
脊椎圧迫骨折の基礎知識とリハビリ戦略
こんばんは!ひかるです。今日は腰痛疾患である圧迫骨折について記事にしました。
脊椎圧迫骨折は、特に高齢者に多く見られる疾患であり、適切な評価とリハビリテーションが重要です。本記事では、圧迫骨折の基本的なメカニズムから、症状、好発部位、予後、そして理学療法士が実施すべきリハビリ戦略について解説します。
1. 圧迫骨折とは?
圧迫骨折とは、脊椎の椎体が過度な圧縮力により潰れるように変形する骨折を指します。特に骨粗鬆症の進行によって骨密度が低下している高齢者に多く見られ、軽微な外力(くしゃみや咳、着座動作)でも発生することがあります。
主な原因
•骨粗鬆症:最も一般的な要因。骨密度の低下により骨が脆弱化する。
•転倒や衝撃:日常のちょっとした動作で骨折することもある。
•病的骨折:がんの骨転移や骨の病変によるもの。
2. 圧迫骨折の特徴的な症状
急性期の症状
•局所的な強い背部痛(特に骨折直後)
•動作時の痛みの増悪(立ち上がりや歩行時に強くなる)
•圧痛(骨折部位を押すと強い痛みを感じる)
慢性期の症状
•鈍い痛みが持続(特に姿勢維持が困難になる)
•脊柱変形(特に胸椎下部の骨折で後弯が進行)
•歩行障害(痛みや筋力低下による)
臨床メモ
「意外と痛みが治まれば問題ないと考えられがちですが、リハビリを怠ると脊柱変形や慢性腰痛につながることが多いです。」
3. 好発部位とその特徴
脊椎圧迫骨折が起こりやすい部位
•胸椎下部(T11–T12)
•胸椎と腰椎の境目に位置し、応力が集中しやすい。
•可動性の違いから負荷がかかりやすい。
•猫背(脊柱後弯)が進行しやすい。
•腰椎(L1–L2)
•体重を直接支えるため負担が大きい。
•歩行や立ち上がり動作に影響を及ぼす。
4. 疼痛のメカニズムと評価
疼痛発生の主なメカニズム
•骨膜の刺激:骨折による骨膜損傷が鋭い痛みを引き起こす。
•筋肉の緊張:周囲の筋肉が過剰に緊張し、二次的な痛みを発生。
•神経圧迫:椎体の変形により、脊髄や神経根が圧迫されることで下肢のしびれや放散痛を生じる。
疼痛評価のポイント
•急性期:VAS(視覚的アナログスケール)やNRS(数値評価スケール)を用いる。
•慢性期:日常生活動作(ADL)での痛みの影響を評価。
5. 圧迫骨折のリハビリ戦略
リハビリテーションは急性期と慢性期に分けて段階的に行うことが重要です。
急性期リハビリ(痛みの管理と早期回復)
1. 安静と疼痛管理
•必要に応じてコルセットを使用し、痛みをコントロール。
•ただし、過度な安静は筋力低下を引き起こすため注意が必要。
2. 呼吸エクササイズ
•腹式呼吸を指導し、呼吸機能の低下を予防。
3. 軽度の運動
•下肢の**関節可動域運動(ROM運動)**や足首のポンピングで血流を促進。
慢性期リハビリ(筋力・柔軟性の回復と再発予防)
1. 体幹筋の強化
•脊柱起立筋・腹横筋を鍛えることで、姿勢の安定性を向上。
•プランクやデッドバグなどの体幹トレーニングが効果的。
2. 柔軟性向上
•ハムストリングスや腰部筋群のストレッチで、腰椎への負担を軽減。
3. バランストレーニング
•片足立ちやスラックラインを活用し、転倒予防を行う。
4. 生活指導
•正しい姿勢や日常動作の指導。
•患者が自宅でも継続できる簡単なエクササイズを提案。
6. 予後と再発予防
圧迫骨折の予後は以下の要因によって決まる
•軽症の場合:数週間~数ヶ月で痛みが軽減し、日常生活に復帰可能。
•重症の場合:椎体変形が進行し、慢性的な痛みや姿勢異常が残ることがある。
再発予防のためのポイント
•骨粗鬆症の管理(食事・運動・薬物療法)
•適切なリハビリの継続
•転倒予防策の徹底(生活環境の改善、バランストレーニング)
7. まとめ
脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症に関連する代表的な疾患であり、適切な評価とリハビリ介入が不可欠です。
本記事で解説したポイントを押さえることで、患者への適切なサポートが可能になります。
✅ 圧迫骨折の基本的な定義と特徴
✅ 好発部位とその理由
✅ 疼痛のメカニズムと評価
✅ 予後を左右する要因
✅ リハビリの段階的アプローチ
理学療法士として、患者のQOL(生活の質)向上に貢献できるよう、エビデンスに基づいた評価・治療を実施していきましょう。