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きっかけ
ハタチの誕生日を目前にした肌寒い風が心地よく感じる季節。
私はSNSで好きな音楽が共通の人と出会った。
フォロワーも多くて、なぜ自分に連絡が来たのか分からないような人だったが、
とても人に話せるような話じゃない情け無い自分のことを話せるくらいフィーリングの合う人だった。
その男が私の誕生日を知ったのは、ほんの些細な会話で誕生日に関する会話ではなかった。
ハタチの誕生日はどことなく特別感のある一生に一度しかこない日だったが、私には予定などなかった。
化粧品メーカー勤めのその人は、誕生日をお祝いしたいから会えないか、と持ちかけてきて私は何度も断った。だって、SNSで知り合った人と会うのは避けてきたし。
今でもその人が最初で最後だ。
押しに負けて会った彼は普通にいい人で、
ご飯食べてカラオケ行ってバイバイするだけの本当にお祝いしたい為に会おうと思ってくれたのが分かった。
なんでタバコ吸ってんの?
...よく聞かれる。
タバコ吸ってんの意外だわ
...よく言われる。
その特別な歳の誕生日に一度きり会ってお祝いしてくれた人が吸ってたから。
これが理由だった。元々タバコの匂いは好きじゃなくて自分が喫煙者になるなんて思ってもなかった事だ。
人は些細な出来事で変わってしまう。
今も辞められてはない。でもあの人を思い出す事もなかった。彼のことが好きで始めたタバコではなくて本当にただのキッカケに過ぎなかった。
ただ、誕生日お祝いしてくれてありがとう
今なら言えるよ、
あの日1人で過ごさなくて良かった。
もうあれから数年経つけど、人に聞かれても特に何も話さないけど。
たった一度一緒にご飯食べただけの彼は、
その日を忘れられない日にしてくれた。
今何してるかは知らないけど、どうか幸せでありますように。
私は彼があの日、私にしてくれたように見返りなんて求めない優しさを、誰かにあげられる人になりたいと思っている。