#15 必要だったのか? パワーバッテリーホルダー(買ったけど…)
OM SYSTEMから届いた一通のメール
ある日、OM SYSTEMからメールが届きました。
タイトルは「【なくなり次第終了!】『パワーバッテリーホルダー HLD-10』を数量限定販売!」。
OM SYSTEM メンバーズ会員に対して、公式オンラインストア価格41,800円のところ20,000円という破格の値段で提供するというご案内。
私はシルバー会員だからか、さらに1,000円値引きされ、その上送料無料の19,000円(税込)ポッキリ。
さっそくカメラのキタムラとマップカメラで市場価格を調査したところ、どちらも37,620円(申し込んだ9/4時点)でしたので、それよりもはるかに安いお値段です。
そもそもパワーバッテリーホルダーって何なん?
OM SYSTEMは「パワーバッテリーホルダー」ですが、Nikonは「パワーバッテリーパック」、Canonは「バッテリーグリップ」、SONYは「縦位置グリップ」と呼称しているようです。
この製品には主に2つの役割があります。
前提としてグリップの形状をしたバッテリーケースを、カメラ底面の三脚用ネジ穴にネジネジして取り付けます。
これにはシャッターボタンや各種ダイヤルなどが装備されているため、ヨコ構図の通常撮影と同じ感覚(構え方)でタテ構図の写真が撮れるようになります。
もうひとつは、バッテリーホルダーとボディー本体の双方に装填したバッテリーから給電するため、カメラの稼働時間が長くなります。
Canonの最新鋭高級機 EOS R5 Mark II は、動画撮影時の熱対策として冷却ファンを搭載するなど、用途に合わせて3種類も用意されており、気合いの入れようが違います!
OM SYSTEMとNikonは、製品名に「パワー」なんて言葉があるので、あたかもこのアイテムを装着すればカメラの性能がアップして、オートフォーカスが通常の3倍のスピードになるのかな?…などと過度な期待をしてはいけません。シャア専用ザクのようなぶっちぎりパワーはどこにもありません。
とは言え、Canonの「バッテリーグリップ」は気合いの割にそのまんまの名前で捻りがなく、「縦位置グリップ」のSONYに至っては事務用品のような実直なネーミングで、購買意欲に影響しないか心配です(杞憂でしたらご放念ください)。
古いフィルムカメラには「モータードライブ」がありました
1枚1枚写真を撮るたびに手巻きのレバーでフィルムをチャージしていたカメラには、外付けのモーターでフィルムを巻き上げることで連続撮影を可能にした「モータードライブ」というアクセサリーがありました。
カメラに装着した際の全体のフォルムはバッテリーホルダーのそれと似ていますが、このモータードライブはまさにカメラをパワーアップさせるメカであり、合体ロボのようなカッコ良さがありました。
若かりし頃は「モードラ、モードラ」と言いながら、その日の気分でガチャガチャとくっつけたり外したりしてましたなぁ。
実は以前もやっていたキャンペーン、そのとき私は…
閑話休題、バッテリホルダーに話を戻します。
春にも同じキャンペーンの案内がありましたが、その時はガン無視でした。
そもそもフルサイズ機からマイクロフォーサーズ機に乗り換えた一番の理由は、機材の軽量・コンパクト化です。
長時間稼働させたいのであれば予備バッテリーがあればいいし、タテ構図の写真を撮りたければ腕を捻じ曲げればいいだけの話であって、わざわざボディーをデッカくする理由が見当たらなかったのです。
破格の安さに心惹かれましたが、安いからと言って使わないモノに20,000円も支払うことを馬鹿らしいとも思いました。
物欲を抑えた自分を誇らしく思うとともに、とにかく余計な出費をしなくて済んだことにホッと胸を撫で下ろし、今日まで平穏な日々を過ごしておりました。
今回購入に踏み切ったのはなぜ?
