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直島の現代アート

瀬戸内海の現代アート

昨年、友人に誘われ香川県の直島を訪れた。それまで、恥ずかしながら直島という島の存在や、ここで現代アートが盛んであるという事実を全く知らなかった。
訪れるにあたっていろいろと調べてみたところ、直島以外にも、瀬戸内海の小さな島々でそれぞれのアート作品が展示され、島自体がアートであふれているということを知った。
私が印象に残った作品を中心にいくつか紹介していこうと思う。

草間彌生「南瓜」

そもそも、なぜ瀬戸内海の島々で現代アートが盛んなのか。
直島にあるベネッセミュージアムがきっかけのようだ。「現代社会における、近代化が進んだ競争社会という大都市の抱える問題と、瀬戸内のような高齢化が進む地域の現状との矛盾を考え、瀬戸内の島々の様な近代化に汚染されていない日本の原風景が残る場所に、現代社会を批判するメッセージ性を持った魅力的な現代美術を置いたら、地域が変わっていくのではないか」という考えから、現代アートが直島に持ち込まれ、今では島も活性化し、島に住むお年寄りの笑顔があふれるようになった。

直島銭湯「I♥湯」
実際に入浴できる銭湯兼美術施設

直島の美術館

直島を訪れた際に、いくつかの美術館・作品を鑑賞した。

まず訪れたのは地中美術館だ。直島の地中を掘って地下に作られた美術館で、無機質でありつつも傾斜や空間を活かした美しいコンクリート建築が非常に印象的だった。

地中美術館の入り口付近のコンクリート建築部分

次に訪れたのはベネッセミュージアムだ。
ここには、ミュージアム内だけでなく、ミュージアムの周辺にも様々な作品があり、無料で楽しむことができる。またミュージアムに宿泊することも可能である。
屋外展示で特に好きな作品は、シップヤード・ワークスの1つで、時間帯によって地面に移る影が変わり、影も合わせて1つの作品といえるような美しいものだった。

大竹伸朗 「シップヤード・ワークス 船尾と穴」

ミュージアム内の作品で特に好きな作品は、「100年生きて死ね」という何とも尖った名前の作品だ。この作品は、100個の○○and liveと100個の○○and dieという言葉がネオンで書かれていて、順番に点滅するという、個性的だが輪廻を感じさせる深い作品に思えた。

ブルース・ナウマン「100生きて死ね」

家プロジェクト

直島には、大きな美術館のほかに、点在していた空き家等をアート作品に作り替えた「家プロジェクト」というものがある。現在は、「角屋」「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」の7軒が公開されている。

すべて鑑賞したが、どれも個性的で、実際に体験できる作品もあり、アート作品の新しい楽しみ方という印象だった。
特に、実際の歯科をまるごと作品化した「はいしゃ」という作品は、建物の中には床をぶち抜いて自由の女神がたっていたり、右のピンク(歯茎色)の塀には2,000個の陶器の歯が埋め込まれており(結構気持ち悪かった)、非常に個性的で面白い作品だった。

「はいしゃ」

こちらは家プロジェクトを回っている中で見つけた作品で、本村地区の家屋の特徴である南北の続き間を活かして水を張ったもの。まるで家屋が水の上に浮かんだようになっており、白い石と青空のコントラストが非常にきれいだった。

The Naoshima Plan 「水」
暑い日には水に足を浸すことができた

最後に

今回は直島の現代アートしか鑑賞することができなかったが、豊島や犬島、女木島など瀬戸内海の他の島にも、ベネッセによるアート作品が多くあるということなので、ぜひ行ってみたいと思う。
また今年はちょうど、3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開かれており、夏・秋とまだ参加のチャンスがあるので、ぜひ瀬戸内の魅力・現代アートの魅力を多くの方に知ってほしい。



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