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八人の魔術師~全記録~

※この記事は、「Board Game Design Advent Calendar 2021」 の第16日目の記事として書きました。

  • 前置き

  • きっかけ

  • スタート

  • 八人の魔術師を出展

  • 新版 八人の魔術師

  • 新版 八人の魔術師を出展 

  • 最後に

前置き

ゲームNOWA」として来年、サークル設立10周年を迎えます。
ゲームNOWAはゲームマーケット2012年大阪に『対戦型タイルゲーム OSU』(販売なしのイベント卓)を初出展して以来、最新作『BINGO13』まで25作近くリリースしました。

その中でゲームNOWAとして初めてリメイクしたのが、自分の中で一番思い入れのある『八人の魔術師』(旧版及び新版)です。

︎きっかけ

2011年の暮れに「パリノアメリカノウゼンカズラ」様のサイトで拝読した「リュタンとトロル」(Lutin et Troll)という2人用カードゲームの紹介記事でした。

拝読後、面白そうで一気に購入欲が増したのですが、海外通販の経験もなかったため、入手は諦めていました。
ただ約1年後に「ボードゲーム研究会」(ボー研)という、盤王様ことカワサキさん主催のゲーム会で知り合ったさかたさんに、わざわざ「フランス」から取り寄せて頂いたおかげで、念願のプレイが叶いました。

◇本家の気に入った点と気になった点 
(気に入った点)
・お互い同内容のカード構成による対戦ゲーム
・3種類のカードの特性と効果が明確
・後出しジャンケンによるHPの削り合い

(気になった点)
・引き運が全くない
・慣れるまで最初の5デッキ(1デッキ5枚)作成するのに時間が掛かる
・地味

主に上記がきっかけで、できれば同じファンタジーの世界を描きつつ、自分なりの「リュタンとトロル」のような対戦カードゲームを作りたいとこの頃から思うようになりました。

スタート

最初は百均のプラスチック製トランプを数組用意し、リュタンとトロルと同じ25枚デッキを2組作りました。
このときに既にある程度の構想が頭にできており、25枚のデッキ内容は「魔術師」8枚と「モンスター」17枚の2種類。

今思えばリュタンとトロルのように、カード効果のないバニラカードをメインにした「後出しジャンケンによる数字比べ」の方が、プレイする人のハードルも低く、もっと広まってくれたと思います。

でもそれだとただの良くある、本家の「魔改造」で終わり、結果、作る意味もなかったため、ハードルは若干高くなるものの、全てのカードに2行以内で終わるくらいの効果を加えました。

◇システム
本家の1ラウンド5枚のターン制は「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」のような5人制の柔道を彷彿させ、後出しジャンケンがとても好みでしたのでそのまま採用しました。

それ以外はランダムでありながら、ランダムだと感じさせない、あの「山札から10枚引いて5枚選ぶ」というシステムを考案しましたが、スタート当初は現在の20枚ではなく本家と同じ25枚だったため、このシステムだと間延びしてしまいました。

そこで全部のカードを使わずに、4ラウンド制にして「20/25」。

つまり、5枚だけ余るようにしたのですが、これだと常に採用しないカードができ、入れた意味がなくなりました。

最終的には20枚制の使い切りにしたことで、ゲーム中の間延びもなくなり、特に後半から発生する「残り10枚からのケーキの切り分け」が活きました。

◇攻撃力のパラメーター
20枚は魔術師4:モンスター6の割合。
前者の魔術師8枚は、半分の4枚の攻撃力を「1〜4」に割り振り、もう半分の4枚は、革命(強>弱→弱>強)のような「強さの概念」を覆し、その後の戦況をコントロールできる魔術師、「逆転」(攻撃力:1)を発動することにより、真の強さを発揮できる「0」に。

