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信用倍率(買い残、売り残)の意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで元証券マンが簡単解説!【指標解説No.4】

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 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。


 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。



 普段は「割安株の探し方シリーズ」と銘打って、割安株中心に株価分析記事を書いています。


 本記事では、株価分析とは少し趣向を変えて、投資判断において重要な指標について、 意味の説明から注意点、具体的な活用方法まで解説していきます。

 過去の記事ではPBR、PER、配当利回り、ROEなどの解説を行いましたが、今回は信用倍率(買い残、売り残)をテーマとしています。

 PBR、PERなどに比べると活用している人は少ないかもしれませんが、重要指標になりますのでしっかり理解しておきたいですね。


 それでは、信用倍率(買い残、売り残)について見ていきましょう。



①信用倍率(買い残、売り残)の意味は? 

  信用倍率とは、信用取引における買い方と売り方の状況を示す指標のことを言います。

 ざっくり言うと、「信用買いをしている人と信用売りをしている人のどちらがどのくらい多いのか」ということを示します。

【計算式】
信用倍率=信用買い残÷信用売り残

 つまり、信用倍率が1倍のときは、信用買い残と信用売り残が一致している状態で、倍率が高くなればなるほど信用買い残の方が信用売り残よりも多いことを意味します。


 それでは、なぜ信用倍率は投資判断において重要なのでしょうか?





②信用倍率(買い残、売り残)はなぜ重要なのか?

 信用倍率が重要なのは、信用倍率が「銘柄の過熱感」を表しているからです。

 信用取引は決済期限が設定されており、その期限までに信用買いの場合は「売り」、信用売りの場合は「買い」といった形で、反対売買を行う必要があります。
(制度信用取引では、信用新規建約定日より6ヵ月が弁済期限)


 つまり、信用買い残の量だけ未来の売りが確定しており、信用売り残の量だけ未来の買いが確定しているわけです。

 株価は本質的には需要と供給により決定されるので、信用倍率を見ることで、需要と供給を信用取引という面から把握することができます。

 もちろん信用取引だけではなく、現物での取引も同時に行われておりますから、完全に需給を把握できるわけではありませんが、何もわからないよりはかなりプラスだと思います。

 このような点から、信用倍率は重要視されているのです。


 それでは数字を使って、より具体的に見ていきましょう。






③信用倍率1倍が示す意味は?

 信用倍率は1倍が基準値とされています。

 前述の通り、信用倍率1倍とは信用買い残と信用売り残の量が同じ状態を指します。

 信用買いは借金してまで買いたいという行動なので、当然、対象銘柄が値上がりすると思っているから信用買いを行います。

 また、逆に信用売りは値下がると思っているから信用売り(空売り)を仕掛けるわけなので、「信用買い=信用売り(信用倍率1倍)」という数値は、今後の株価についての見通しが拮抗している状態になります。

 同時に、反対売買による決済額も同値になるため、信用取引の決済が株価に与える影響はありません。


 なので、株価が上がると思う人が多くて買い残が多くなると、将来の売り圧力につながるので、信用倍率が高くなればなるほど、過熱感(買われすぎ)があると表現されます。

 つまり、過熱感の基準として、信用倍率1倍があるわけですね。





④信用倍率を見る際の注意点!

 信用倍率を活用する上での注意点は、大きく3つあります。


(1)信用倍率は通常1倍より高くなる

 信用売り(空売り)は株価の下落によって利益を狙うため、単純に買うよりも難易度が高いと言われています。

 実際に信用取引をしたことはあっても、信用売りの方をメインで行っている方は少ないと思います。

 なので、信用倍率は通常1倍よりも高くなりがちで、信用倍率が1倍よりも高くても、イコール過熱感があるとは限りません。


(2)信用倍率だけでなく、信用残の量も重要

 具体例として、無印良品を運営している(7453)良品計画の信用情報を見てみましょう。

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 良品計画は極端に信用買い残の方が多く、信用倍率は16倍となっています。

 この倍率自体を見るのももちろん重要ですが、同時に信用残の数量をチェックする必要があります。

 良品計画の場合は、信用買い残は300万株で、2020年1月31日終値は1,842円なので、300万株×1,842円=55億円分となります。

 この55億円が将来の売り圧力となるのですが、良品計画の時価総額は5,000億円ほどありますので、時価総額からするとわずか1%にすぎません。

 影響が全くないとは言いませんが、(買い残の決済による)売り圧力の影響が限定的であることは想像頂けるかと思います。


(3)信用倍率だけが全てじゃない

 信用倍率に限った話ではなく、PBRやPERなど投資指標の全てについて言えることですが、その指標を絶対のものと思い込むことは非常に危険です。

 前述の良品計画の例でも挙げた通り、信用倍率がどれほど高くて過熱してるように見えても、会社の規模からするとほとんど影響がなかったりします。

 信用倍率含めてあらゆる指標は、あくまで投資判断の一助になるもの、という認識でいることが大切です。





⑤まとめ

 本記事では、信用倍率(買い残、売り残)の意味、なぜ重要なのか、注意点及び具体的な活用方法を見てきました。

 信用取引の仕組みを理解していないと活用はなかなか難しいですが、投資判断においてある程度重要な指標であることは間違いありません。

 空売りなども適切な使い方ができれば有効な投資手法になり得ますので、仕組みがよくわからないという方は、本なり証券会社のHPなどで、調べてみることをお勧めいたします。


 今回は信用倍率について解説してきましたが、今後もその他の指標について解説を行っていきたいと思います。

 またお付き合い頂ければ幸いです。



 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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