スコヤとかスケア線とか
「スコヤもわかんねーのか!」
大学の時、建築現場でアルバイトをしていて、よく職人さんから怒鳴られました。
そのバイトで一番苦労したのは、
職人さんが使う言葉がわからない!
そもそも知らない言葉な上に、職人さんは地方から来られている方が多く、訛りが強かったりします。何度も聞き直しているうちに、
「耳直してこい!」
とも言われました。
私は小さい頃に、中耳炎を患ったこともありましたので、一時期本当に、
「自分は耳が悪いんじゃないだろうか?」
と悩んで、耳鼻科に相談したこともあります。医者には笑ってあしらわれましたけど。
●スコヤ
いわゆる「直角定規」のことです。直角度を確認したり、
「床から何mm」
なんていう形で、「墨出し」をするときなどに使います。
気になって由来を調べてみたのですが、これは英語の
square(スクエア)
が訛ったものです。
square は直訳すると「四角形」ですが、そのまま「直角定規」の意味もあります。
これを知ったときは正直
「訛りすぎだろ!」
と思いましたが。
●スケア線
これに関連して、電線の呼び方で「スケア線」というのがあります。
アルバイトで電気屋さんの手元をやったときに、これがまたわかりませんでした。
電線には色々種類がありますが、中の銅線形状で大きく分けて、「単線」と「撚り線」の2種類あります。上の写真で、白い線(上側)が単線、赤い線(下側」が撚り線です。
そして、撚り線の事を「スケア線」と呼びます。
単線は、丸棒状の銅線が1本通っています。撚り線は、細い銅線が何本も撚り合わせてまとめてあります。
電線は、使う電気の量に応じて、中の銅線の太さを選ぶのですが、太さを表すときに、
単線は銅線の直径
で表すのに対して、
撚り線は銅線を撚り合わせたものの断面積
で表します。撚り線の断面は円形ではないので、直径は測れないですからね。
さて、断面積の単位は "mm^2" のように、「長さの2乗」になります。
実は、この "2乗" の事を、英語で "square" と言ったりします。例えば、
10×10 = 100
の事を、
10 times 10 are 100
と言う代わりに、
The square of 10 is 100
といった感じです。そして面積の単位 "mm^2" も、
square millimeter
と言います。この「スクエア」が短くなって、「スケア線」と呼ばれます。
更に現場では、例えば "8mm^2" の電線を「8スケ」と言うもんだから、初めて現場に入ったド素人の大学生の私には、全くもって意味不明でした。
建築現場に入る際は、新人に対する安全教育を必ずやります。そこで、
「現場の職人さんがよく使う用語解説」
みたいなのもやってほしいもんですよね。そうすれば、最初に怒鳴られて
「建築の仕事は怖い」
って言って敬遠してしまう若い人は、少なくとも減らせるのではないでしょうか。