後者のモンスター12枚は、軽量・中量・重量級と3種類に分け、「1」が5枚、「2」が3枚、「3」が3枚、「4」が1枚。

◇魔石(勝利点)
魔石とは、ラウンドで勝つと得られる勝利点で、全4ラウンドのうち、各ラウンドの最初に行うカード選びの後、1個ずつ賭け合います。

内容は「1点」の魔石が3個、「2点」の魔石が1個。
※モンスターの「ゴーレム」にはラウンドで勝利すると得られる「1点」の魔石が付いています。

◇世界観(ストーリー・フレーバー)
ドラゴンの翼が天を覆い、サイクロプスの拳が地を割る。
突然の魔王の死による有力諸侯の勢力争いは千年にも及び、魔族たちは疲弊しきっていた。
君は魔界貴族として忘却界より、伝説の“八人の魔術師”を呼び覚ました。
混沌とした戦いに終止符を打ち、魔界の覇者となれ!!

◇アートデザイン
・タイトルロゴ
ことり寧子さん(ぐうのね)

・販促イラスト
中瀬麻衣さん(ディスカバリーゲームズ)

・アートワーク
かぶきけんいち(ゲームNOWA)
※背景素材
らむりて台本部さん

・テストプレイ
おい(高校時代からの腐れ縁の友人)
たぁさん(カードヒーローで知り合った方)
さかしんさん(さかしんすがの)
ヲシダさん(をしだや)
関西テストプレイ会の皆さん
息子

・アドバイス
ゆおさん(こっち屋)
かわうそさん
jun1sさん(うずまきスイッチ)
上杉真人さん(l was game)

︎八人の魔術師を初出展

(2016年)
6月
「名古屋ファミリーゲームフェスティバル2016」 
「第六回ボードゲームフリーマーケットin住之江」
10月
「東京ボードゲームコレクション」
12月
「ゲームマーケット2016秋」

(2017年)
5月
「ゲームマーケット2017神戸」

新版 八人の魔術師ができるまで

◇おかぽんさん(ファーメント)
2019年1月に当時、大阪長瀬の学生通りにある、ボードゲームカフェ 「Analog Game café 1306」※さんにて開催された「ボードゲーム新年会」に参加した際、3月の「ゲームマーケット2019大阪」に出展予定だったおかぽんさんと出会いました。
※現在は「7Gold」さん

おかぽんさんは「ONE CARD OF THE DEAD」の作者さんで、初めてこの作品に触れたとき、私自身、今までに味わったことのないくらいの衝撃を受け、後にゲームNOWAから「ワーデミック」としてリリースさせてしました。

当時、おかぽんさんは全くボードゲーム製作の経験が無く、データの作り方も分からないとのこと、またお互い住んでいる地域が同じだったこともあり、無事ゲムマに間に合わせるためにできる限りのサポートをさせて頂きました。

そして無事出展→完売。

その後、改めてゲームNOWAからディベロップしたい旨を伝えた結果、めでたく手を結ぶことになり、私の自宅でのミーティングが始まりました。

その頃、八人の魔術師を好きなイラストレーターさんのアートワークでリメイクしたいという想いが芽生えて来ており、おかぽんさんにも遊んで貰ったところ、おかぽんさんも私が「ONE CARD OF THE DEAD」で受けた衝撃と同様のものを感じたとのことでした。

それ以来、当時大学生(専攻は日本文学)だったおかぽんさんは授業中も拡張のアイデアが湧水のように湧き出たそうで、一週間後には30種類以上のアイデアを見せてくれました。

そこから厳選&テストプレイを内外部で繰り返し、拡張カード12種類(魔術師5種類/モンスター7種類)が決まりました。
尚、新版の世界観もおかぽんが考案してくれました。

◇世界観(あらすじ)
太古の昔、神々の争いによって世界は∞の形に分断された。
失われた秩序を取り戻すために必要不可欠な「魔石」を手に入れられるのは、ふたつの次元の結節点(ノード)に封印された魔物や魔術師を召喚することができる 「希灯師」(プレイヤー)だけ。
互いの世界の運命を賭け、希灯師たちの戦いが始まる。 
-『双世紀入門』より抜粋

◇たかみまことさん
リメイクするにあたって、アートワークは既にイラストレーターの「たかみまこと」さんにお願いしていました。
ただ、基本(18種類)だけでも大変な労力なのに、更に拡張で追い討ちを掛けてしまったのですが、たかみさんは快く引き受けて下さいました。
特に魔術師にはこちらが細かく年齢を設定したため、たかみさん的にはその書き分けが難しかったと伺っています。

