「失敗」は一番の近道
今回は失敗について書きます。
なぜこのテーマについて書こうと思ったのか。
それは、高校時代の自分と大学時代の自分を振り返っている時に、「失敗」に対する見方が変わっていたことに気づいたからです。
僕はバスケットボール部に所属していたのですが、高校時代は「失敗したくない」という思いから、失敗しないようにプレーをしていて、すごく消極的なプレーばかりしていたように思います。
ひどい時は、ミスをしないようにボールに触らないように黒子役に徹していたりした時もありました(一時期ですが)。
そんな超消極的プレーヤーであった僕ですが大学では、「とにかくやってみて、それから考えよう」というマインドに変化していました。
それはプレーヤーとして伸び悩み、ある意味開き直ったということも要因の一つとしてありますが、何よりもプレーではない、チームづくりの面で失敗に対する捉え方が変化したことが大きく影響していました。
チームづくりにおいて「正解」はありません。
未来を的確に予測し、その予測にチームを合わせていくなんて不可能に近いです。
僕は昨年主将を務めましたが、まさに新型コロナウイルスの影響で未来なんて誰もわからないという状況に直面しました。
そんなこんなで、僕はプレー以外のところから
失敗なんてして当たり前。失敗してからそこから学べばいいというマインドに変化し、それがプレーにも現れて、思い切ってプレーすることができるようになりました。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな「失敗」について、
「失敗することが目標達成への一番の近道である」ということについて書いていきたいと思います。
最初から完璧である必要はない。完璧を求める必要もない。
僕自身の経験から言うと、組織でも選手でも「完璧さは必要ない」ということです。
もちろん完璧に限りなく近づいていくことが成長につながるので、完全に必要ないと否定するつもりはありません。
ただ、「完璧な状態」を目指そうとすると、「失敗=悪」という認知ができあがってしまう恐れがあります。
ミスは許されないということです。
そのため、完璧を目指すことは、「失敗」や「挫折」といったものを全て排除していくというプロセスを通ると思います。
すると、個人や組織は「失敗しないように」というミスを回避し、守りの姿勢に入ってしまいます。
まさに、高校時代の僕がそれでした。
ミスしないプレーを選択した結果、なんの特徴もない、ただそこにいるだけの奴になってしまい、選手としての価値をチームに提供することができませんでした。
そう考えると、
失敗しないようにやると、かえって目標達成へ遠回りになる
ということがわかります。
完璧さを求めるが故に、その完璧にいつまで経っても到達できないという矛盾が生じてしまいかねません。
僕が完璧を求めず、完璧である必要もないというのは、まさに完璧さを求めると底なし沼に入ってしまい、もがけばもがくほど沈んでいってしまう経験を過去にしてきたからです。
だから僕は完璧さは求めません。
完璧でないのが人間の良いところであり、成長する意欲の源泉にもなるからです。
僕は完璧を求めず、失敗を受け止め、失敗から学ぶことで、最初は思ってもいなかった新しい自分になることができました。
それが結果的に目標達成に一番の近道であったりします。
失敗の捉え方
これまでのことを踏まえ、僕は失敗を「コーチ」と捉えています。
コーチは自分にはない知識や自分にはなかった新しい見方を提供してくれる存在です。
だから、僕は失敗した時、その失敗を、自分に新たな知識や見方を与えてくれる「コーチ」だと思って、失敗と向き合っています。
失敗をコーチとして捉えると、どのような良いことがあるかというと、
失敗は短期的には失敗かもしれない。
でも、長期的に見たら成功なのかもしれない。
という失敗に対する視点の置き所が変化するということです。
その場においては失敗かもしれません。
でも、その失敗から学び成長に活かすことができれば、それは成功になります。
この考え方によって、「失敗=悪い」という構造は崩れ、「失敗=チャンス」という構造を新たに構築することができます。
だから、失敗に対して責任を誰かに押し付けるとか、失敗に対して凹むとか、そういった次元の話ではなくなります。
失敗という「コーチ」からの助言によって「何をやるべきか」が明確になり、凹む時間なんて逆になくなってしまいます。
これが、僕が今回の記事で伝えたかった「失敗することが一番の近道」だということです。
「失敗」と「不安」は切り離す
ただしここで一つ注意点があります。
それは、「失敗」と「不安」は違うということです。
「失敗はチャンスだ」と先述しましたが、不安はチャンスを奪う足かせとなる存在です。
そのため、「失敗」と「不安」は切り離して考える必要があります。
僕は、主将をしている時、マネジメントの中で失敗することは全然怖くありませんでしたが、メンバーの不安を募らせることが一番怖かったです。
なぜなら、メンバーの不安はそのままリーダーへの不信感に繋がり、最終的に組織への不信感へも繋がりかねないと考えていたからです。
選手としても、「失敗しても大丈夫」というマインドだと思い切ってプレーできますが、「不安だな〜」と思いながらプレーすると思い切ったプレーはできません。
だから、失敗と不安は両方ネガティブな要因として括ってしまいそうになりますが、失敗と不安は切り離して考えるべきだと僕は思います。
自己実現か自己防衛か
ここからはちょっと組織論というかチームビルディング的な観点からの文章になります。
メンバーが失敗を恐れず、のびのびとできるチームを作ろうとする、つまり、メンバーが本来の自分で居られるチームづくりを始める時、僕たちは深くに染み付いた心理の流れに逆らって泳ごうとしています。
それはつまり、人は本来失敗をしないように、例えば、発言より沈黙を好む心理的・社会的な意思を無意識に持っています。
まずは、間違ったことを言ってしまい、信用や信頼を失うことを避けるために「失敗をしないように」無意識に行動をしてしまうのが人間だと、僕は考えています。
つまり、人は自己実現より自己防衛を優先する傾向があるということです。
まずは自分の安全が大切で、その上で自己実現を目指すという順番を取ります。
ですので、メンバーが失敗を恐れずのびのびとできるチームを作るためには、まずはメンバーの心理的安全を確保する環境が必要になってきます。
負けないようにプレーするか、勝つためにプレーするか
心理的安全な環境を整えるにあたり、チームの心構えを改める必要があると思います。
それは何かというと、「勝負・競争」に対する心構えです。
「負けないように」というマインドは、マイナス面の側面から身を守ろうよするマインドで、安全第一、つまり自己防衛につながるマインドです。
これは、「失敗しないように」という心理が働き、思い切った挑戦ができなくなり、極力ミスをしないように、とても消極的になってしまいます。
一方、「勝つために」というマインドであれば、プラスの側面にフォーカスし、チャンスを探し、必然的にリスクをとるようになると考えています。
このマインドが「失敗を恐れない」ということで、失敗を通して学べば良いのだという挑戦の意思が高まるマインドであると思います。
失敗を賞賛する環境を整える
以上のように、失敗に対するマインドを変えるためには、個人の変化ももちろんそうですが、組織やチームとしての変化も重要になってきます。
”早く、頻繁に、とんでもない失敗を見せる。それでいい。完璧である必要なんかない。駄目なものを見ることで、はるかに素早く軌道修正できるようになるから。”
このような失敗に対する心理的安全性を組織やチーム全体でつくっていくことが大切です。
そのためには、リーダーが率先垂範するべきだと僕は思います。
リーダーが先陣を切って失敗を大声で叫ぶべきだと思います。
失敗は目標達成への一番の近道です。
みんなで失敗を笑い合いながら、失敗から学び、早く目標を達成しましょう!