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26/アメリカの理想とドイツの実利

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【記事のポイント】第一次世界大戦を通して、世界の覇権はヨーロッパからアメリカに移りました。そして、1929年の世界大恐慌。激動の20世紀前半は、強いリーダーシップの時代でもありました。


第3章/5. 大恐慌と巨大な壁


多くの犠牲者を出しながら、1918年、第一次世界大戦は終結しました。

しかし、ものごとの終わりは次の出来事の始まりでもあります。
大量破壊兵器でボロボロになったヨーロッパとは裏腹に、アメリカは大戦を通じて莫大な利益を上げ、国家としての自信を勝ち取っていました。

アメリカの時代が幕をあけたのです。

大戦前は35億ドルの借金を背負っていた弱小国が、大戦後には債権125億ドルを持つ超大国になっていました。
アメリカは辺境ではなく、ヨーロッパの難民が仕事を求めて押し寄せる、経済の中心地になったのです。


移住した人の多くが、地下鉄工事や高層建築など危険で過酷な職業に従事しました。
彼らのエネルギーを吸収することでアメリカの都市部や工業地帯は整備され、経済は大きく成長します。
当時のアメリカの工業生産力は、世界の4割と言われました。


人々は、貯蓄や再生産といった地道な生き方を捨て、投資によって巨大な利益をあげるようになっていきます。
賭博の始まりがそうであるように、多くのアメリカ人が自分の幸運を喜び、リスクに対する感覚を鈍化させていきました。

時の大統領フーヴァーも、自国の未来に何ら不安のないことを高らかに宣言しています。
1920年代は、新興国家アメリカが初めて体験するバブル経済だったのです。

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