楳図かずお・こわいマンガ
確か、小学4年の時だった、と思う。
同級生が一人、何かの病気か怪我で、近所の病院に入院した。
何度かお見舞いに行ったのだったと思うのだが、病室に、入院患者の暇つぶし用だろうか、週刊少年サンデーが何冊かあった。
それに載っていたのが、ちょうど連載中だった『漂流教室』。
既に立ち読みでいろいろなマンガに触れていた時期で、楳図かずおの絵は、こわいマンガを描く人、として強烈にインプットされていた。
主に秋田書店のサンデーコミックスから出ていたいくつかのマンガを何度か読んだけど、何度も読み返したくなかった。
買って家に置くなんて考えもしなかった。だって、こわいんだもん。
ただ、この『漂流教室』はなにか違った。
舞台が現代じゃない、文明が滅亡した未来世界、あたり一面砂漠で、異形の未来生物が襲ってくる。
こわいけど、「え? いつものただこわいマンガじゃなくて、これってSF!?」
……そう思って読み、ストーリーへの興味からコミックスも遡って立ち読みした。
いつもの朝、何気ない母子のケンカ、まさかそれが最後の別れになるなんて……
登校した小学校で謎の爆発が起こる。
だが、なにか違う。残骸もなく校舎のあったところには巨大な空洞。
小学校は校舎ごと、謎の異世界に飛ばされてしまっていた。
その異世界は、どうやら未来。文明は滅んでしまったらしい。
そんな世界で、自滅していく大人たち、残された子どもたちは、時に協力しあい、グループごとに対立したりしながらも、異形の生物や未来人類の脅威に立ち向かい、サバイバルしていく……
あの楳図かずおの絵で描かれる異形の生物の数々、恐怖にゆがむ子どもたちの顔は本当にこわかった。
でも、なけなしの知識と、校舎に残されたものだけを使って(たまに、時を超えて交信する母親からの贈りものがあったりはするが)その脅威に立ち向かっていく子どもたちの姿から目が離せず、終盤は雑誌をリアルタイムで立ち読みして、ささやかな希望を抱かせるラストに感動した。
それは、SFとしての感動でもあり、子どもたちの成長物語としての感動でもあった。
自分がおこづかいで買い始めた時期の週刊少年サンデーには、楳図かずおのこわいマンガの連載が毎号載ることはなかったが(買い始めてから連載が始まったのは『まことちゃん』。リンク先の表紙の号は買った覚えがある)、夏には、こわい短編が載った。
それは……
それは、こわい、こわい、いつもの楳図かずおだった。
(買い始めてから初めて載ったのがこれ。いや、こわかった……)
※2024/11/5 冒頭リンクの通り、楳図かずお先生の訃報が伝えられました。
ご冥福をお祈りします。
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