兄弟相克
小さい頃仲の良かった兄弟でも、成長してそれぞれ家庭を持つと妻子の方に愛情が移り疎遠になって行く。きょうだいは他人のはじまりとも言うので、そういったものなのでしょう。
私が業務上、相対する兄弟関係は、親の遺産分割の場面です。
両親がともに亡くなり、両親の住んでいた実家を売却するために不動産の相続による名義変更をする、という場面で司法書士が出てきます。
司法書士は登記申請の代理を生業としているので、必要書類や手続きの流れを説明し、どのくらいで名義が変更できそうかといったことをお話しする役割です。要するに、淡々と手続きだけをします。
しかし、相対するご兄弟には色々な感情やわだかまりを抱えて来られる方もおられます。手続きを進めて行く中で、ポロッと漏れる本音らしきもの…(今まで両親の世話をしてきたのは同居していた俺なのに)、(アイツは生前母親にしょっちゅうお金を無心していた)、(兄は大学院まで出してもらった上に生活費の援助まで受けていた)は、手続きには無関係なのですが、遺産分割協議に至る理由づけの一端として注意深くお聞きします。
どのような内心をお持ちであれ、不動産を売却するには生きている誰かの名義にしなければならないので、手続きを淡々と進め、売却の準備を整えます。
しかし、私も人間なので、兄弟って仲が悪いのがデフォルトなのか…⁇⁈と疑問に感ずることがあります。
最近完結した『鬼滅の刃』という漫画に、『神に寵愛された万能の弟に嫉妬して鬼になった兄』である継国兄弟の愛憎と嫉妬が描かれていました。まんま聖書に出てくるカインとアベルみたいな話です。
映画「エデンの東」、小野不由美『屍鬼』も同じテーマでした。おそらく普遍的なテーマなのでしょう。
近親ゆえに愛憎の振れ幅が大きくなるのかもしれません。
私としては兄弟仲良く遺産分割協議書に印鑑を押してくれる方がありがたいのですが。