わたしはこうして、ナルコレプシーを克服した
「みんな毎日眠気と戦いながら過ごしているんだ」と思い込み、10年もの間、正体不明の眠気に苦しみながら過ごした。
検査を受けて診断が下り、薬を飲み始めてからも、結局はつらい闘いだった。
しかし今は、症状が完全に収まったわけではないけれど、薬を飲むこともなくフルタイムで仕事をこなせている。
これまでに見つけた「ナルコレプシーとうまく付き合っていくためのステップ2
つとヒント4つ」を、書き留めておきたい。もしナルコレプシーで苦しんでいる人がいたら、試してみてほしい。
追記:もちろん、これは「わたしの場合」のお話であり、すべてのナルコレプシーの方に当てはまるわけではないことはご了承ください。
また、この記事は「ひとりでもいいから誰かのためになれば」と思って(あとは自分の備忘録として)書きましたが、このお話は正直、自分でも書いていて苦しくなるような内容です。もしナルコレプシー患者さんの中でこれを読んで傷ついた、という方がいらっしゃったら、本当にごめんなさい。
ナルコレプシー克服までの2つのステップ
ステップ① 「今日こそ、”眠くならないように”頑張ろう」思考から離れる
「今日こそ、眠くならないように頑張ろう」
こう考えた日には、ほぼ確実に眠気に襲われた。
その理由は、”眠くならないように頑張ろう”と考えた時点で、それは眠気のことを考えてしまっている(=囚われている)からだと思う。逆に、眠気のことを考えなかった日には、少し症状がマシになったものだ。
高校のとき、ほぼすべての授業で、寝てしまっていた。唯一、生物だけは起きていられる確率が高かった。
なぜか?
当時の私は、「好きな教科では起きていられるってことは、結局怠けてるだけじゃん…」と考えた。
でも今となっては、「生物で起きていられたのは、今日眠くなるかならないか、と考えるより先に、へぇー!という驚きやワクワクがあったからだ」と思う。
ステップ② 「あれ?今日の会議(授業)、そういえば眠くならなかった!」という成功体験を積み重ねる
毎日眠くて眠くて起きていられないほどの状態だったとき、私は「今日も寝ちゃった…先生(上司)は私のことを今日も怠け者だと思っただろうな」と毎日考えていた。
しかし、少しだけ症状が落ち着く時期というのがわたしの場合あった。それは、就職や転職で環境が変わったとき。
「あれ?いつもは午前中ほぼ仕事にならなかったのに、今日は2回しか眠くならなかったぞ」
「今日のデート中は、ずっと起きていられた!」
こういう時期が暫くでも続けば、次はこのように考えるようになる。
「もしかして、ナルコレプシーが快方に向かっているんじゃないか?」
もちろん全ての眠気が消えるわけではない。しかし、この時期を何度か繰り返しながら思考の枠組みが変わってくると、不思議と症状は本当に軽くなってきた。すると、ひどく眠ってしまった日にもこんな考えが浮かぶようになる。
「今日眠くなっちゃったのは、昨日シャワーだけで済ませたからかも?」
「昨日の眠りが浅かったのかなあ?」
今までは怖くて怖くてたまらなかった眠気。この頃には、それを恐れる気持ちが少しずつ和らいできたのだと思う。ここから、わたしは本当の意味でナルコレプシーとの上手な付き合い方ができるようになったように思う。
ナルコレプシーと上手に付き合うための4つのヒント
眠気に抵抗しない
例えば授業開始5分とか、仕事が始まって5分とかで、睡眠発作に襲われたとする。
こんなとき、長い間私は「寝てはいけない」とずっと我慢をしていた。
でも今は、すぐに「よし、5分寝よっ」と切り替える(どこで寝ていたかは、後述)。たとえ会議中であっても、一旦席を外すことにしている。
上司や先生にナルコレプシーのことを伝える
これは、勇気のいることだ。
でも、自分の心を守るために、わたしは「伝えるべき」だと思う。
仕事を一緒にし始めてからだと何かと言いづらくなってしまうのは分かっていたので、わたしの場合は、就職時の面接であらかじめ伝えるようにしていた。
不思議なもので、上司が病気に対して理解を示してくれると、気持ちが楽になるのか症状が少しだけマシになったのを覚えている。
眠くなったときに眠れる場所を見つけておく
眠れる場所なんてないよ!と最初は思っていたが、意外とできる。
私の会社はオフィスで昼寝をできる環境ではなかったが、トイレの隅でうずくまって寝た(う◯こ座りだから汚くもない)。
ナルコレプシーの人なら分かると思うが、寝ようと思えば、どんな環境でも数分たたないうちに眠れ、しかも短い時間ですっきり目が覚める。
毎日の昼寝の時間を決める
これは、病院でもよく言われることだと思う。
昼寝の時間を取るようにしてから、睡眠発作はかなり落ち着き、仕事の効率は良くなったと記憶している。
今も昼寝なしでは一日中は起きていられない生活だが、ナルコレプシーに苦しんでいた約15年間とは比べ物にならないほど、心持ちは楽だ。
「よしっ昼寝しよ🎵」
このくらいの気軽さで、ナルコレプシーと付き合っていきたい。