1-1. 特性論(現代の心理学における性格の捉え方)
はじめは性格診断について書く
と宣言したので、有言実行します。
性格とは何か
あなたは性格とは何だと思いますか?
あなたの友人Aさんの話を、Aさんを知らないBさんにする場面をイメージしてください。
特にあなたとBさんが同性で、Aさんだけ異性のときは十中八九
「Aさんってどんな人?」
と聞かれますよね。
このとき、
・親切
・背が高い
・陽気
・おしゃべり
・ちょっと鈍い
・イケメン
・努力家
・心配性
・飽きっぽい
・怒りっぽい
・穏やか
・ノリがいい
など、様々な特徴が思い浮かぶと思います。
(ポケモンの性格補正)
現代の心理学における「性格」をザックリ言うと、上記のような特徴から身体的なものを除いたものとほぼ同義です。
(心理学のうち、性格を研究する分野を特に「パーソナリティ心理学」という)
特性論とは
まず初めに、特性とは個人の特徴を表すのに必要な「物差し」です。
物差しをいくつか使い、性格をできるだけ正確に表す
性格の表現に関して、こうした立場を特性論と言います。
(特性論の対になる立場で「類型論」があるが、それはまた今度)
「性格とは何か」で見た「親切」や「努力家」はこの物差しなんですね。
物差しなので目盛りがあって、主要な性格検査では大抵は1〜5か1〜7段階で自己評定します。
(それぞれ、5件法や7件法という)
物差し超いっぱいあるじゃん?
そう、個人の心理的な特徴を表す形容詞は物凄く沢山あります。(18,000以上の単語を頑張って減らして4,500にした)
ですが、よく見ると
「陽気」と「おしゃべり」
「親切」と「穏やか」
は、互いに相関があるように見えますよね?
(相関:一方が高ければもう一方も高い、という集団における傾向のこと。例えば、普通は「数学」の成績と「理科」の成績は相関がある)
逆に「穏やか」な人は「怒りっぽい」ことは少ないです。
こんな関係を負の相関がある、もしくは逆相関があると言います。
数学や理科を「理系」とまとめるように、互いに相関があるものはまとめられそうですよね。
(逆相関があるものもまとめられる。詳細は「心理尺度 逆転項目」で検索 検索ゥ!!)
※相関も逆相関もない関係は(ほぼ)無相関であると言います。
特性論を使った性格検査は
・相関や逆相関がある「物差し」同士をまとめて
・まとまった特性同士は無相関に近くする
(ビッグファイブなら5つの特性同士は無相関に近づける)
このように作られています。
特性論における課題
特性論は「物差しをいくつか使って性格をできるだけ正確に表す」ものでした。
物差しはいくつあれば足りるのでしょうか?
現代のパーソナリティ心理学では5つと言われています。(後で触れるが最近は6つある、とも言われている)
勤勉性C
開放性O
調和性A
外向性E
安定性S
の5つです。(解説はこの記事を参照)
いわゆる「ビッグファイブ」は、この5つの性格特性のことを指しています。
「ビッグファイブ」を測定する、日本語の代表的な検査は以下です↓
・BFPI(70問、1999年)
・NEO-PI-R(240問、?年)
・NEO-FFI(上記の短縮版、60問、1999年)
・FFPQ(オリジナルの短縮版の50問、2005年)
・TIPI-J(BFIの短縮版、10問、2012年)
しかし実は、この5つに「正直性H」を加えたものも提唱されています。
(これをHEXACOモデル、という)
つまり現在は「物差しの数」に一致した見解が得られてないのです。これが特性論に基づいた性格検査の問題の一つです。
次の記事↓
1-2. 特性論(OCEANモデルとHEXACOモデル)