今回2回目のメールを受け取ったとき「あれれ…在庫を抱え込んでいるのかな?」と心配しつつ、普段あまり使わないM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROという望遠レンズに、焦点距離が2倍になるテレコンバーターMC-20(こっちはもっと使わない)を噛ませて武装したOM-1で、夏の海を撮影した日のことを思い出しました。
マイクロフォーサーズ規格により小型・軽量化が図られているとは言え、“テレコン”を付けたことによりフルサイズ換算で600mmにもなる超望遠レンズです。慣れない600mmは、手元の角度が少し変わるだけでファインダーの中の世界は明後日の方を向いてしまいます。
このレンズにOM-1は少し小さい、正確に言うとグリップがもう少し長ければガッチリ掴んで構えることができるのに…と思ったのです。
このメールが届いたときに購入する理由の言い訳として真っ先に思い浮かんだのは「この課題を解決するためにはパワーバッテリーホルダーが必要」という、みんながこぞって言うお決まりのフレーズでした。
普段専らその辺をブラブラしながらスナップ写真を撮るだけの私にとって、このレンズの出撃頻度は年に数える程度です。
「これを使う時だけのために19,000円を支払(うなんてやっぱり馬鹿らしい)」と(カッコ内)の最後の言葉を発するよりも前に、右手の人差し指が勝手にマウスをクリックしていました。けしからん人差し指です。
パワーバッテリーホルダーを装着したOM-1(写真紹介)
実際に使ってみての感想
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROほどではないにせよ、マイクロフォーサーズ規格のレンズとしては大柄で質量のあるM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを使い、同じ場所からヨコ構図とタテ構図を撮影してみました。
タテ構図での操作性は格段にアップしましたが、これは想定内。ヨコ構図でも小指がしっかりと引っ掛かり、手のひら全体も添えることで、バッテリーホルダーがない時よりも安心して撮影ができる気がしました。操作性がアップしたのは間違いありません。
新たな課題と不安
今回の撮影ではカメラの重量増を避けるため、カメラ本体のバッテリーをバッテリーホルダーに移し替えただけで、バッテリーは1つしか使いませんでした(わざわざバッテリーを入れ替えたのは、交換時にバッテリーホルダーをカメラから外す手間が省けるため。USBによる外部充電なら両方いっぺんに充電できますが、私は外部充電をしません)。
つまり、操作性の向上とカメラの稼働時間延長というバッテリーホルダーが持つ2つの役割のうち、1つはすでに放棄しているのです(苦笑)。
ちなみにOM-1の本体質量はバッテリー込みで599g(メーカー公表値、以下同じ)、バッテリーホルダー本体(バッテリー含まず)が242gで合計841g。今回はレンズが少し重たく561gなので、全体で1,402gになりました。
「バッテリー1個だけ作戦」により重さはたった242gだけの増加に抑えられました。しかし、これまでひょいひょいと持ち上げていたカメラが、体積が大きくなったことでガッツリ掴んで持ち上げるようになり、気分的に重たくなったように感じられました。その時思ったのです。「このストラップ、重さの割に細すぎんか?」
ストラップ以外にも問題があります。かさ張ったカメラは手持ちのカメラバッグに収まらず、新しいバッグが必要ではないかと、新たな物欲が芽生え始めているのです。恐ろしやカメラ趣味。
また、他に気がかりなのは、SNSなどでOM-1にパワーバッテリーホルダーを付けている人をほとんど見ないことです。得られる機能に対して値段が高いのか、小型・軽量というマイクロフォーサーズの利点をスポイルすることを嫌うのか、どちらにせよあまり見かけません。もっと焦点距離の長い超望遠レンズでネイチャーフォトを撮るプロカメラマンですら付けていません(私が見ないだけ?)。果たして購入したことは正解だったのか、一抹の不安を感じています。
ただ1つ言えるのは「無くても困らないモノかもしれない」ということです。ホント、けしからん人差し指め!
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