が進み、6月には帰国して玉之浦町に移住。町の人口をふやし、高齢化率をコンマいくら下げるインパクトのある結果を残しました。さらに2020年3月には2世帯を迎え、この1年だけで従事者5名を移住者でまかない、とりあえず人員配置において危機的な状況は回避しています。そこには、スカウトマン(企画者である私)は介護・保育系の社会福祉法人理事長なので、いざとなればそこで働かせてもらえればいいじゃん!という考えもあったのかもしれません。まとめますと、移住ファミリー層をターゲットにして人財確保を考える場合、住居と子育ての環境がキモになることがわかります。これが若い独身世帯だと戦略が変わることを付け加えておきます。

ちなみに、この成果は運営会社の目にも留まり、2019SMOUTアワードで五島市は『最多移住賞』を受賞しました。紹介してくれた塩川さんも「SMOUTがドハマリしましたね(笑)」と言ってました。

さて、成功体験を得たなかで戦略の修正や課題が見えてきました。

まず戦略の修正として、首都圏をSSランクとすることは変わらないけど、SランクにはSMOUTを通して知ったことを新たに設定しました。それは全国に眠っているニーズに対応することです。関西や福岡などエリアは限定せず、保育問題を抱え、地方への移住希望があり、かつ五島市と環境がかぶらない全国のエリアがターゲットになり得ると考えたのです。そんなわけで、ターゲットを一並びにしました。(それについては連載11の後半をご覧ください)

そして、課題としてはとにかく『住まい』です。仕事はマッチングできても住める物件が少なくなってきました。五島市自体、年間200名以上の移住者を受け入れているため、このままだと供給が追い付かない状況が予想されます。ただし、この春から空き家管理のNPOができて動き始め、私も玉之浦町での協力を申し出ています。

うーん、移住に関してはもっと書けるけど、ここまでにしときます。いずれどこかで。

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