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新聞歌壇のまとめ⑨と少し短歌について

河口を漂っても壊れたままだけど溢れるまでに欠片を拾う 2024.9.10 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.8.6 投稿) 何を足すこともしないで木蔭には半分とけてやってくるバス 2024.9.16 毎日歌壇 加藤治郎選 一席 (2024.8.16 投稿) 何度目にいえばよかったの泣いたからくるしいメロンパンの感触 2024.9.29 東京歌壇 東直子選 (2024.8.28 投稿) 眠ること 変わった動物の縫いぐるみばかりふえていく透ける波間に 2024.9.30 毎

    • 投稿のまとめ ⑧

      ターナーのひかりの浜に佇っているあなたを羨むまま閉めた窓 2024.8.5 毎日歌壇 水原紫苑選 一席 (2024.7.18 投稿) 渚のとおくで電話が鳴っているもしもし、そこはいいとこですか 2024.8.5 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.6.27 投稿) さみどりの胸の抽斗取りだして近くの雲をそうっといれる 2024.8.12 毎日歌壇 加藤治郎選 二席 (2024.7.3 投稿) 岩絵具の絵筆のような含みある言葉をいわれ虚ろな器 2024.8.12 毎日歌壇

      • 投稿歌 まとめ⑦

        時間とは詩でありきみの指さきに撫でられている栞でもある 2024.6.17 毎日歌壇 加藤治郎選 一席 (2024.5.8 投稿) 本に置くかるい光のことをいうきみの (ちがう) の微かなふるえ 2024.6.24 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.5.14 投稿) 音楽はたやすく髪を揺らすから綻ぶ花をまかせられない 2024.6.24 毎日歌壇 水原紫苑選 (2024.6.5 投稿) バスタブになにかきらきらしたものを落としたようにきみに会いたい 2024.7.1 毎

        • 投稿歌 まとめ⑥

          さびしさをそっとしておくことなどができずに舟で迎える驟雨 2024.5.20 毎日歌壇 水原紫苑選 (2024.5.1 投稿) とりとめもなく青空を撮っているわたくしという器の外を 2024.5.27 毎日歌壇 水原紫苑選 (2024.5.9 投稿) 強く吹く風 ひかりには傷ついてしまう木もある 強く吹く風 2024.6.3 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.4.25 投稿) 初夏の冷たい肺に手をあてて博物館のきざはし巡る 2024.6.3 毎日歌壇 水原紫苑選 (20

          投稿歌 まとめ⑤

          白雲を翼と呼んでいつまでもそこにあるから飛べない僕ら 2024.4.8 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.2.26 投稿) せいせいとしたせいしゅんを送ります雪に触った手を乾かして 2024.4.16 毎日歌壇 加藤治郎選 (2024.3.6 投稿) さめの縫いぐるみを抱いてはだしのままベランダに立つ さくらが触る 57577展2nd テーマ:「愛着」 岡野大嗣選 雛菊の花の細部におどろいて俯くきみの自我をみていた 2024.4.22 毎日歌壇 水原紫苑選 二席 (20

          投稿歌 まとめ⑤

          冷えている肩を冷やして漁港まで歩いて常夜灯を見に行く

           歩いている景色に飽きることが、もっとも虚しく寂しいことだった。  同じところをぐるぐるとして、断片的な起点を延々と繋ぎ合わせるには、十分で丁度いい変化さえあればよかった。その変化も歩き尽くした放浪の末、夜の漁港に辿りつくことが多かった。  現実から目を覚したくて夢を見、夢想の中に居場所をつくった。居場所、というのには偽りがあるかも知れない。私は人気のあるところでも人目を気にしなかったし、汚い吹き溜まりのようなところでも別に平気でいたから。だから、どこにも存在など生きれてい

          冷えている肩を冷やして漁港まで歩いて常夜灯を見に行く

          새의 귀 / 鳥の耳

          새의 귀 서러운 까닭을 찾고 찾는 이유가 없다는 것을 깨달았을 때 연기의 날개 먼 물소리에 귀를 기울이고 있다 새의 소유이다. 鳥の耳 悲しいわけを探して 探すということに理由がないと悟ったとき 煙の羽 遠い水音に耳をすます 鳥の所有だ

