「神さまのビオトープ」
今話題の「流浪の月」で、作者の名前は知っていたのだけど、なんとなく流浪の〜は興味が湧かなくて。
先日、本屋さんに立ち寄ったとき、書店員さんの紹介のコーナーにこれが置いてあって
なんか、紹介文も好きな感じで、文庫だし短編集で読みやすそうなので衝動買い。
結果当たり!私の好きな感じの世界観だった〜
本日読了にて、感想というか、自分に沸いた感情をメモがてら書いておこうと思う。
世間で正しいとか常識とされていることや
一見みたら「普通こうでしょ」ていうことが
世の中にはたくさんあるけど
ひとりひとりはみんな違ってて複雑で
一色の人なんてどこにもいなくて
みんな複雑な色を併せ持っていて
だからこそ美しい
綺麗なものばかりじゃなくて
醜いどうしようもないものを内包していて
だからこそ、だからこそ美しさが際立つ
人間は複雑な生き物
私は、清らかな光には
なんとなく生を感じられない
光や正論や正義と呼ばれるものは
眩しい中に
必ず鋭い刃や全てが許されるような
全てを肯定させる有無を言わせない力や
人を盲目にさせる恐ろしいものが内包されていると思うから
私は闇の中にある
光への希望や
一見真っ暗に見える中にある、塗り重ねられた様々な色彩や
眩しい世界から守ってくれる
傷ついたひとたちが身を隠せる暗闇を知りたい
もしすべての暗闇を照らし出す光しかない世界は
きっとそこはもう、神さまの世界なんじゃないかと思う
人間のもつ醜さや闇のいっさいがない
死と等しい世界
神さまのビオトープは、
普段は表に出てこない
出してはいけないとされている
人間のどうしようもなく醜くて
美しい感情の溢れるお話だった