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21/フィクションにフィクションを重ねる

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【記事のポイント】『抽象絵画』は理論の上に理論を重ねた絵画であり、『ルパン三世』はフィクションにフィクションを重ねたマンガでした。そして、両者は時間に関する同じ悲劇を背負っています。


第2章/10. 抽象絵画とルパン3世


キュビスムにせよ、未来派にせよ、もはや世界は描かれる対象というよりは、創作理論を展開するためのきっかけに過ぎなくなっていきました。

ダダイスムやシュルレアリスムにいたっては、もはや先行する世界は全面的な否定の対象でしかありません。
ならば、いっそ対象など存在しなくてもよいのでは? 

確かにその通り。


いささか乱暴な言いまわしですが、そんなふうに考えると、再現すべき対象を持たない抽象絵画はなんだかいさぎよいものに感じられてくるはずです。

抽象絵画は「何が描いてあるかわからない」と言われますが、そもそもそこには何かが描かれているわけではないのです。

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