【ビッグデータ】小売業のデータ利用を促進するTrue Data(4416)
こんにちは!今回はTrue Data(4416)という会社について調べてみました。
True Dataは記事タイトルの通り、小売のビッグデータを取り扱う会社なのですが、ひとくちに「ビッグデータ」といっても、それがなんなのか、そのビッグデータをどうやって収益につなげているのか、具体的な部分がおぼろげな方は多いと思います。
そこで、この記事ではTrue Dataの事業について、具体的なプロセスにも触れつつ説明していきます。
True Data 公式HP:https://www.truedata.co.jp
事業の概要
True Dataは2000年創業、2021年に上場し、現在の時価総額は約20億円となっています。行っている事業はビッグデータ関係のみで、簡単に説明すると、小売データを保有する小売業、政府・自治体、データ提供企業などから得たPOSデータ・ID-POSデータを精製・分析し、利用者にツールとして提供するといった形です。
POSデータとは?ID-POSデータとは?
True Dataは主にPOSデータを収集し、分析等を行っています。
POSデータというのは商品が売れた時点での情報のことで、「何が」「何と」「いつ」「どこで」「どれだけ」売れたかという情報のことです。コンビニのレシートを想像していただけると分かりやすいと思います。
この情報を蓄積するとどのようなことがわかるのかというと、例えば、「このスポーツドリンクはこの時間帯によく売れる」だったり、「このお菓子はこういった飲み物と一緒に買われやすい」など、消費者がどのように買い物をするかという傾向を知ることができます。
このようにPOSデータを分析することにより様々なことがわかるのですが、POSデータでは手の届かない部分もあります。それは、買い物を行ったのが「誰なのか」がわからないということです。そこで出てくるのがID-POSデータというわけです。
ID-POSデータとは、POSデータとポイントカードやアプリ等の購入者情報を掛け合わせたデータで、前述のPOSデータに「誰が」買い物を行ったかという情報が加わっています。
この情報を使うと、例えば「このお菓子はどのような年代の人に人気か」といった消費者の属性による好みの分析を行ったり、更には「ある商品を買ったあと、また同じ商品を買ったか」といったリピート率、逆に他の同じような商品に乗り換えたかといったスイッチング率といった分析も可能となります。
True Dataは蓄積したこれらのデータを分析し、様々なマーケティングの用途に合わせて加工して提供しているわけです。
ビッグデータと一般のデータの違い
「ビッグデータ」とはいっても、データの量が多いだけで、自社のデータを分析するのと変わらないんじゃないの?という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
しかし、出所の違うデータを集めて一緒に活用しようとする場合、通常とは異なるプロセスが必要となり、データが大きくなればなるほどアウトプットを行うのに工夫が必要となります。
出所の違うデータを持ってきたとき、それをそのまま一緒に使うことはできません。なぜならデータの形式が色々な面で異なるからです。
例えば、スーパーとコンビニで同じ商品を買った場合、同じ商品でもレシートでの表記が異なることに気づいたことのある方は多いと思います。
このように、全く同じ製品であったとしても、小売店が違えばPOSデータに登録されている商品のデータが異なるため、それらを同じものとして分析できるよう、データの加工が必要となるのです。
これ以外にもデータによって日付の表記が異なっていたり(20241125と2024-11-25等)、全角・半角の違いなど、統一すべき点は様々です。
このようなデータの加工を行って初めて、異なる小売店であっても同じ商品が買われたという風に分析に使うことができるようになります。
次に、ビッグデータと普通のデータの違いとして、その名の通りデータの大きさが挙げられます。
ビッグデータといってもその大きさに明確な定義があるわけではありませんが、例えば中小企業の顧客名簿などと比べる場合、ビッグデータの大きさは数万倍、億倍を超えることもあります。
顧客名簿くらいの大きさであればエクセル等の表計算ソフトで分析を行うことも可能ですが、その数万倍の大きさとなるとエクセルでの計算はおろか、データを閲覧することさえ難しくなってきます。
このような巨大なデータを取り扱うのには、それ専用の設備とツール(ソフトウェア)が必要となります。
有名な例を挙げるとGoogle Cloudのサービスの一つであるBig Query、AWSのRedshiftなど、自社でサーバーを保有するパターンもあります。
True Dataは、このようなプロセスを経て算出された分析結果を、私たちが通常のパソコンで閲覧できるような形に加工して提供しているわけです。
True Dataの主力プロダクト
現在True Dataが主力としているプロダクトは2つ、「ショッピングスキャン」と「イーグルアイ」となっており、それぞれ小売業向け、消費財メーカー向けのものとなっています。
ショッピングスキャンは小売業の会社が自社でデータ分析を行うツールとして提供しているものですが、それだけでなく取引先である消費財メーカーへデータを開示し、メーカーから店舗に合った商品の提案を受ける目的でも使うことができるツールとなっています。
小売業側はID-POSデータを商品の品ぞろえ、または会員向けの施策に利用し、消費財メーカーは開示されたデータを使ってより店舗で売れそうな商品を提案するのに使います。
イーグルアイはショッピングスキャンと少し異なり、小売毎のというよりは、消費者全体の購買行動をID-POSデータ分析によって可視化し、データに基づいた顧客の理解を行うためのツールです。
消費財メーカー向けのツールで、各社はこの分析結果を調査、商品の開発、広告、販促などマーケティング全般に利用できます。
提供される商品データのカテゴリー数、ツールのユーザーアカウント数によって利用料が変動し、現在の平均年間利用料は一社当たり約500万円とのことです。
このように、元のデータは同じPOS、ID-POSデータでも、データの加工、提供の仕方を変えることで異なるニーズに対応しています。
True Dataの近況
最後にTrue Dataの業績、直近のニュースに少し触れようと思います。
2024年11月12日に2025年3月期の2Q決算が発表され、前期比で累計売上高は767Mで2.3%の減少、営業利益は前期の赤字から転じて38Mの黒字となりました。売上の減少は前期の大型スポット案件の反動と説明されています。
前期と比べ売り上げのほとんどを占めるストック収入は335Mから375Mと5.6%の増加、順調に増加を続けてはいるのですがグロース企業としては少々物足りなさも感じられます。
このこともあってか、1月7日に「FPT IS、TECHUPCOMと共同で、ベトナム市場におけるテストマーケティングサービスのベータ版を提供開始」という開示が出されました。
内容としては、日本の消費財メーカーに向け、ベトナム市場に進出するための支援サービスとしてベトナムのECプラットフォームで商品のテスト販売を行い、データを収集してレポートを作成、フィードバックを行うサービスを開始するというものです。
ベトナムの経済は急成長を続けている最中ですから、ベトナムに進出するメーカーが多いと踏んでのことなのでしょう。
これがTrue Dataのさらなる足がかりとなるか、注視したいところです。
さいごに
True Data(4416)に関する記事はこれで以上となります。DX需要がまだまだ衰えない昨今、各社に眠るデータはマーケティングにおいてはまさに宝と言えるものです。データの活かし方に困る企業が多い中、ビッグデータを取り扱う同社の事業には注視していきたいと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。これからも企業のビジネスについて、分かりやすく解説した記事を更新していきますので、本アカウントやXのフォロー、そして記事へのスキをよろしくお願いいたします!