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高校生という「半分大人」な難しい時期を過ごす諸君へ(1)

※学級通信「めばえ」第009号(2015年4月20日発行)より

「人生は長く、世界は果てしなく広い、肩の力を抜いていこう」

 迷っても悩んでも、それを乗り越えようともがき、あがく者には、必ず救いの手が現れる。たとえ、それで問題は解決しなかったとしても、もがくこと、あがくことで、世界は広がってゆくんだ
—— by 龍さん(香月日輪 『妖怪アパートの幽雅な日常』より)

 斉藤が中学校ぐらいの時に読んですっかりお気に入りになってしまったシリーズ本『妖怪アパートの幽雅な日常』。ここ最近Kindle 版が出ていたので、読み直していたら、心にとまったフレーズがいくつかあったのでご紹介(第一弾)。

 上のフレーズの前に龍さんはこうも言っている。

 どんな運命だろうと、周囲がどんな手助けをしようと、それを乗り越えるのは、結局は本人の意志しかないんだ。否応のない運命に翻弄される者は大勢いる。それを乗り越えられない者も、もちろんいる。だが、乗り越えようともしない者に、私は手は貸さない。
—— by 龍さん(香月日輪 『妖怪アパートの幽雅な日常』より)

 何ともしがたい壁にぶつかったとき、葛藤が起こったとき、逃げ出したくなることも多々あろう。けど、逃げ出さずに、投げ出さずに、ただ一生懸命に取り組んでいれば、乗り越えようとしていれば、先に進めたり、何か違う道が拓けたりするもんだ。
 高校生という「半分大人」な難しい時期を過ごす諸君には中学生までの人々とは違った大人な悩みがあり……、大人には理解しがたい独特の感覚があり……、大人になりきれない自分との葛藤があり……、とても大変であろうと思わずにはいられないし、高校生であった自分を振り返って見返せばそういう面もあったのだと思える。

 『妖怪アパートの幽雅な日常』の主人公・稲葉夕士も奇しくも高校生の設定。夕士に龍さんはさらにこんなコトバを贈っている。

人生は長く、世界は果てしなく広い、肩の力を抜いていこう
—— by 龍さん(香月日輪 『妖怪アパートの幽雅な日常』より)

 今、諸君が目の当たりにしている、「あたりまえ」は実は「あたりまえ」ではないことも多い。諸君が悩んでいることは実は大して大きなことではないことも多い。

 「あたりまえ」、「普通」ってことを疑ってみること、「先入観」とか、「固定概念」ってものに支配されないようにすること。自分の感性を大事にすること。迷ったらオトナと話をすること。そうすることで、諸君の世界はきっと広がっていく。
 情報過多な現代社会を生き抜く術はそういう中できっと身に付けられるのさ。

◆◇◆◇

 中学生の頃、『妖怪アパートの幽雅な日常』(漫画アニメ もある)を読んでお気に入りにすっかりなってしまったのは、たぶん主人公に当時の自分を投影しやすかったからということな気がしています。

 「人生は長く、世界は果てしなく広い、肩の力を抜いていこう」は、気に入り過ぎて、思うところのある卒業生への餞の言葉として乱用しがちです。

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