ギフティング(投げ銭)コミュニティサービス『Engate』をBリーグで体験してきた話🏀 トークンエコノミーとアスリートビジネスのマネタイズについて考える:其の壱。
突然ですが、"投げ銭"をしたことがある方はいらっしゃいますでしょうか?
路上のアーティストやパフォーマーに対して。
SHOWROOMにツイキャス、17やLive.me、YouTubeでも実装された映像配信者に向けて。
Polcaや炎上したOsushi。
はたまた暗号通貨に触れている方ならMona、Nemやtipmusic。
それらTwitter上でのやりとりや、それこそnoteやPixivなんかも投げ銭可能なサービス。
ひとくちに"投げ銭"といっても、その在り方は数年前に比べるとかなり様変わりしてきています。中国都市部ではストリートミュージシャンがAlipayやWeChatPayのQRコードを掲示して投げ銭を受け付けるのは特段珍しくもない光景。
LINE PAYに楽天やドコモなどなど、日本でもQR決済戦国時代になってきてますが、国内においても同様に路上QRが現れるのも遠くないはず。(もうあったりして…)
そんなようにスマホさえあれば気軽に投げ銭が出来るようになっている現在において、スポーツチームや選手にファンがダイレクトに投げ銭して"応援"することが出来るコミュニティサービス『Engate』(エンゲート)ベータ版が先日ローンチされました。
※Engateサービス概要(TechCrunchより)
現時点での『Engate』の仕組みは簡単に言ってしまえばポイントシステムです。
ビックカメラとかLINEポイントなんかと同じようなイメージでそれ自体は目新しい物ではありません。ブロックチェーンを活用しているけれど、流通するのはあくまでポイントであり、現金化できる独自の仮想通貨というものではないというのが現状でのEngateポイント。
【"Engateポイント"を購入⇒好きなチームや選手に投げ銭として贈る】という流れは、SHOWROOMであったりLINEでポイントを購入⇒スタンプを買う、というものと仕組みとしては変わりません。
ただし、"Engateポイント"が購入されてチームや選手に贈られて終わり、ではわざわざ新しいサービスとしてブロックチェーンを使って始める意味がありません。最近ちょこちょことニュースに出てくる『トークンエコノミー』= 『独自の経済圏』を構築してこそ、こうした投げ銭サービスの真価が発揮されます。
例えば、
"チームと提携しているお店で買物が出来る・飲食店で食事が出来る"
"電車やバス代、公共料金など生活インフラの支払いに使える"
"参加しているチームが運営するスクールの支払いに使える" etc…
といったように、選手やチーム関係者だけでなく一般市民も"Engateポイント"を日本円と同じように現実の生活で使えるようにすることで、
【Engate経済圏を構築して、Engateポイントに実体を伴う"価値"を持たせ経済の循環を産み出していく】
というところが今後サービスの普及・発展に向けて欠かせない要素です。
(※Engate HPより)
ポイントなり独自通貨なりが経済活動に使われて価値が循環していくことで、応援される力の大きさが可視化されるのはもちろんのこと、チーム・選手・ファンそれぞれの人たちがより高い熱量や密度を楽しめる世界を構築できる可能性があります。
ファンが本当に評価するプレーとは何なのか?
どのような商品・サービスが人気で、どのようなものを期待しているのか?
ファンは日常において、どのようなことに時間やお金を消費しているのか?
ファンや選手ひとりひとりの活動がブロックチェーンに刻みこまれていくことで、チームや競技選手にとってこれまで抽象的だった、
『どんな人が自分たちのファンなのか?』
『ファンが求めるコンテンツはどういったものなのか?』
といったものを具体的にすくい上げることが可能になります。
それは、他産業とのシナジー効果も含めた『本当の意味でファンが楽しめるサービス』を運営側が当てずっぽうではなく開発できることに繋がります。グッズでもスタジアムの飲食店にしても、これまでの憶測頼みとは精度が段違いになるでしょう。
(※横浜DeNAベイスターズHPより)
ただし、価値が"循環"ではなくファン→チーム/選手間のみの直線的な関係性だけで終わってしまうのであれば、わざわざ新たなサービスとして存在する意義はありません。それでは水商売の売上ランキングや、AKBなどに代表される疑似投票ビジネスモデルといったものとなんら変わらず、閉鎖されたコミュニティでの盛り上がりにしかならず横の拡がりを産み出すことが出来ないのです。
ポイントシステムに分かりやすく置き換えて、ビックカメラで例えてみます。
家電からはじまったものが現在では日用品から生鮮食品までカバーして、ビックカメラのポイントでありとあらゆるものが購入できます。しかし、ビックカメラの店舗/ECからそれ以上外部にスケールすることはありません。経済圏は成立しているけれど、ビックカメラユーザのみという閉鎖的なコミュニティに留まります。
Amazonでも同様にポイントの活用はあらゆるものに拡がってはいますが、ECのみでありリアルな地域でのコミュニケーションや送客まで繋がる現象までには至っていないのが現状です。
そこに今年、プロ野球・横浜DeNAベイスターズがITベンチャー企業「ギフティ」をパートナーとして、地域経済活性化を目指した電子地域通貨サービス「BAYSTARS coin(仮)」開発を打ち出しました。
(※横浜DeNAベイスターズHPより)
横浜DeNAベイスターズは本拠地横浜スタジアムを中心に横浜市内外において「CLUB BAYSTARS」という提携店舗が数多く存在しており、関内周辺のみでもその数は約700店舗にのぼります。
既にベイスターズのファンクラブ会員はそれら多くの提携店舗で割引きなどの提携を受けることが可能になっていますが、電子通貨が実現すればポイント付与の様な形を取ることによって、そうした”ベイスターズ→店舗"への送客だけではなく"店舗→スタジアム”というこれまでと真逆の送客も現実味を帯びてきます。
また将来的にはそうした経済の存在はアスリートのセカンドキャリアサポートにも繋がるでしょう。ごく一部のチームスタッフとして活動できる選手を除く、陽の目を見ることなく終わってしまった選手のセーフティネットとして機能することも期待できます。
こういった形のように、
『法定貨幣(=日本円)に頼らずに、自分たちの経済圏を独自の代替貨幣で構築・循環させていくこと』が『トークンエコノミー』と呼ばれるものです。
日本において欠かせないコミュニケーションプラットフォームであるLINEも、ブロックチェーンと連想したLINEトークンエコノミー創出に向けて既に未来予測やQ&Aサービスなどをローンチしています。
(※LINE HPより)
こうしたトークンエコノミーは今後間違い無く競争が激化する分野と言って間違い無いと思います。今回取材してきた『Engate』はそのトークンエコノミーを創出するツールとなりうる国産サービスのひとつであり、ベータ版ローンチ後、Bリーグ🏀横浜ビー・コルセアーズの公式戦で初の実地投入となるというところだったので現地で取材、投げ銭体験をしてきました!
といったところで前置きがやたらと長くなってしまったので続きは次回…(汗)
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