魔術師の個性的な表情や衣装には目を見張るものがあり、またモンスターは鳥山明さんを彷彿させるイメージで描いて下さり、最終的にはこちらの想像を遥かに超えた美しさに魅了されました。

◇旧版との変更点
①アートワーク
ロイヤリティーフリーのシルエットイラストからたかみまことさんへ
(上記参照)

②魔石
(旧版)
「1点」の魔石3個と「2点」の魔石1個の計4個を、お互いが各ラウンド(全4ラウンド)に「1個」ずつ賭ける
(新版)
「8枚」の魔石チップ(0点:2枚、1点:4枚、2点:2枚)をお互いが各ラウンドに「2枚」ずつ裏向きで賭ける

※テストプレイ
おかぽんさん(ファーメント)
ボードゲームショップ&スペース ギルド
takuyaさん(80GAMES)
サンジョウバサトシさん(万屋楽団)
息子

③カードにおける効果の見直し
・ダークエルフ(モンスター)
(旧)場に出たとき、相手の手札をランダムに「1枚」見て戻す。
(新)召喚時:相手の手札を最大「2枚」まで確認し、相手の手札に戻す。

・コカトリス(モンスター)
(旧)相手のモンスターが「3」なら、その強さは「1」として扱う。
(新)バトル開始時:相手の【モンスター】の攻撃力が「3」ならば、このカードの攻撃力は「4」として扱う。

・逆転(魔術師)
(旧)敗北すれば、次のターンからラウンド終了まで強弱が逆転する。(※結果、このターンにも勝利する)
(新)バトル終了時:このカードが「敗北状態」ならば発動する。次のバトル以降、ラウンド終了まで攻撃力の強弱が逆転する。

・無効化(魔術師)
(旧)「逆転」以外の魔術師カードの効果を無効にする。
(新)召喚時:後攻ならば、このバトルで相手の場にある「逆転」以外の【魔術師】カードの効果を無効にする。

※上記以外にも旧版に収録されていた全てのカードの効果の表記を統一し、テキストの最初に「効果タイミング」を追加。

④拡張セットの追加
上記の◇おかぽんさんを参照

⑤ルール紹介漫画
製作:ゆるゆるボドゲバカきりんなべさん

⑥4人ペア戦ルール公開
https://gamemarket.jp/blog/178817

⑦PV公開
2019年版
製作:御本人の意向により非公開

2021年版
製作:ひみつりさん

専用プレイマット発売(数量限定)

︎新版 八人の魔術師を出展

(2019年)
11月
「ゲームマーケット2019秋」
12月
「盤祭2nd」

(2020年)
2月
「ぷりぼーど」(ゲムマ大阪前の試遊会)
3月
「ミニゲムマ 」(ボードゲームショップ&スペース ギルド様主催)
「ゲームマーケット2020大阪」(自粛)
7月
「盤祭Re-3nd」
11月
「ゲームマーケット2020秋」
12月
「INDIE GAME MIX」

(2021年)
3月
「ゲームマーケット2021大阪」
4月
「ゲームマーケット2021春」
9月
「ボードゲームフリーマーケット11 in なかもず」
11月「ゲームマーケット2021年秋」

︎最後に

実は本来なら、こちらには人気作『ツクルテン』又は最新作『BINGO13』のデザイナーズノートを記事にする予定でしたが、先日不慮の事故により、他界した最愛の息子が当時、一番好きだと言ってくれた『八人の魔術師』に変更させて頂きました。

※先日のクリスマスの日にイラストレーターのたかみまことさんが、息子を偲んで素敵なイラストを描いて下さいました。
たかみさん、この場を借りて御礼を申し上げます。

【まとめサイト】
ダークファンタジーの世界でお互い同内容の20枚デッキによる対戦カードバトル。『新版 八人の魔術師(元版を含む)を主に購入&遊んで頂いた感想まとめ。

【取扱店】敬称略
BOOTH
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