ゲルハルト・リヒター展
東京国立近代美術館
皇居のすぐ横にある東京国立近代美術館は竹橋駅からすぐのところにある。調べたところ、日本で最初の国立美術館らしい。
今回ゲルハルト・リヒター展を訪れたが、平日の昼間にもかかわらず意外とにぎわっており、現代アート作家の展示だからか、おしゃれな若者が多くみられた。
一方、常設展の方の客層は年齢層が高く、客数はあまり多くはなかった。
美術館は4階建てで常設展が充実しており、またショップとレストランが別棟で併設されていて、東京のど真ん中にあるにもかかわらず地方にあるような大きな美術館と同じようなイメージを受けた。
ゲルハルト・リヒター展
そもそもゲルハルト・リヒターとは、今年2022年で90歳を迎えた、現役の現代アーティストであり、世界から注目を集める「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれている。2020年には、リヒターをモデルにした映画「ある画家の数奇な運命」が公開されことも話題となった。
今回の展示について、気になったものをいくつか紹介する。
まずは、リヒターが40年以上描き続けている「アブストラクト・ペインティング」シリーズの1つ。
下から上に向かって、黄色→緑→青と色が使われており、なんとなく風景画のようにも見えるため印象的だった。
次に、「カラーチャート」シリーズの1つ。25色で構成された正方形のカラーチップが1つの作品に196枚並べられている。離れてみたら何かの絵になるなど何か意味があるのかと思ったが、そういうわけではなく、きれいに見える色の組み合わせを研究した成果ということらしい。
ちなみにこれは、ケルン大聖堂のステンドグラスにも使われている。なんとなく、ゲームの世界に入ったようだ。
次は、「フォト・ペインティング」シリーズの1つ。写真を忠実に絵画に移したもののようだ。写真をぼやかしたものかと思ったが、よく見ると筆の跡があり、絵画であることが分かる非常に面白い作品だった。
こちらは、私が好きなエッシャーの絵にも似たシリーズの1つだ。一見、普通のフォト・ペインティングシリーズの1つかと思ったが、よく見るとおかしな絵なことがわかる。いわゆる「だまし絵」だ。写真のように非常に精巧に描かれているため、だまし絵であることに気付きにくい、ユーモアあふれる作品だ。
東京国立近代美術館 常設展
常設展、MOMATのコレクションも見てきたが、ここまで見る人は少ないのかゲルハルトリヒター展よりも客数は少なく、年齢層は比較的高めだった。
気になった作品を数点あげる。
人の顔を逆さまに描いた不思議な作品。かなり大きな絵なので、離れて見ないと何が描いてあるかわからなかったが、粗いタッチでしかも逆さまに描いたにもかかわらず人の顔がしっかりと描かれていて印象的だった。
次は、もともと男女が向かい合って祈りをささげているような作品をオマージュし、手には銃をお互いに向けあい、空にはキノコ雲、後ろには戦車といったように、戦争を表すような作品だ。本来の作品とは正反対のような作品で、現代もなお紛争や戦争が起こり続ける世界への皮肉を感じた。
最後に
東京国立近代美術館は初めて訪れたが、比較的足を運びやすい場所にあるからか、平日昼間でも多くの人が訪れている印象で、また幅広い客層になるように考えられた企画展のセンスのよさも感じた。
ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画も見たことがなかったので、展覧会を見たいま、彼の作品を頭に残したうえで見てみようと思う。