          새의 귀 / 鳥の耳

          投稿歌 まとめ④

          たましいは宿るのではなく在るのだと夕映のなか谺する木々 2024.1.8 毎日歌壇 水原紫苑選 二席 2023.12.10 投稿 壊れてる(、音で雨戸をたたくあめ、)、愛さなかった、(わけを受話器に 2024.1.15 毎日歌壇 加藤治郎選 一席 2023.11.13 投稿 あくる朝あなたは雪のようでした 声をつまらせて覚める夢 2024.1.29 毎日歌壇 加藤治郎選 2023.12.10 投稿 ながく笑ったあとに静かな雨が降りここまで来てしまったんだと思う 2024

          投稿歌 まとめ④

          投稿歌 まとめ③ 2023年

          ※2023.1.14 毎日歌壇・水原紫苑選に投稿を始める 疲れたら洗濯物をとりこんで雲の上の歌声をわすれる 2023.1.30 毎日歌壇 加藤治郎選 2022.12.12 投稿 海、とおい海にうまれた月齢をたしかめているしんしん冷える 2023.2.14 毎日歌壇 加藤治郎選 2022.12.27 投稿 薄い色ばかりが好きで泣いていたひとを抱きしめられないゆめで 2023.4.3 毎日歌壇 加藤治郎選 2023.2.13 投稿 きみの好きなものはわたしが壊したい 青い

          投稿歌 まとめ③ 2023年

          投稿歌 まとめ② 2022年

          大雪に遅れたバスを待っているつややかな珊瑚色のバスを 2022.1.9 東京歌壇 東直子選 一席 2021.12.5 投稿 (1月月間賞) もうここで戻れないならそう告げて蜜柑の香りが翼に沁みる 2022.1.29 NHKラジオ文芸選評 加藤治郎選 テーマ「蜜柑」 国境を越せないからだ思うとき眼窩に昏い木蓮がある 2022.1.31 毎日歌壇 加藤治郎選 2021.12.6 投稿 片付けに白い布巾が濡れてゆく真昼間ゆるく心に凭れ 2022.4.9 NHKラジオ文芸選評

          投稿歌 まとめ② 2022年

          投稿歌 まとめ① 2020年〜2021年

          2020年 「空が見たい」と言い旅立ったあの子に青いビニールシート被せて 2020.12.20 東京歌壇 東直子選 二席 片栗粉に押し当てた白い卵のあと滑らかで入れない天国 2020.12.27 東京歌壇 東直子選 2021年 ※2021.3.10 毎日歌壇・加藤治郎選に投稿を始める ※2021.6.22 東京歌壇・東直子選に一時やめていた投稿を再開する シーツ引き皺伸ばしたら花の息ほどの数式解ける気がする 2021.7.5 毎日歌壇 加藤治郎選 2021.5.1

          投稿歌 まとめ① 2020年〜2021年

          성지/聖地

          성지 나는 여기에 있어. 난 여기서 부르겠어. 부르도록, 내가 여기에 있어. 나는 이렇게 부른다 "문이 하나 있는 내 공허한 성지에 다른 누구한테도 알려지지 않은, 공허한 하느님의 성지에 난 있어 !" 그리고 당신을. 聖地 私はここにいるよ 私はここで呼ぶよ 呼ぶように、私はここにいるよ 私はこう呼ぶ 「戸のひとつある 私の空虚な聖地に ほかの誰からも知られない、 空虚な神様の聖地に 私はいる」 とあなたを。

          蝶の寿命/나비의 수명

          蝶の寿命 春の蝶が夏に死ぬように わたしは季節をひとつ寝坊した 世の先生がたは早起きだが 今の生活に慣れるのに 将来を楽しみに待つことは 今からでも遅くはないだろう 나비의 수명 봄나비가 여름에 죽는 것처럼 나는 계절을 하나 늦잠 잤다. 세상의 선생님들은 일찍 일어나지만 지금 살기에 익숙하는 데 꿈을 기대되고 기다리는 거은 지금부터라도 늦지 않을것이다.

          蝶の寿命/나비의 수명