【2011年、転職活動記~26歳はじめての転職活動でボクが考えたこと~】3
2012年1月24日:誰がダルビッシュを笑えるだろうか
雪も降った翌日であるからか、久しぶりに気持ちいい冬晴れ。空が高い。空気に水気を感じる。絶好の転職活動日和だ。
今日は昼過ぎから鉄鋼メーカーにて一次選考。内容は面接一時間、筆記試験一時間、作文三十分。…作文?
すでに数社につき、筆記試験は受けているものの、国語、数学、英語に関するSPIを受けたのみで、作文という形式は初めてだ。エージェントが伝えてくれた過去の作文のお題は「海外・成長・技術のうち、一つをキーワードして選び、自由に記述しなさい」といったもの。このキーワードなら「海外」か「成長」を選ぶところだが、やはり海外生活の経験がある点をアピールするためにも「海外」を選ぶべきだろうか。そんなことを思い浮かべながら、品川に向かう東海道線のなかで、「海外」をキーワードに三十分で書ききれるストーリーを考える。海外を志向する理由について。我ながらばっちりだ。
面接は非常にいい雰囲気で終わった。相手は人事部の方、お二人。メーカーの方だけあって落ち着いている。面接を受けていても、質問が的確であるし、理解が早いことを感じる。レベル感が合う相手と話すことはどんな時であっても実に快適で爽快だ。僕はいつも面接において、面接を受けながらも、面接をしているつもりで相手の質問を聞く。将来の自分の上司をテストするわけだ。この会社はその点、合格だ。
筆記試験についても率なくこなし、さぁ、作文。お題はこうだ。
「最近の関心のある事柄について、下記のキーワードのうち、一つを選び、A3一枚に自由に記述しなさい。スピード、変化、継続、技術 」
せっかく横浜品川間で書いた下書きもどうやらそのままでは使えなさそうだ。だいたい最近の関心のある事柄という縛りがあるなんて聞いていない。そもそも事柄とは何か、ニュースを指すのか、はたまた本当に何でもよいのか。
読者の皆様ならどのように書くだろうか。
私はこう書いた。
結論からいえば、先ほど、先方から連絡があって、一次選考を通過したとエージェントが電話してきた。いや、正確に言うと僕は「この作文で一次選考を通過したんだぞ、どうだ、すごいだろ」なんていう気はそうそうないから、結論ですらない。この作文だって、実はいま読んでいる村上春樹にインスパイアされたものであることに先ほど気付いた、誰がミックジャガーを笑うことができるだろうか、というエッセイである。しかも、この作文は捉えようによっては、将来自分のやりたいことが変わったら、積極的に転職しますよ、と言っているようなものだ。
なぜ評価されたのかはさておき、僕が言いたいことは、人は変わるってことだ。周りの環境の変化によって、自らの成長によって、考え方は無限に変わっていく。確実といえることは、今の自分がどう考えているかということと過去の自分がどう考えていたか(これすら定かではないかもしれない)ということのみであって、未来の自分がどう考えているか、なんて分からないのだ。
ともすれば、会社に就職する時に大切にすべきなのは、将来の自分よりも現在の自分であるに違いない。将来の自分はこういったことがしたいだろうと考えて、その会社を志望したところで、そういった自分になる保証はどこにもない。いや、色々なことに目移りする僕のことだ、必ずや変わっているのだろう。
日本の会社の多くはいまだに終身雇用的な考え方を持って、人材教育を行う。すなわち、数年単位において他部署をローテーションさせ、様々な経験を積ませ、ジェネラリスト型の人材を輩出すべく教育する。こういった考えには、メジャーに行きたい時にメジャーに行く、といった転職は合わない。ジェネラリストになる前に転職してしまうため、未完成の人材であるためだ。
そういった意味では私は恵まれている。公認会計士という資格のおかけで、ローテーションがあるにしろ、経理や財務、税務といった関連職種内でのローテーションに留まり、いきなり営業をしろ、という話にはならない。メジャーに行きたいと思った時にでも、メジャーに行くことはできるだろう、どんな球団にも経理は必要だからだ。
いま、関わりたい仕事。それは海外に近い環境で働くこと。
続き
2011年、転職活動記は以下6記事となります。他も読んでいただけるとありがたいです。
2011年12月21日:事のはじまり
2012年1月19日:楽しいこととすべきことは少しずれたとこにある
2012年1月24日:誰がダルビッシュを笑えるだろうか(←本記事)
2012年2月5日:若者はなぜ3年で辞めるのか
2012年2月23日:決断のとき
2012年4月6日:終わりと始まり
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